高麗国
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小僧らが偵察ついでに買ってきてくれた服に袖を通す。
日本国と基本的によく似た作りの服だから、迷わず着られた。
姫は別室で春香に着せてもらっており、困っているのは小僧と男。
「黒様ーなにこれ、よくわかんなーい」
「小僧、こっちに来い。
お前は言い方があざとい」
俺はため息をつくとまず服を持ってやってきた小僧に教えながら着付けてやる。
それから男の前へと移動し、改めて服と彼を見比べる。
細さが目立っていたが、やはり戦いにも慣れているのか、それなりに体格がいい。
何かと尋ねる視線に軽く首を振って、着付けにかかった。
「うまいねー。
黒様の国って、こんな服だったの?」
上から声が降ってくる。
「ああ。着物や袴が主流だったからな」
「難しい服なんだねー
こう、すぽっと着られたらいいのに」
「慣れればそうでもない」
帯を巻く為、一瞬だけ背中の方に腕をまわし、腰に抱きつく形になる。
「慣れれば、ねぇ」
意味深な声にオレは男を見上げる。
指摘されると確かにいかがわしい体勢である。
つい今の今までは何とも思っていなかったのに、急に屈辱的な気持ちになる。
涼しく細めた目元で見下ろしているが、誰のせいだと思っているのだろう。
そもそもまだ子どもである小僧の前ではこういった発言は控えてもらいたいところだ。
横で慌て始める小僧を尻目に、話題を微かにずらす。
「オレは女中ではない」
「そうだね、黒様みたいな子が女中だったら、全然言うこと聞かなくて大変そう」
返事代わりに舌打ちをする。
「ま、もし黒様がお金に困って、女中のまねごととかしたら、
オレが雇ってあげるから心配いらないよー」
「断る」
誰がこんな男に仕えるか。
さっさと着付けると立ち上がる。
見目の良い上品な男なだけに、何を着ても似合うのが癪だ。
「いやだ!」
小狼君の制止の言葉に、叩くように放たれたのは春香ちゃんの声だった。
「行く!!」
「だめです」
「いやだ!
ついて行くからな、絶対!!」
「いいえ、だめです」
「小狼がダメと言ったって行く!」
涙目になってしまっていて可哀想だが、確かに連れてはいけない。
さくらちゃんも困り顔だ。
「私も行かないと気が済まない!」
自分の母親の仇討ちに行きたい気持ちは良くわかる。
だが彼女のような少女に何かできることがあるかと聞かれれば否としから答えようがないし、はっきり言ってしまえば足手まといになる。
その上彼女は既に目立ち過ぎている。
まだ子どもなのにオレ達のようなお尋ね者を匿い、もし領主を倒せなかった時、彼女の身に何が起こるか想像に容易い。
「それでもだめです」
「いやだ!」
「駄目だ」
壁にもたれ掛かって黙って見ていた黒りんだったが、埒が開かない様子に遂に口を開いた。
その静かなのに有無も言わさない圧に、小狼君は驚いたように振り返り、春香ちゃんは怯えたようにぐっと言葉を飲み込んだ。
黒りんは立ち上がって2人の傍まで歩み寄る。
叱られた子どもよろしく身をすくめる2人に手を伸ばし、そして一度に両手で2人の頭をわしゃわしゃ、と撫でた。
2人は驚いたようで、きょとんとしている。
「心配せずここで待っていろ。
死ななかったことを後悔するくらい、苦しめてきてやる」
そう優しい声色で春香ちゃんに言うと、今度は小狼君の方を向いて、にっと笑った。
「そうだろ」
「は、はい!」
黒様って、本当に優しい。
見ているこっちまで伝染してくるくらい。
不器用で、言葉は少ないのに、どうしてだろう。
「行くぞ」
彼女が歩き出し、小狼君がすぐその後を追う。
2人の背中は出会って間もないのに、どこか師弟のような信頼で結ばれて見えて、眩しい。
「おいっ!!」
後ろから春香ちゃんの声がして、また気でも変わったのかと思って振り返れば、唇を噛んで、仁王立ちしている。
握りしめた拳で涙をぎゅっとぬぐって、大きな声で叫んだ。
「帰ってこいよ!!
絶対!!」
黒様はちらりと振り返って勝ち気に笑って頷くと背を向けた。
ひらりと、手を振って。
相変わらず不思議な二人だ、と思う。
少し先を歩く黒鋼さんは、足音をまるで立てない。
その後ろをおれと並んで歩くファイさんは、なんだか少し考え事をしているみたいだ。
ぱっと見た目から白の印象を受けるファイさんは、明るくて、話し上手で、柔らかい雰囲気がある。
逆に黒の印象を受ける黒鋼さんは、物静かで、無口で、少し硬い空気を持っている。
まるで相反する二人。
でも、どちらも根から優しい人だ。
黒鋼さんは誰の為でも迷わず身体を張って戦ってくれる。
ファイさんはおれ達をいつも優しく支えてくれる。
何より出会って間もないさくらの羽を探すのを一緒に手伝ってくれる。
危険な秘術に、ともに向かってくれる。
こんなに心強いことはない。
眠っている時の黒鋼さんは、本当に女の人みたいに綺麗だったけど、倒れている黒鋼さんを抱き上げたファイさんは、あんなに細いけど男の人なんだと思った。
さくらも二人にはいつの間にか馴染んでいる。
こんな温かい二人だからなのだろう。
遺跡発掘で他国を旅していた時と、この旅は全く違う。
記憶を失った今にも消えてしまいそうなさくらと、それも、俺のことを忘れてしまっているさくらと二人で始まった。
不安がなかったといえばそれはただの虚勢だし、怖くなかったと言えば嘘になる。
ただただ何とかしなければ、さくらを助けられるのはおれしかいないと、そう思っていた。
でも、今は少し違う。
優しく微笑んでくれるファイさん。
前を向けと言ってくれる黒鋼さん。
2人が背中を押してくれるから、羽根に思いっきり手を伸ばすことができる。
こんな旅、早く終わらせたいけれど、
この二人とは、ずっと一緒に旅がしたい、なんて、出会ってまだそんなに経っていないのに思ってしまう。
さくらももっと記憶を取り戻して、もっとさくららしく、一緒に、モコナも入れて5人で笑いあいたい。
そんな日が、1日でも早く来るようにーー
ぽん。
頭に温かな手がのせられた。
気づけばそこはもう城は目の前。
「心配いらない」
そう言ってくしゃくしゃとなでてくれるのは黒鋼さん。
おれはもう小さな子供ではないのに、その手が無性に嬉しい。
「そう、強いのが出てきたら黒むーが何とかしてくれるからね」
冗談を言うファイさんの笑顔も心に染み込むようだ。
そんなファイさんを横目で黒鋼さんが睨む。
「お前も戦え」
「えー、痛いのは嫌だなぁ」
思わず笑顔が溢れた。
2人があまりに暖かくて、優しいから。
大丈夫だよ、父さん。
それから、王様に神官様。
この人達となら、がんばれる気がする。
「さくら、おいしい饅頭があるんだ。
食べるか?」
春香ちゃんはやっぱり落ち着かないのか、部屋の中をくるくる動いている。
「うん、ありがとう」
一時はどうなる事かと思ったけれど、春香ちゃんがここに残ってくれてよかった。
じゃないと私の羽のせいで、もっと迷惑掛かっちゃうかもしれない。
「お前たちはどこから来たんだ?」
「私はよくわからないの。
記憶をなくしていて、それを探すために旅をしているから。
でも、こことは別の世界からきたよ」
「どんなところだったんだ?」
「阪神共和国っていうところらしいんだけど、
私その国ではほとんど眠っていてよく知らないの」
ずっと誰かが手を握っていてくれたことはわかるんだけれど。
「ごめん、いやなこと聞いたかな」
「ううん、そんなことないよ。
私、この旅のこと、好きだから」
これは本当に本当。
モコナちゃんも、ファイさんも、黒鋼さんも、それから小狼君も、みんなとても優しくて、温かい。
「みんな、いい奴だしな」
そう言って少しだけ寂しそうな顔をする春香ちゃん。
「もし……その羽が見つかったら、また他の世界に行ってしまうのか?」
今、春香ちゃんはお母さんはいない。
このおうちにひとりぼっちなんだ。
「……うん」
「黒鋼も……行っちゃうんだよな」
ぽつりとつぶやかれた言葉。
黒鋼さんと仲良くなっていたから、特別寂しいのかもしれない。
「そうだと思う。
黒鋼さんは、帰らないといけないところがあるんだって」
春香ちゃんは溜息をつく。
「待ってるんだろうなーー家族が」
「うーん、違うかも。
小狼君がいってたんだけど、黒鋼さんは忍者って言って、国を守るお仕事をしていたんだって。
そこの国のお姫様に忠誠を誓っているらしいよ」
「そのお姫様、いいな。
黒鋼みたいな友達がいて」
春香ちゃんは少しだけ拗ねちゃったみたい。
「私も、ファイさんも、小狼君も、モコナも、それからもちろん黒鋼さんだって、みんな春香ちゃんの友達だよ。
みんなみんな、春香ちゃんが大好き、だよ」
そういえば少し驚いた顔をしていた。
「また離れちゃうかもしれないけど、でも、きっとまた会えると思う。
会いたいって思うなら、会えると思う」
返事が返ってこないから、少し不安になって、そう思わない?と顔を覗き込んで聞いてみる。
春香ちゃんははっとした顔になって、それからくしゃっと笑った。
「そうだな、サクラはいいこと言うな!
生きていれば、願っていれば、きっと叶うよな!
じゃあ約束だぞ!」
誰よりも傍にいてくれる小狼君とも、何か約束したことがあるのかなーーそんな疑問がぽろりと出てきたけれど、お饅頭を食べたらすぐに忘れてしまった。
日本国と基本的によく似た作りの服だから、迷わず着られた。
姫は別室で春香に着せてもらっており、困っているのは小僧と男。
「黒様ーなにこれ、よくわかんなーい」
「小僧、こっちに来い。
お前は言い方があざとい」
俺はため息をつくとまず服を持ってやってきた小僧に教えながら着付けてやる。
それから男の前へと移動し、改めて服と彼を見比べる。
細さが目立っていたが、やはり戦いにも慣れているのか、それなりに体格がいい。
何かと尋ねる視線に軽く首を振って、着付けにかかった。
「うまいねー。
黒様の国って、こんな服だったの?」
上から声が降ってくる。
「ああ。着物や袴が主流だったからな」
「難しい服なんだねー
こう、すぽっと着られたらいいのに」
「慣れればそうでもない」
帯を巻く為、一瞬だけ背中の方に腕をまわし、腰に抱きつく形になる。
「慣れれば、ねぇ」
意味深な声にオレは男を見上げる。
指摘されると確かにいかがわしい体勢である。
つい今の今までは何とも思っていなかったのに、急に屈辱的な気持ちになる。
涼しく細めた目元で見下ろしているが、誰のせいだと思っているのだろう。
そもそもまだ子どもである小僧の前ではこういった発言は控えてもらいたいところだ。
横で慌て始める小僧を尻目に、話題を微かにずらす。
「オレは女中ではない」
「そうだね、黒様みたいな子が女中だったら、全然言うこと聞かなくて大変そう」
返事代わりに舌打ちをする。
「ま、もし黒様がお金に困って、女中のまねごととかしたら、
オレが雇ってあげるから心配いらないよー」
「断る」
誰がこんな男に仕えるか。
さっさと着付けると立ち上がる。
見目の良い上品な男なだけに、何を着ても似合うのが癪だ。
「いやだ!」
小狼君の制止の言葉に、叩くように放たれたのは春香ちゃんの声だった。
「行く!!」
「だめです」
「いやだ!
ついて行くからな、絶対!!」
「いいえ、だめです」
「小狼がダメと言ったって行く!」
涙目になってしまっていて可哀想だが、確かに連れてはいけない。
さくらちゃんも困り顔だ。
「私も行かないと気が済まない!」
自分の母親の仇討ちに行きたい気持ちは良くわかる。
だが彼女のような少女に何かできることがあるかと聞かれれば否としから答えようがないし、はっきり言ってしまえば足手まといになる。
その上彼女は既に目立ち過ぎている。
まだ子どもなのにオレ達のようなお尋ね者を匿い、もし領主を倒せなかった時、彼女の身に何が起こるか想像に容易い。
「それでもだめです」
「いやだ!」
「駄目だ」
壁にもたれ掛かって黙って見ていた黒りんだったが、埒が開かない様子に遂に口を開いた。
その静かなのに有無も言わさない圧に、小狼君は驚いたように振り返り、春香ちゃんは怯えたようにぐっと言葉を飲み込んだ。
黒りんは立ち上がって2人の傍まで歩み寄る。
叱られた子どもよろしく身をすくめる2人に手を伸ばし、そして一度に両手で2人の頭をわしゃわしゃ、と撫でた。
2人は驚いたようで、きょとんとしている。
「心配せずここで待っていろ。
死ななかったことを後悔するくらい、苦しめてきてやる」
そう優しい声色で春香ちゃんに言うと、今度は小狼君の方を向いて、にっと笑った。
「そうだろ」
「は、はい!」
黒様って、本当に優しい。
見ているこっちまで伝染してくるくらい。
不器用で、言葉は少ないのに、どうしてだろう。
「行くぞ」
彼女が歩き出し、小狼君がすぐその後を追う。
2人の背中は出会って間もないのに、どこか師弟のような信頼で結ばれて見えて、眩しい。
「おいっ!!」
後ろから春香ちゃんの声がして、また気でも変わったのかと思って振り返れば、唇を噛んで、仁王立ちしている。
握りしめた拳で涙をぎゅっとぬぐって、大きな声で叫んだ。
「帰ってこいよ!!
絶対!!」
黒様はちらりと振り返って勝ち気に笑って頷くと背を向けた。
ひらりと、手を振って。
相変わらず不思議な二人だ、と思う。
少し先を歩く黒鋼さんは、足音をまるで立てない。
その後ろをおれと並んで歩くファイさんは、なんだか少し考え事をしているみたいだ。
ぱっと見た目から白の印象を受けるファイさんは、明るくて、話し上手で、柔らかい雰囲気がある。
逆に黒の印象を受ける黒鋼さんは、物静かで、無口で、少し硬い空気を持っている。
まるで相反する二人。
でも、どちらも根から優しい人だ。
黒鋼さんは誰の為でも迷わず身体を張って戦ってくれる。
ファイさんはおれ達をいつも優しく支えてくれる。
何より出会って間もないさくらの羽を探すのを一緒に手伝ってくれる。
危険な秘術に、ともに向かってくれる。
こんなに心強いことはない。
眠っている時の黒鋼さんは、本当に女の人みたいに綺麗だったけど、倒れている黒鋼さんを抱き上げたファイさんは、あんなに細いけど男の人なんだと思った。
さくらも二人にはいつの間にか馴染んでいる。
こんな温かい二人だからなのだろう。
遺跡発掘で他国を旅していた時と、この旅は全く違う。
記憶を失った今にも消えてしまいそうなさくらと、それも、俺のことを忘れてしまっているさくらと二人で始まった。
不安がなかったといえばそれはただの虚勢だし、怖くなかったと言えば嘘になる。
ただただ何とかしなければ、さくらを助けられるのはおれしかいないと、そう思っていた。
でも、今は少し違う。
優しく微笑んでくれるファイさん。
前を向けと言ってくれる黒鋼さん。
2人が背中を押してくれるから、羽根に思いっきり手を伸ばすことができる。
こんな旅、早く終わらせたいけれど、
この二人とは、ずっと一緒に旅がしたい、なんて、出会ってまだそんなに経っていないのに思ってしまう。
さくらももっと記憶を取り戻して、もっとさくららしく、一緒に、モコナも入れて5人で笑いあいたい。
そんな日が、1日でも早く来るようにーー
ぽん。
頭に温かな手がのせられた。
気づけばそこはもう城は目の前。
「心配いらない」
そう言ってくしゃくしゃとなでてくれるのは黒鋼さん。
おれはもう小さな子供ではないのに、その手が無性に嬉しい。
「そう、強いのが出てきたら黒むーが何とかしてくれるからね」
冗談を言うファイさんの笑顔も心に染み込むようだ。
そんなファイさんを横目で黒鋼さんが睨む。
「お前も戦え」
「えー、痛いのは嫌だなぁ」
思わず笑顔が溢れた。
2人があまりに暖かくて、優しいから。
大丈夫だよ、父さん。
それから、王様に神官様。
この人達となら、がんばれる気がする。
「さくら、おいしい饅頭があるんだ。
食べるか?」
春香ちゃんはやっぱり落ち着かないのか、部屋の中をくるくる動いている。
「うん、ありがとう」
一時はどうなる事かと思ったけれど、春香ちゃんがここに残ってくれてよかった。
じゃないと私の羽のせいで、もっと迷惑掛かっちゃうかもしれない。
「お前たちはどこから来たんだ?」
「私はよくわからないの。
記憶をなくしていて、それを探すために旅をしているから。
でも、こことは別の世界からきたよ」
「どんなところだったんだ?」
「阪神共和国っていうところらしいんだけど、
私その国ではほとんど眠っていてよく知らないの」
ずっと誰かが手を握っていてくれたことはわかるんだけれど。
「ごめん、いやなこと聞いたかな」
「ううん、そんなことないよ。
私、この旅のこと、好きだから」
これは本当に本当。
モコナちゃんも、ファイさんも、黒鋼さんも、それから小狼君も、みんなとても優しくて、温かい。
「みんな、いい奴だしな」
そう言って少しだけ寂しそうな顔をする春香ちゃん。
「もし……その羽が見つかったら、また他の世界に行ってしまうのか?」
今、春香ちゃんはお母さんはいない。
このおうちにひとりぼっちなんだ。
「……うん」
「黒鋼も……行っちゃうんだよな」
ぽつりとつぶやかれた言葉。
黒鋼さんと仲良くなっていたから、特別寂しいのかもしれない。
「そうだと思う。
黒鋼さんは、帰らないといけないところがあるんだって」
春香ちゃんは溜息をつく。
「待ってるんだろうなーー家族が」
「うーん、違うかも。
小狼君がいってたんだけど、黒鋼さんは忍者って言って、国を守るお仕事をしていたんだって。
そこの国のお姫様に忠誠を誓っているらしいよ」
「そのお姫様、いいな。
黒鋼みたいな友達がいて」
春香ちゃんは少しだけ拗ねちゃったみたい。
「私も、ファイさんも、小狼君も、モコナも、それからもちろん黒鋼さんだって、みんな春香ちゃんの友達だよ。
みんなみんな、春香ちゃんが大好き、だよ」
そういえば少し驚いた顔をしていた。
「また離れちゃうかもしれないけど、でも、きっとまた会えると思う。
会いたいって思うなら、会えると思う」
返事が返ってこないから、少し不安になって、そう思わない?と顔を覗き込んで聞いてみる。
春香ちゃんははっとした顔になって、それからくしゃっと笑った。
「そうだな、サクラはいいこと言うな!
生きていれば、願っていれば、きっと叶うよな!
じゃあ約束だぞ!」
誰よりも傍にいてくれる小狼君とも、何か約束したことがあるのかなーーそんな疑問がぽろりと出てきたけれど、お饅頭を食べたらすぐに忘れてしまった。
