本編 ー4thー
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縁側に並ぶ二人は、祖父と孫ほど歳が離れている。
二人の間にはとっくりがあって、月の光により影を投げかけていた。
こうして二人で落ち着いておしゃべりするのは、ずいぶん久しぶりかもしれない、と咲は思った。
そのくらいバタバタしていたし、あっという間だったのだ。
事件が始まって、終わって、それからとある二人組の関係の名前が変わったり。
本当にあっという間というにはあまりに濃い時間だったが、本当にあっという間だった、と稲嶺は思った。
自分の妻とともに亡くした隊員の娘に出会い、高校を卒業し、図書隊に入隊し、そしてともに戦った。
自分が退職した後、初めてともに戦線に立った。
そして彼女も怪我を負った。
「警察も、自衛隊も、協力してくれたんですって。」
咲がぽつりと言った。
その情報は、もちろん稲嶺も知っていた。
それでもやはり頷く。
彼女が言いたいことは、痛いほど分かっていた。
「日野と、大違い。」
彼女の声は震えていた。
か細く、震えていた。
「稲嶺さんは、すごいです。」
意外な言葉に彼女を見れば、今にも泣きだしそうな笑顔を浮かべていた。
「私ではないよ。」
稲嶺は静かに首を振る。
そして、そっと咲の頬に手を触れた。
皺の寄った、くたびれた手が、真っ白でやわらかな頬を滑る。
稲嶺はとてもうれしそうに笑った。
「貴女のご両親も、そして今の図書隊も、この図書館にかかわるすべての人が、素晴らしい。」
そして優しい瞳が悲しげに細められる。
「また怪我をして。」
その“また”は、以前稲嶺が狙われた時の被弾を思い出してのことだろう。
咲は唇につけていたお猪口を離す。
ずいぶん前に約束していた酒だ。
縁側に腰掛けて月見酒である。
「大切な人のためなら、痛くなんてないんです。」
稲嶺は眉をひそめ、それから困ったように笑った。
貴女もですか
二人の間にはとっくりがあって、月の光により影を投げかけていた。
こうして二人で落ち着いておしゃべりするのは、ずいぶん久しぶりかもしれない、と咲は思った。
そのくらいバタバタしていたし、あっという間だったのだ。
事件が始まって、終わって、それからとある二人組の関係の名前が変わったり。
本当にあっという間というにはあまりに濃い時間だったが、本当にあっという間だった、と稲嶺は思った。
自分の妻とともに亡くした隊員の娘に出会い、高校を卒業し、図書隊に入隊し、そしてともに戦った。
自分が退職した後、初めてともに戦線に立った。
そして彼女も怪我を負った。
「警察も、自衛隊も、協力してくれたんですって。」
咲がぽつりと言った。
その情報は、もちろん稲嶺も知っていた。
それでもやはり頷く。
彼女が言いたいことは、痛いほど分かっていた。
「日野と、大違い。」
彼女の声は震えていた。
か細く、震えていた。
「稲嶺さんは、すごいです。」
意外な言葉に彼女を見れば、今にも泣きだしそうな笑顔を浮かべていた。
「私ではないよ。」
稲嶺は静かに首を振る。
そして、そっと咲の頬に手を触れた。
皺の寄った、くたびれた手が、真っ白でやわらかな頬を滑る。
稲嶺はとてもうれしそうに笑った。
「貴女のご両親も、そして今の図書隊も、この図書館にかかわるすべての人が、素晴らしい。」
そして優しい瞳が悲しげに細められる。
「また怪我をして。」
その“また”は、以前稲嶺が狙われた時の被弾を思い出してのことだろう。
咲は唇につけていたお猪口を離す。
ずいぶん前に約束していた酒だ。
縁側に腰掛けて月見酒である。
「大切な人のためなら、痛くなんてないんです。」
稲嶺は眉をひそめ、それから困ったように笑った。
貴女もですか
