墨染桜編
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呉服屋から出て寒空の下、咲は考える。
私は空悟を愛しているはずだ。
ならば緋真の質問にも答えられるはずなのに、答えはなかった。
この空虚な気持ちはなんだろう。
彼への愛もその記憶もどこか曖昧で切り取られたような不思議な感覚に包まれている。
それよりも何故か先日流れで初めて 体を重ねたはず の京楽への思いの方がはっきりしている。
なんならなんの関係もない浮竹の方がーー。
得体のしれない違和感に米神を抑える。
前もこんな違和感を感じたと思い出す。
(秀九郎さんにあった後に浮竹と話した時だ)
愛おしさと不安の共存は酷く心をぐらつかせる。
任務上、心の不安定さは命取りだ。
このままではいけないと、不安を吐き出すようにため息をついた。
「ご苦労」
咲は労りの言葉に深く頭を垂れた。
朽木の家に呼び出され、銀嶺の前に跪くことは珍しい。
彼はいつも#咲#の上司ではあるが、必ず副隊長が手綱を握るからだ。
彼の前に跪くと、胸の奥が締め付けられるように痛む。
おそらくそれは、響河や蒼純を喪った時を思い起こさせるからだろう。
威厳ある銀嶺の背中には常に、死が見える。
背負う物の深さに、咲はいつも、苦しくなるのだった。
「表を上げよ。
今日来てもらったのは任務ではない。
聞きたい事があるのだ」
静かな声に頭を上げる。
「白哉から、流魂街にいる病気の娘の話は聞いておろう」
まさか彼から自分に対してその話が出るとは思わず驚く。
「呉服屋の娘のことでしょうか」
「如何にも」
銀嶺は珍しくため息をついた。
「我が朽木家の多くを知るお前に、最早隠し事をする必要はあるまい。
しばらく前のことだ」
静かな声が、数日前のことを語り、予想を超える事態に目を見開いた。
「若様」
咲がそう呼びかけるのは、仕事の事ではない時だ。
事実今は昼休みで、白哉は食事のため席を外そうと思い立ち上がったところだった。
「緋真さんのことでお話が」
ここまで話が伝わったかと、白哉はため息をついた。
「誰から聞いた?
父上か?それとも緋真か?」
「お二人からです」
白哉は深いため息をついた。
いずれ伝わるだろうとは思っていたがまさかこれほど早く2人とも相談するとは予想外だ。
「私はまず、若様のお話を伺いたいです」
真摯な瞳に、心労が軽くなる気がした。
彼女はいつも、自分を信じている。
祖父を信じたように、父を信じたように。
白哉は重い口を開けた。
私は空悟を愛しているはずだ。
ならば緋真の質問にも答えられるはずなのに、答えはなかった。
この空虚な気持ちはなんだろう。
彼への愛もその記憶もどこか曖昧で切り取られたような不思議な感覚に包まれている。
それよりも何故か先日流れで
なんならなんの関係もない浮竹の方がーー。
得体のしれない違和感に米神を抑える。
前もこんな違和感を感じたと思い出す。
(秀九郎さんにあった後に浮竹と話した時だ)
愛おしさと不安の共存は酷く心をぐらつかせる。
任務上、心の不安定さは命取りだ。
このままではいけないと、不安を吐き出すようにため息をついた。
「ご苦労」
咲は労りの言葉に深く頭を垂れた。
朽木の家に呼び出され、銀嶺の前に跪くことは珍しい。
彼はいつも#咲#の上司ではあるが、必ず副隊長が手綱を握るからだ。
彼の前に跪くと、胸の奥が締め付けられるように痛む。
おそらくそれは、響河や蒼純を喪った時を思い起こさせるからだろう。
威厳ある銀嶺の背中には常に、死が見える。
背負う物の深さに、咲はいつも、苦しくなるのだった。
「表を上げよ。
今日来てもらったのは任務ではない。
聞きたい事があるのだ」
静かな声に頭を上げる。
「白哉から、流魂街にいる病気の娘の話は聞いておろう」
まさか彼から自分に対してその話が出るとは思わず驚く。
「呉服屋の娘のことでしょうか」
「如何にも」
銀嶺は珍しくため息をついた。
「我が朽木家の多くを知るお前に、最早隠し事をする必要はあるまい。
しばらく前のことだ」
静かな声が、数日前のことを語り、予想を超える事態に目を見開いた。
「若様」
咲がそう呼びかけるのは、仕事の事ではない時だ。
事実今は昼休みで、白哉は食事のため席を外そうと思い立ち上がったところだった。
「緋真さんのことでお話が」
ここまで話が伝わったかと、白哉はため息をついた。
「誰から聞いた?
父上か?それとも緋真か?」
「お二人からです」
白哉は深いため息をついた。
いずれ伝わるだろうとは思っていたがまさかこれほど早く2人とも相談するとは予想外だ。
「私はまず、若様のお話を伺いたいです」
真摯な瞳に、心労が軽くなる気がした。
彼女はいつも、自分を信じている。
祖父を信じたように、父を信じたように。
白哉は重い口を開けた。