別冊 ー5thー
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
咲の休みは、休みらしいことはあまりなかった。
子どもが好きなのか、結局図書館で子どもに読み聞かせをしたり、
中庭で遊ぶのに加わっている姿をよく見かける。
「雄大。」
「おっ咲!
今日は休みなのか?」
「うん。」
「やった!」
聞こえてきた声に顔を向ける。
「なんか、ああやってみていると、あいつも子どもみたいだな。」
堂上の言葉に、そうですね、と笑いながら返すのは郁だ。
柴崎のような、子どもの扱いがうまいというよりも、
子どもに交じって一緒に楽しく遊んでいるという方が正しそうだ。
季節の草花を使って子どもたちとわいわい遊んでいる姿は、
彼女が入隊して以来の休みの日に見られている。
特に夏休みなどは、小さい子供たちの咲に夏休みを与えろという訴えに、他の隊員が手を焼いているのだ。
子どもと違って夏休みなどない仕事。
そうは言っても、なかなか理解してもらえないのが現状である。
「彼女、もしかしたら、昔したかったことを今しているのかもしれませんね。」
「ああ。
でも同時に、あいつらに促しているんだろう。
今だからできることを。」
彼女の家庭事情を知る堂上にしてみれば、思うこともあるらしい。
「よしっじゃあ今度はみんな、
お母さんと一緒にオオバコの相撲をしてご覧。」
少し離れたところで本を読んでいる母親たちもちらほらとみられる。
咲にじゃれついていた4人の子どもたちは、
一斉にオオバコ探しに散っていった。
咲はひとりの少年とお母さんと一緒にオオバコの相撲をしていた。
「あれ、雄大じゃないですか?」
最近図書館で問題になっている幼稚園児だ。
いつも館内で秘密基地を作っているのか、閉館になっても母親のもとにかえっておらず、図書館隊が捜索する羽目になっている。
「本当だな。」
咲が雄大の背中を押して、母親のもとに行く。
母親は初め少し困惑した様子だったが、すぐに嬉しそうに息子と相撲を始めた。
堂上は彼女に背を向け歩きだした。
「かわいがってやれよ。」
誰を、なんて、言わなくてもわかる。
こう見えて堂上も妹がいる。
咲のことも妹みたいに思えて、仕方ないんだろう。
「言われなくても。」
それは郁だって同じだ。
他の子どもたちも母親と遊んでいるのを見て、
咲は木陰で本を開いた。
それを見た郁も彼女に背を向けて、堂上を追う。
ある晴れた日に