別冊 ー5thー
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「雄大ー」
咲は館内を一人で歩き回る。
自分がもし小さかったら、どこに隠れるだろう。
どんなところに隠れたいと思うだろうと、思いをはせながら。
それはどこか楽しい時間で、それでいてどこか、辛い時間だった。
「雄大、おやつ持ってきたよ。
今日はキャラメルだよ。」
その声にコトン、と何かが落ちる音がした。
たくさん積んである段ボールのひとつだけが、さかさまになっているのが見える。
「雄大みーっけた。」
咲はその段ボールの前にしゃがむ。
「お腹すいたな。
おやつ食べたいけど、雄大と一緒じゃなきゃな。」
ダンボールがモゾモゾと動いて、持ち上がった。
なかから雄大が不安げに咲を見上げる。
「・・・咲。」
呼ばれた方は淡く笑みを浮かべて、キャラメルを差し出した。
「これ食べて、他に探してくれた人にごめんなさいしよう?」
小さな手がキャラメルをつかんだ。
「う・・・ん。」
元気のない様子は、仕方がないと思う。
これから母と一緒に家に帰るのだ。
また辛くて痛い目に遭うと、分かっているのに。
でもそんなお母さんが大好きなのは、咲はよく知っていた。
「あ、見つかった?」
ひょっこり廊下に顔を出したのは小牧だった。
「はい。」
咲は立ち上がる。
「すぐにいきます。」
「そう?
じゃあお母さんに伝えておくから。」
小牧はそれだけ言うと離れて行ってくれた。
何も言わないのは、もしかしたらもう何か気づいているからかもしれない。
「私の分も、あげる。」
雄大の小さい手に、もうひとつキャラメルを乗せる。
手のひらに乗った二つのキャラメルをポケットにしまうと、雄大は小さな手を咲に差しだした。
咲はそれを優しく握る。
そしてどちらともなく、歩き出した。
悲しいかくれんぼ
咲は館内を一人で歩き回る。
自分がもし小さかったら、どこに隠れるだろう。
どんなところに隠れたいと思うだろうと、思いをはせながら。
それはどこか楽しい時間で、それでいてどこか、辛い時間だった。
「雄大、おやつ持ってきたよ。
今日はキャラメルだよ。」
その声にコトン、と何かが落ちる音がした。
たくさん積んである段ボールのひとつだけが、さかさまになっているのが見える。
「雄大みーっけた。」
咲はその段ボールの前にしゃがむ。
「お腹すいたな。
おやつ食べたいけど、雄大と一緒じゃなきゃな。」
ダンボールがモゾモゾと動いて、持ち上がった。
なかから雄大が不安げに咲を見上げる。
「・・・咲。」
呼ばれた方は淡く笑みを浮かべて、キャラメルを差し出した。
「これ食べて、他に探してくれた人にごめんなさいしよう?」
小さな手がキャラメルをつかんだ。
「う・・・ん。」
元気のない様子は、仕方がないと思う。
これから母と一緒に家に帰るのだ。
また辛くて痛い目に遭うと、分かっているのに。
でもそんなお母さんが大好きなのは、咲はよく知っていた。
「あ、見つかった?」
ひょっこり廊下に顔を出したのは小牧だった。
「はい。」
咲は立ち上がる。
「すぐにいきます。」
「そう?
じゃあお母さんに伝えておくから。」
小牧はそれだけ言うと離れて行ってくれた。
何も言わないのは、もしかしたらもう何か気づいているからかもしれない。
「私の分も、あげる。」
雄大の小さい手に、もうひとつキャラメルを乗せる。
手のひらに乗った二つのキャラメルをポケットにしまうと、雄大は小さな手を咲に差しだした。
咲はそれを優しく握る。
そしてどちらともなく、歩き出した。
悲しいかくれんぼ