本編 ーthirdー
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「そう……ですか」
緒方の気落ちした様子に、近くにいた堂上が何事かと視線で問いかける。
受話器を置いた緒方は堂上と、そして少し離れたところにいた山本を呼んだ。
「空太刀だが、しばらく復帰は難しいそうだ」
「どこか怪我でもあったんっすか?」
すぐに食いついたのは山本だ。
「違う。
……いわゆるPTSDだな。
隊服を見ると思い出して過呼吸を起こしてしまうらしい」
その場にいた隊員達が、ふっと作業を止めてしまった。
予想外の言葉だったのだ。
だが、考えても見ればずいぶん酷な話だったのだ。
二十歳過ぎの女の子がこんなひどい戦場で戦った上に、目の前で上司が死ぬギリギリの競り合いを任され、その上司が目の前でハチの巣になったのだ。
普通に考えて、彼女が多大な精神的ダメージを受けていてもおかしくない。
この集団に居ると忘れてしまうのだ。
普通、を。
(ごめん……)
心の中で、小牧は呟く。
思い出すために胸がきしむ。
彼女は毬江の大切な友達なのだと言うこと。
同じ世界に居られるはずの子だと言うこと。
(ここに来たのはあの子の意志でも、あの子は人一倍傷だらけになる)
どこまでも温かな場所に居てほしい毬江を思えば思うほど、それはひどく悲しいことで。
緒方はしばらく考えて、それから静かに頷いた。
「空太刀はしばらくローテから外す」
進藤班は副班長も負傷した為、山本一人が残された形となった。
「お前は堂上班に同行しろ」
「了解」
緒方の命令に、山本は返事をする。
どこの班からも負傷者が出たが、進藤班が一番の痛手だった。
班長の進藤の腕が貫通。
副班長も足を被弾し、入院。
そして咲が訓練服に袖を通せない。
「ようこそ、堂上班へ」
小牧がおどけたように話しかけてくれるから、山本はなんとか笑ってみせた。
それでも、自分の所在のなさが切なすぎるほどだった。
突然の喪失
