それから
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見馴れた桜色に光はといれた洗濯物を置いた。
「今度の講座に出るのか?」
夫の言葉に麻子は微笑んで頷く。
「うん。
郁にも誘われたし、勉強になるじゃない?」
手に持つチラシを覗きこんで、光はなるほどと頷く。
「こんにちは赤ちゃん講座、ちらっと覗いたことはあるんだけど、せっかくだから。」
愛おしそうだいぶ大きくなったお腹を撫でる。
「図書館にも早めに馴染んでおかないとな。」
「早すぎじゃない?」
「いいだろう。」
光もそっとお腹を撫でた。
きっと親しい皆はが歓迎してくれると二人は信じているが、口には出さない。
顔を出せば喜んでくれることも、生まれてきた赤ちゃんを心から大切にしてくれることも。
口に出す必要もないのだ。
説明など、何一つ必要ない関係が、図書館にはある。
(ありがたいことだ。)
それを口に出す必要がないことも分かっていて、二人は顔を見合わせて微笑み合った。
チビと呼んでいた部下が、目の届かないところに行った。
それだけの話だ。
部下と言うのはいつかは自立するもので、手塚も郁も他の部所や班で頑張っている。
いつかは目の届かない、手の届かない所に行ってしまうものなのだ。
そうであるべきであり、そうでなければ困る。
あのランドセルを背負って一人寂しそうにしていた少女が、自分の新しい居場所を、自ら勝ち取ったのだ。
頭をかき混ぜて誉めてもいいくらいだ。
たまたまSPを一緒に組んだ他の班員が、上からの信頼も厚く、エースって言うのはああいう奴の事なんだと思ったと言っていたくらいだから、業務内容も彼女に合っているのだろう。
何よりだ。
ここのところ目立った争いもなく、比較的平和に毎日が過ぎている。
今日も平常通り訓練を終え、小牧と堂上は警備に就く。
暑さもピークに達した頃で、少し外に出るだけで制服が汗で張り付いて気持ちが悪い。
中庭に異常がないことを確認し、館内に入ると冷房が一気に熱を冷ます。
「生き返るね。」
「全くだ。」
汗を拭った視線の先、チラシを立てているラックに置かれている白い封筒が目についた。
封もされていないそれは、中に紙が一枚入っているだけのようだ。
「なんだろう。」
小牧も何か異常を感じたのだろう。
表情が固い。
人気のいないところまで移動してから中身を確認し、顔を見合わせて頷き合った。
絵本を書棚に直そうと思ってうっかりおとしかけ、郁は慌ててつかんだ。
「セーフ。」
ホッとため息和をついたところ、小さな音がして、床を見れば白い封筒が落ちていた。
首をかしげ、よいしょとしゃがんでから拾い上げる。
なんだか嫌な予感がした。
封はされておらず、中には紙が一枚入っているだけのようだ。
「あ!本は私達が直すから置いておいてくださいよ。」
向こうから業務部の後輩が声をかけてくれた。
「あ、いいのいいの。
少しだったし。」
その封筒を隠すように本を見せた。
「これで最後だから。」
「無理しないでくださいね。」
「ありがとう。」
みんな優しく気遣ってくれるのが申し訳ないがありがたい。
そっと本を返し、封筒を持ってその場を離れる。
書棚の影に隠れて、封筒を開ける。
顔が強張るのが自分でもわかった。
手紙
