本編 ーthirdー
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
しばらくして笠原が戻ってきたが、どうも浮かない顔だ。
「すぐ来るそうです」
「体調不良か?」
進藤が見かねたのか尋ねてきた。
「いいえ。
ただ、大丈夫だと。
なんか様子がおかしいのに、聞かないでほしいみたいな感じが強くて……聞けませんでした」
頼ってもらえなかったことに、傷ついたか。
空太刀は助けるために差し出された手を振り払ってでも、独りででも立ち上がるタイプだろう。
「そうか。
なら大丈夫だろう、もう戻っていい」
進藤にそう言われ、肉親が言うならと安心したのか、表情を緩めて戻って行った。
「本当ですか」
笠原に聞こえない距離になって、堂上は進藤に問う。
「心配した相手を傷つけるくらい大丈夫だと言うのはどんな時か、考えてみろ」
進藤の表情は険しい。
「咲は笠原のように馬鹿ではない。
ただ、信じられないくらい不器用なんだ」
その言葉に、今朝感情的になってしまったことを、堂上は激しく後悔した。
「申し訳ありません」
玄田に頭を下げ謝る空太刀。
「次はないぞ?」
普段の真面目さのせいか、怒られることはなく、その一言で済んだようだ。
次に笠原の元へと駆けていき、頭を下げている。
(笠原が笑っているから、問題解決だろうか)
ぼんやりと眺めていれば、咲は堂上のところに駆けてきて、気まずくなって目をそらす。
「いろいろと、申し訳ありませんでした」
正面でかけられる声と、ぺこりとさげられる頭。
いろいろ、とは、朝のことも含んでいるのだろうか。
「……いや、俺も悪かった」
自然と小さくなる声。
それでもそう言うと頭は上げられた。
小さい頃から何度も見ていた顔は、やはり今日も無表情だ。
いや、いつにもまして、というのが正しいかもしれない。
そしていつになく血色が悪い。
空太刀は強い。
特に、この手のことには、きっと耐性がある。
それでも、こうして頑なに孤独に戦おうとする彼女を、自分はどうしたら救ってやられんだろうか。
