別冊 ー5thー
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『無理するな。』
それだけのメールが入っているのに気付いたのは翌朝だった。
到着時刻は昨日の夜だ。
郁と柴崎が仕事に出てた部屋で、不意に携帯のランプの点滅に気付いた。
送信者は手塚慧。
「情報回るの早いって。」
むしろどこから回るのか不思議なくらいだ。
思わず苦笑を洩らす。
昨日と違ってたった一人の部屋はなんだか広く感じた。
いつも通りのはずなのに。
咲は携帯を握りしめて自分の体を抱きしめるようにしてうずくまる。
(“全て片付ける”のって、慧さんでどのくらいかかるのかな。)
玄田さんの結婚年齢よりも早くかな、なんて考えて笑ってしまった。
「慧・・・さ、ん・・・。」
呼んで、なお寂しくなって、後悔した。
いつでも傍にいられる、堂上と郁が、ひどくうらやましく思った。
(病院なら見計らって見舞いにも行けるが・・・女子寮で休養中とは。)
ああ見えて寂しがり屋なところがある、と慧は小さくため息をついた。
人を庇って怪我をするのは、親譲りなのかもしれない。
彼女の母は腹の子を、父はその母を守って死んだ。
彼女も稲嶺やら子供やら、そして自分などを守って怪我をする。
(それも特殊部隊で、だ。)
玄田がハチの巣になったという話を聞いたときには、彼女がそれに巻き込まれていなかっただろうかと肝を冷やしたものだ。
実際巻き込まれていたがこのときは怪我をしなかったと聞いて、胸をなでおろしたのも記憶に新しい。
時計をちらりと見る。
正午前だ。
隊員達もまだ昼休憩には入っていないだろう。
たぶん彼女の部屋にいるのは、彼女独りだ。
体を抱えるようにしてうずくまる姿が見える気がした。
(俺の名前などを呼んで、いないことを寂しがっていてくれたら嬉しい、などと思うのはやはりひねくれているだろうか。)
自嘲的な笑みが浮かぶ。
もどかしいほどの距離感は、たまらなく気持ちを強くする。
でも、彼女を自分に縛り付けるには、そろそろ違う手も必要だろう。
廊下の足音に耳を澄ませてから、慧は携帯を手に取った。
「・・・もしもし、咲。」
寂しさも妙薬
それだけのメールが入っているのに気付いたのは翌朝だった。
到着時刻は昨日の夜だ。
郁と柴崎が仕事に出てた部屋で、不意に携帯のランプの点滅に気付いた。
送信者は手塚慧。
「情報回るの早いって。」
むしろどこから回るのか不思議なくらいだ。
思わず苦笑を洩らす。
昨日と違ってたった一人の部屋はなんだか広く感じた。
いつも通りのはずなのに。
咲は携帯を握りしめて自分の体を抱きしめるようにしてうずくまる。
(“全て片付ける”のって、慧さんでどのくらいかかるのかな。)
玄田さんの結婚年齢よりも早くかな、なんて考えて笑ってしまった。
「慧・・・さ、ん・・・。」
呼んで、なお寂しくなって、後悔した。
いつでも傍にいられる、堂上と郁が、ひどくうらやましく思った。
(病院なら見計らって見舞いにも行けるが・・・女子寮で休養中とは。)
ああ見えて寂しがり屋なところがある、と慧は小さくため息をついた。
人を庇って怪我をするのは、親譲りなのかもしれない。
彼女の母は腹の子を、父はその母を守って死んだ。
彼女も稲嶺やら子供やら、そして自分などを守って怪我をする。
(それも特殊部隊で、だ。)
玄田がハチの巣になったという話を聞いたときには、彼女がそれに巻き込まれていなかっただろうかと肝を冷やしたものだ。
実際巻き込まれていたがこのときは怪我をしなかったと聞いて、胸をなでおろしたのも記憶に新しい。
時計をちらりと見る。
正午前だ。
隊員達もまだ昼休憩には入っていないだろう。
たぶん彼女の部屋にいるのは、彼女独りだ。
体を抱えるようにしてうずくまる姿が見える気がした。
(俺の名前などを呼んで、いないことを寂しがっていてくれたら嬉しい、などと思うのはやはりひねくれているだろうか。)
自嘲的な笑みが浮かぶ。
もどかしいほどの距離感は、たまらなく気持ちを強くする。
でも、彼女を自分に縛り付けるには、そろそろ違う手も必要だろう。
廊下の足音に耳を澄ませてから、慧は携帯を手に取った。
「・・・もしもし、咲。」
寂しさも妙薬