別冊 ー5thー
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「柴崎・・・。」
無線で話しかける。
『ごめん、もう少し早く言っておけばよかったね。
とりあえず、こっちに来て。
事情はそれから説明するわ。』
雄大が虐待を受けていたことは、柴崎に離してもらってからで知った。
児童相談所の人には予定では今夜自宅に向かってもらう予定だったのだが、
急遽図書館に来てもらうことになったらしい。
通報したのは、咲だった。
「あの子、知っていたの・・・?」
郁のつぶやきに、柴崎は無言で頷いた。
「私も教えてもらったのはさっき雄大が姿を消した時よ。」
自分が今、知っただけでもかなりショックだった。
でも彼女は、
雄大と親しかった彼女は、
本当はしばらく前から気付いていたのではないだろうか。
いつもひとりで歩く背中に、彼女は誰かにすがれるのだろうかと、不安になってしまう。
自分にはまず堂上がいてくれるし、柴崎や、なんやかんや言っても手塚もいてくれる。
柴崎にも、手塚がいるし、私も、教官たちも付いている。
咲の親しい毬江にも、小牧がいるし、咲自身もいる。
だが、咲には・・・?
山本とも親しい。
進藤とも親しい。
稲嶺とも、手塚とも、毬江とも、小牧とも。
でも不思議と、彼女の独りきりの背中をよく見る気がする。
細く、すらりとしたそれは、凛としていて、そしてどこか、寂しげだ。
自分に見えていないだけならば良いが、と郁は珍しく暗い顔をした。
哀しい背中