本編 ー4thー
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「おい、その携帯!」
「あんたは知らなくていいのよ」
ポケットから咲の携帯を取り出してダイヤルを押す。
「それは流石に!」
「もうかけたわ」
携帯を取ろうとする手塚を押し返す。
そして、彼が2人の関係を知っていたのだと言うことに、眉間にしわを寄せた。
なぜ、自分に言ってくれなかったのかと。
なぜ、あの子と秘密を持っていたのかと。
「……っ咲……どうした?」
しかし電話口に聞こえた声に、柴崎は解答を戸惑った。
そのくらい、相手の声は想像からかけ離れていた。
これは聞き覚えのある声色だ。
待ち合わせに遅れた時の謝る声や、泣かせた彼女に謝るときのような。
少なくとも、柴崎が聞いていい声じゃなかった。
「……ごめんなさい、反省するわ」
電話の向こうで、深い溜息が聞こえた。
隣で手塚が怪訝そうな顔をする。
「全くだ。
俺のほしいものは全て君の手中にあるわけだね。
まさかこんなプライベートにまで手を出すなんて」
気を遣って損した、という呟きに、柴崎は肩をすくめる。
「まさか本当に通じているなんて思わなくて」
半分は嘘で半分は本当だ。
だが、あたっていたことに純粋に驚いてはいる。
「なんでこっちなのか、教えてくれるね?」
「今チビちゃんは私の部下なの。
情報部候補生になりたいって言うから」
隣で手塚が眉間のしわを深くする。
「俺のことで根に持っていた貴女が、彼女に不信感を抱いた。
候補生になってでも役に立ちたいと言う彼女の意志を逆手に、尻に敷いていると言うことでいいね?」
どうやら情報はある程度漏れていたらしい。
歯に衣着せぬに言い様に、柴崎は罪悪感を突かれる。
「……悪かったわね」
「全くだ」
また溜息が聞こえた。
どうやら相当気落ちしているらしい。
「……で、何の用だ」
「私はそうも思っていないんだけど、あんたの弟がどうしても疑っているみたいでね」
要件を伝えると、相手もどうやら心当たりはあるようで、頷いた。
「また分かったら連絡するよ」
「よろしくね」
「ついでだ。
チビちゃんは元気かい?」
「ええ」
柴崎は予定表を思いだす。
彼女はSPのローテからは外していた。
柴崎の意向だが、それは同時に気遣いでもあった。
「じきに貴方も分かるわ」
この分だと会わせても大丈夫だろうと、ひとつ頷いた。
センパイのココロ
