本編 ーthirdー
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テレビでは知事を始め、今回の県展についての記者会見が行われている。
やはりかなり大きく取り上げられているようだ。
(あれはたしか、笠原士長のお父さん?)
笠原の母と揉めた日の帰り際、ちらりと見た男性の姿があった。
笠原を見れば、その表情から、咲の見立てが正しかったことが分かる。
不意に携帯のバイブが鳴った。
数人が確認する中、手塚が席を立つ。
「すみません、外します」
無表情の咲と、苦い顔の手塚の視線が一瞬合った。
互いに互いの様子を確認しようとしたのだ。
どちらも無意識で。
そしてその行動が、互いに確信を抱かせた。
(兄貴だと気づかれた)
(電話は慧さんからだ)
だからといってどちらもどうしようもなく、手塚は部屋を出て通話ボタンを押した。
聞き覚えのある声がする。
『見たよ、記者会見。
玄田三監の案か』
どうやら同じチャンネルを見ていたらしい。
「関係ないだろう」
『つれないことを言うな。
これでも水戸のことは気にかけているんだ。
お前の上官はやり手だな』
なぜ気にかけているのか。
未来企画だからか、それとも、気にしている子がいるからか。
「ああ、尊敬しているよ」
『彼に敬意を表して、こちらが掴んでいる情報を教えてやるよ。
今回の県展は検閲は会場前の1回だけだ。
良化隊は今回の作品について感情的になっている。
お前も、制服を着ている人間なら分かるだろう。
法務省は乗り気でない。
メディア良化委員会はあくまで法務省の組織だ。
法務省の方針はすでに決まっている』
なぜ彼がここまで情報を提供するのか。
一瞬疑いは生じる。
「……そこまで話していいのかよ、俺に」
それだけではない思いが口を突いて出た。
『どうせ手放しでは信じないんだろう?
それなら話しても話さなくても同じだし、大した情報でもない。
心配は有難く受け取っておくけどな』
からかいを含んだ声に、墓穴を掘ったことを後悔するが。
「ありがとう、とりあえず礼だけ言っておく」
慧は一瞬の沈黙を作った。
彼にしては珍しい。
変なことを言ったかと一瞬焦った。
「お前達も、気をつけろよ」
聞こえてきたのはやはりからかいを含んだ声。
さっきの俺の心配のお返しと言ったことだろう。
恥ずかしさが増すばかりだ。
電話の向こうのにやけ顔さえ思い浮かんで、穴があったら入りたい。
だが、さっきの一瞬の間、そして“お前達”と言う言葉。
「おい、」
問いかけようとした時には、すでに電話は切れていた。
誰を想って
