隠れ家
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松影が母屋へ戻ったのを確信してから、服を着替える。
破れや綻びは綺麗に繕われていた。
服の下には笹の葉に包まれた握飯があった。
忘れていった薬箱も、入用であれば持っていっていいということなのだろう。
(何故、ここまで……)
考えてみればあの松陽も、自分達貧しい者から学費を取らずに教えていた。
銀時ら家の無い者のことは養ってさえいた。
それを思えば、攘夷志士1人、傷が癒えるまで面倒をみると言うのもあながちあり得ない話ではない。
(松陽先生 であれば。)
あの人の陽だまりのような温かさの理由は、優しさの理由は何だったのだろうかと、今でも不思議に思う。
人はあれ程無欲にいられるものだろうか。
薬箱から包帯と塗り薬を取り出し、握り飯と一緒に風呂敷に包んで背に掛け、刀を腰に差す。
擦った墨は使わず仕舞いであった。
礼の一つでも認 めるつもりであったが、松陽と松影の関係等を考え始めると、終ぞ言葉にならなかった。
隠し戸を開け、押し入れからにじり出る。
床に落ちた光の元を辿ると、出入り口とは反対にある障子が開いていて、月光が差し込んでいた。
(実に親切な、月影だ。)
窓枠に飛び乗ってから、ちらりと振り返る。
懐かしい教室に微笑んで軽く手を上げて挨拶をしてから、屋敷を飛び出した。
(行ってしまいましたか。)
屋根の上に現れた影に目を細める。
それは瞬く間に消えた。
柔らかな夜風が、吹き下ろす。
(貴方は、どうか死なないでください。)
旧き弟弟子を思い出しながら、月を見上げる。
彼をどうしたら幸せに生かせたのだろうと、己の心に問いかけながら。
破れや綻びは綺麗に繕われていた。
服の下には笹の葉に包まれた握飯があった。
忘れていった薬箱も、入用であれば持っていっていいということなのだろう。
(何故、ここまで……)
考えてみればあの松陽も、自分達貧しい者から学費を取らずに教えていた。
銀時ら家の無い者のことは養ってさえいた。
それを思えば、攘夷志士1人、傷が癒えるまで面倒をみると言うのもあながちあり得ない話ではない。
(
あの人の陽だまりのような温かさの理由は、優しさの理由は何だったのだろうかと、今でも不思議に思う。
人はあれ程無欲にいられるものだろうか。
薬箱から包帯と塗り薬を取り出し、握り飯と一緒に風呂敷に包んで背に掛け、刀を腰に差す。
擦った墨は使わず仕舞いであった。
礼の一つでも
隠し戸を開け、押し入れからにじり出る。
床に落ちた光の元を辿ると、出入り口とは反対にある障子が開いていて、月光が差し込んでいた。
(実に親切な、月影だ。)
窓枠に飛び乗ってから、ちらりと振り返る。
懐かしい教室に微笑んで軽く手を上げて挨拶をしてから、屋敷を飛び出した。
(行ってしまいましたか。)
屋根の上に現れた影に目を細める。
それは瞬く間に消えた。
柔らかな夜風が、吹き下ろす。
(貴方は、どうか死なないでください。)
旧き弟弟子を思い出しながら、月を見上げる。
彼をどうしたら幸せに生かせたのだろうと、己の心に問いかけながら。