企画 ー節分ー
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こちらは【 whimsy room 】の銀木セイ様との『創作力を上げよう企画』のお話です。
(銀木様の企画ページは【 こちら 】)
銀木様の書かれた【 美味しい豆の食し方 】のシーンを、別主人公、1000文字で書かせていただきました。
まるで福豆のように『味は単調だし、パサつくし、』糖度の低い風待アレンジになっております……どうぞご容赦ください!
なお名前変換のデフォルトは、各々のサイトの設定となっております。
ご了承下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーー
大きな溜息に振り返ると、銀時が床にあぐらをかきながら面倒臭そうに撒かれた豆を拾っている。
「おい銀時、真面目に拾え」
「ちゃんと拾ってんだろーが。ほれ」
広げた手の中には、十粒に満たぬ豆。やる気の無さが見事に現れた数だ。
「鬼役の時は白夜叉を彷彿とさせる立ち回りだったが」
「ガキ共に付き合ってやってただけだっつーの。あいつら本気で投げてくっから、イテェのなんのってもう」
男らしく整った指先が一粒を摘む。
「しかも俺を痛めつけてくれたこの豆を、年の数だけ食わなきゃなんねーってどんな拷問?味は単調だし、パサつくし、無駄に腹は膨らむし」
同じく隣に座り豆を食べる。軽く砕け広がる香ばしさが昔を思い出させて堪らない。
「美味いと思うがな」
兄の小太郎と毎年一緒に数えて食べたものだ。彼はいつも自分より3粒多く、それを粛々と食べるのを眺めるのが幸せだった。
わざとらしい溜息に顔を上げる。
「テメェらはそういうの好みだからな。
現代の甘い幸せを享受するという発想はないわけ?」
兄の蕎麦好きを思い出して笑い、胸を占める寂しさに俯いた。
「享受しているさ。
……だからここにいる」
攘夷活動中大怪我をした。目が覚めると万事屋にいて、以来兄には会っていない。もう昔のようには走れないのだ、当然の事。兄が幾度となく攘夷活動に勧誘した銀時の店を手伝う毎日だ。
「それが享受している奴の顔かよ」
「白夜叉は追い払われてどこかに行ってしまったらしいな」
答えの代わりに皮肉を込めて呟く。
「……そうかもしれねーな」
不満を零しつつも豆を食べている様子が可笑しい。どうやら止まらなくなったらしい。
「文句あるわけ?」
「いいや」
拾い集めた豆から歳の数だけ択って一粒ずつ食べる。
彼の隣で豆を食べるのはーーそしてそれが兄の隣でないのは、もう3度目だ。3度目なのに、胸を占める寂寥感は消えるどころか年々深みを増す。兄の役に立てぬ無念と相まって。
背中から肩にかけて温もりが滑る。引き上げられるように顔を上げ、反射的に胸板に手をついた。間近に、若き日に見たのと同じ夜叉の瞳がある。
「豆臭いぞ銀時」
それは精一杯の抵抗だ。
「テメェもだ咲」
*創作時の決まり事
テーマは節分/1,000文字以内 /主人公変更
(銀木様の企画ページは【 こちら 】)
銀木様の書かれた【 美味しい豆の食し方 】のシーンを、別主人公、1000文字で書かせていただきました。
まるで福豆のように『味は単調だし、パサつくし、』糖度の低い風待アレンジになっております……どうぞご容赦ください!
なお名前変換のデフォルトは、各々のサイトの設定となっております。
ご了承下さい。
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大きな溜息に振り返ると、銀時が床にあぐらをかきながら面倒臭そうに撒かれた豆を拾っている。
「おい銀時、真面目に拾え」
「ちゃんと拾ってんだろーが。ほれ」
広げた手の中には、十粒に満たぬ豆。やる気の無さが見事に現れた数だ。
「鬼役の時は白夜叉を彷彿とさせる立ち回りだったが」
「ガキ共に付き合ってやってただけだっつーの。あいつら本気で投げてくっから、イテェのなんのってもう」
男らしく整った指先が一粒を摘む。
「しかも俺を痛めつけてくれたこの豆を、年の数だけ食わなきゃなんねーってどんな拷問?味は単調だし、パサつくし、無駄に腹は膨らむし」
同じく隣に座り豆を食べる。軽く砕け広がる香ばしさが昔を思い出させて堪らない。
「美味いと思うがな」
兄の小太郎と毎年一緒に数えて食べたものだ。彼はいつも自分より3粒多く、それを粛々と食べるのを眺めるのが幸せだった。
わざとらしい溜息に顔を上げる。
「テメェらはそういうの好みだからな。
現代の甘い幸せを享受するという発想はないわけ?」
兄の蕎麦好きを思い出して笑い、胸を占める寂しさに俯いた。
「享受しているさ。
……だからここにいる」
攘夷活動中大怪我をした。目が覚めると万事屋にいて、以来兄には会っていない。もう昔のようには走れないのだ、当然の事。兄が幾度となく攘夷活動に勧誘した銀時の店を手伝う毎日だ。
「それが享受している奴の顔かよ」
「白夜叉は追い払われてどこかに行ってしまったらしいな」
答えの代わりに皮肉を込めて呟く。
「……そうかもしれねーな」
不満を零しつつも豆を食べている様子が可笑しい。どうやら止まらなくなったらしい。
「文句あるわけ?」
「いいや」
拾い集めた豆から歳の数だけ択って一粒ずつ食べる。
彼の隣で豆を食べるのはーーそしてそれが兄の隣でないのは、もう3度目だ。3度目なのに、胸を占める寂寥感は消えるどころか年々深みを増す。兄の役に立てぬ無念と相まって。
背中から肩にかけて温もりが滑る。引き上げられるように顔を上げ、反射的に胸板に手をついた。間近に、若き日に見たのと同じ夜叉の瞳がある。
「豆臭いぞ銀時」
それは精一杯の抵抗だ。
「テメェもだ咲」
*創作時の決まり事
テーマは節分/1,000文字以内 /主人公変更