御伽噺
名前変換
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「大丈夫ですか。
生きていますか」
静かな問いかけに答える気力も体力もない。
血と汗とそれからよくわからない不衛生な匂いが漂う俺が生きているかなど、声の主には分からないに違いない。
「衛生状態は最悪。
傷も深そうですね」
ぐーきゅるるるる
俺の腹がなり、声をかけた者はくすくすと笑った。
「良かった。
貴方の体は、まだ生きたいと思っているらしい」
そしてよいしょ、と肩に背負われるので、流石に口を開く。
唇が乾いて割れた。
「・・・俺を助けるたぁ、どういうこった。
ばい菌が移るぜ」
「よく聞こえませんね。」
抱えた方はか細い声にそう言って苦笑する。
「おい」
「貴方の身体が生きたいと言うなら、生かすまで」
「とんだ気違いだな」
「左様で」
穏やかな様子を崩さない。
「お前、名前は」
「人に名乗る時は自分がまず名乗りなさい」
「チッ・・・坂田だ、坂田銀時」
「おや、平安時代の偉人とよく似たお名前ですね」
「はぁ?」
「都に悪さをする酒呑童子を退治した親孝行の心優しい力持ちの人ですよ」
「なんだそりゃ、御伽噺か?」
「まぁそうですね。
でも私も貴方も……それと大差ない」
よく分からないことを言う奴だと、ぼんやりと思う。
「で、名前は?」
「吉田
その言葉にもたれ掛かっていた手を振り解き正面から向かい合い、そして初めて顔を見た。
「……なん、つった?」
自分よりいくらか小柄な男だった。
漆黒の長髪、漆黒の瞳、だが確かに面影は知るその人によく似ている。
しいて言うなら、記憶にあるその人よりもいくらかーー今の自分より若干幼く見える。
「吉田松影」
その人は取り乱す銀時に構うことなく、もう一度そう言って穏やかに微笑んだ。
「寺子屋で手習いを教えています」
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