本編 ー4thー
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ノックが鳴る。
隊員の誰かか、と山本は腰を上げた。
「はい」
しかし病室に入ってきた姿に、山本は目を見開く。
「君は、さっきもいたSPだな」
「はい、山本です」
「彼女は無事か?」
「はい、手術も無事に終わり、今は眠っています」
「そうか」
「……どうぞ」
慧がベットによる。
そして、顔をゆがめた。
嫌な予感がしていたのだ。
彼女の止血をしている時の顔も。
彼女が見せた、笑顔も。
大きな手が、咲の髪に触れた。
そっと、そっと触れたそれは、見ていたいものではなかった。
「少しだけでいい、2人にさせてくれ」
山本は戸惑う。
「……悪いな、古くからの知り合いなんだ」
その言葉に嫌な予感がしながらも、山本は席を外した。
「……山本君。
ありがとう」
5分ほどして、手塚がロビーにやってきた。
彼も忙しい身だろうにと思うと、咲の存在が彼にとって何なのかが見えてくる気がした。
上司にあたることもあり、山本は飲みかけの缶コーヒーを手に立ち上がった。
「穏やかな寝顔だ。
目が覚めたら弟に連絡するように言ってくれるか」
「えっ……知り合いじゃ?」
「あいつもいろいろあるからな」
自分の知らない何かがあることに、山本は眉をひそめた。
「気に喰わないとでも言いたげな顔しているじゃないか」
その言葉が癇に障った。
誰のせいで、誰のために、彼女が怪我をしたのかと。
自分が誰よりも傍で守りたいと思う彼女が、怪我をしたのだ。
目の前の男を守るために。
「当たり前です。
俺達は同期で、特殊部隊の配属も一緒で、2人でずっとやってきました。
そいつが怪我をしたんだ、」
「見知らぬ男だと思っていた奴のために、か」
山本が目を見開く。
その言葉に、自分の嫌な予感が全て当たっていたことが言われていた気がして、言葉が続かない。
「もうしばらく、お前に預けておいてやるよ」
細められた目は、口元に浮かぶ笑みは、まさしく余裕だ。
手塚慧は軽く手を振ると背を向けた。
病室に戻った山本が見たのは、咲の首に煌めく、カミツレのペンダントだった。
俺の痛みと君の寝顔
