本編 ーzeroー
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図書館からの帰り道、公園のベンチで咲は本を読む。
不意に背中に人の気配を感じて振り返れば、
「久しぶり」
手塚慧が笑っていた。
「お久しぶりです」
そう挨拶だけして、本を読み続ける。
背中に温もりを感じて、彼と背中合わせになったのが分かった。
二人はこうして本を読む。
暗くなって、文字が見えなくなるまで。
その時が何よりも至福だった。
「いつも図書館の本読んでるね」
慧の言葉に、咲は顔をあげた。
「はい。
慧さんはいつも自分で買った本を?」
彼は小さく笑った。
「そりゃ、それなりの年ですから、本を買う余裕もあります」
真面目腐った言葉に、咲も笑顔をこぼした。
「いいですね、私も早く働いて、
自分のお金で本を手にしたい」
慧の手が伸びて、咲の手の上から図書館の本に触れた。
「でも、図書館の本もいいな。
たくさんの人が、愛してくれている本だから」
弟さんもね、といおうとして、やめた。
彼が図書館の本を慈しむのは、きっと弟である光が働いているということも大きく関係しているように思うけれど、それを言うのはなんだか野暮なことのように思えて。
「そうですね。
愛されている本ですから。」
慧の手は、温かい。
大きくて、温かくて、こんな手に触れてもらえたこの本は幸せだろうなと思った。
自分達の本質的な所が似ていると、口には出さぬとも互いに思っていた。
各々の思想や、所属を口にしないことも、情報として互いの事を全て知っているからこその話だ。
しがらみから解き放たれて、ただ偶然出逢った友として共に過ごすのがが何よりも心地よい。
手塚慧は忙しいから毎日来るわけではなかった。
それは寂しいことでもあるが、二人にとっては有り難くもあった。
接する時間が短い方が必要以上に相手に踏み込まなくて済む。
互いの些細を知らないふり さえできれば、いつまでも相手を好きでいられる気がしたから。
何も知らぬままでいたい
不意に背中に人の気配を感じて振り返れば、
「久しぶり」
手塚慧が笑っていた。
「お久しぶりです」
そう挨拶だけして、本を読み続ける。
背中に温もりを感じて、彼と背中合わせになったのが分かった。
二人はこうして本を読む。
暗くなって、文字が見えなくなるまで。
その時が何よりも至福だった。
「いつも図書館の本読んでるね」
慧の言葉に、咲は顔をあげた。
「はい。
慧さんはいつも自分で買った本を?」
彼は小さく笑った。
「そりゃ、それなりの年ですから、本を買う余裕もあります」
真面目腐った言葉に、咲も笑顔をこぼした。
「いいですね、私も早く働いて、
自分のお金で本を手にしたい」
慧の手が伸びて、咲の手の上から図書館の本に触れた。
「でも、図書館の本もいいな。
たくさんの人が、愛してくれている本だから」
弟さんもね、といおうとして、やめた。
彼が図書館の本を慈しむのは、きっと弟である光が働いているということも大きく関係しているように思うけれど、それを言うのはなんだか野暮なことのように思えて。
「そうですね。
愛されている本ですから。」
慧の手は、温かい。
大きくて、温かくて、こんな手に触れてもらえたこの本は幸せだろうなと思った。
自分達の本質的な所が似ていると、口には出さぬとも互いに思っていた。
各々の思想や、所属を口にしないことも、情報として互いの事を全て知っているからこその話だ。
しがらみから解き放たれて、ただ偶然出逢った友として共に過ごすのがが何よりも心地よい。
手塚慧は忙しいから毎日来るわけではなかった。
それは寂しいことでもあるが、二人にとっては有り難くもあった。
接する時間が短い方が必要以上に相手に踏み込まなくて済む。
互いの些細を知らない
何も知らぬままでいたい
