本編 ーthirdー
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「咲-?
大丈夫?」
その声に、咲は体を起こした。
「よっ」
その後ろからは山本が顔をだす。
「笠原士長、お忙しいのでは」
「ううん、今日は夕方から休憩だったから大丈夫」
そう言ってにっこり笑ってくれる先輩に、なぜか咲はほっとした。
戦場であんなに震えていたのに、彼女はもう、大丈夫なのだ。
その事実がどこか、頼もしくもあり、自分の弱さを思い知る。
自分の不甲斐なさを、思い知る。
そして。
(私は、特殊部隊に居るには弱すぎるかもしれない……)
その結末ばかり思い描いてしまう。
「どうしたの?」
自分はあまり表情が表に出ていないことは知っていた。
だからこそ、郁の問いかけは、咲にとって衝撃だった。
自分の感情が、伝わってしまったのだ。
「咲あのね、」
郁は気にせず、そっと微笑んだ。
それはお姉さんの郁の顔だった。
自分が守ってあげると、そう言った時の、優しい顔。
「あたしがバスの屋根から乗り込んできたやつら撃って、でも弾の補充ができなかったとき、咲が助けに来てくれたでしょう?」
「……はい」
「本当に助かった。
あの時咲が来てくれなかったら、あたし死んでたかもしれないもん」
たとえ私がいかなくとも、きっと王子様が死んでも守ってくれますよ、と思ったが、言うことはできなかった。
「後輩に守られて、ダメだね、あたし」
咲は首を振った。
「そんなことありません、初めて撃ったらそんなもんです。
山本だって、吐いてました」
「お前、余計なこと言うなよ!」
笠原の後ろで山本が焦ったように言った。
「堂上教官とおんなじこと言うんだね」
笠原は少し驚いたように言った。
慰めの言葉なんて、みんな同じようなものなのだ。
ちなみに咲は進藤から聞かされていたのだ。
初めての激戦だ、吐くくらい覚悟しておけよ、と。
「それなら、咲もだよ」
先輩の優しい手が頭にのって、優しく撫でた。
王子様にそうしてもらったのが嬉しかったから、こうしてくれるのかな、と思うと、その裏にある自分を思いやってくれる優しさがくすぐったくて、咲はほんのり頬を染めた。
「横田二監も目を覚ましたって。
なら、あの隊長が目を覚まさないはずないよ」
その夜、一通のメールが笠原に届いた。
ー柴崎士長の連絡先を教えてください。
どうしても、柴崎士長にお伝えしなければいけないことがあるんですー
それは、私に言えないこと?
とは、聞ける雰囲気ではなかった。
小さな決意
