墨染桜編
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夜空を黒い影が横切り、紫電が走った。
虚は咆哮も上げる間もなく、灰になり崩れていく。
「大丈夫ですか」
静かな声に、虚から影へと視線を移す。
その人は、銀城が関わってはならないといっていた黒い衣を纏った死神で、首には眩い白い布を巻いていた。
その人は草を踏み鳴らしながらゆっくりと近づいてきた。
「私のことも、見えているんですよね。
虚が見えたくらいですから。
でもただの刀ではあれは斬れません。
刀を子どもが持つのは感心しませんがーー」
彼女の視線が刀に向かい、取り上げられるのではと言う恐怖に刀を抱き寄せた。
「私も貴方くらいの頃には刀を下げていました」
彼女はそう言って自分の刀を鞘に戻した。
そして腰を落とし視線を合わせると微笑んだ。
「足の傷、治してもいいですか」
言われて初めて、脹脛のあたりに無数に切り傷がある事に気づいた。
飛び避けた際に草で切ったか、地面が抉られた時に飛び散った砂で切ったのだろうか。
こくりと頷くと死神はゆっくりと近づいて膝をつき、不思議な青い光を手に灯した。
その光が傷に当たるとじんわりと熱を帯び、みるみる塞がる。
あまりの事に驚いて死神を見下ろすと、死神は小さく笑った。
「私達の力のひとつで、医者と似たようなものです」
その笑顔の温かい事。
母に優しくされた記憶のない月島は、思わず顔が熱くなるほどの思いだった。
「夜には出歩かない方がいいですよ。
襲われやすいですから」
穏やかな声が耳に届く。
心配されていることが、何よりも嬉しかった。
傷など治らなくて良いから、ここにずっといてほしいと、そう思ってしまった。
願ってしまった。
抱いていた刀を持つ手を、微かに緩めた。
刀は死神の手を浅く斬ったはずだった。
だが傷はなく、ただ地面に浅く刺さり倒れただけだった。
「よかった、貴女の言う通りただの刀 だから斬れなかった」
少しの間があって、死神は穏やかに微笑んだ。
「ええ、そうですね。
秀九郎さんも怪我がなくてよかった」
「ありがとう、咲さん」
死神ーー咲は小さく首を横に振ると立ち上がった。
「家まで送ります」
「大丈夫、すぐそこだから。
またね」
そう言って手を振ると、咲も手をふり返したーーまるで旧知のように。
虚は咆哮も上げる間もなく、灰になり崩れていく。
「大丈夫ですか」
静かな声に、虚から影へと視線を移す。
その人は、銀城が関わってはならないといっていた黒い衣を纏った死神で、首には眩い白い布を巻いていた。
その人は草を踏み鳴らしながらゆっくりと近づいてきた。
「私のことも、見えているんですよね。
虚が見えたくらいですから。
でもただの刀ではあれは斬れません。
刀を子どもが持つのは感心しませんがーー」
彼女の視線が刀に向かい、取り上げられるのではと言う恐怖に刀を抱き寄せた。
「私も貴方くらいの頃には刀を下げていました」
彼女はそう言って自分の刀を鞘に戻した。
そして腰を落とし視線を合わせると微笑んだ。
「足の傷、治してもいいですか」
言われて初めて、脹脛のあたりに無数に切り傷がある事に気づいた。
飛び避けた際に草で切ったか、地面が抉られた時に飛び散った砂で切ったのだろうか。
こくりと頷くと死神はゆっくりと近づいて膝をつき、不思議な青い光を手に灯した。
その光が傷に当たるとじんわりと熱を帯び、みるみる塞がる。
あまりの事に驚いて死神を見下ろすと、死神は小さく笑った。
「私達の力のひとつで、医者と似たようなものです」
その笑顔の温かい事。
母に優しくされた記憶のない月島は、思わず顔が熱くなるほどの思いだった。
「夜には出歩かない方がいいですよ。
襲われやすいですから」
穏やかな声が耳に届く。
心配されていることが、何よりも嬉しかった。
傷など治らなくて良いから、ここにずっといてほしいと、そう思ってしまった。
願ってしまった。
抱いていた刀を持つ手を、微かに緩めた。
刀は死神の手を浅く斬ったはずだった。
だが傷はなく、ただ地面に浅く刺さり倒れただけだった。
「よかった、貴女の言う通り
少しの間があって、死神は穏やかに微笑んだ。
「ええ、そうですね。
秀九郎さんも怪我がなくてよかった」
「ありがとう、咲さん」
死神ーー咲は小さく首を横に振ると立ち上がった。
「家まで送ります」
「大丈夫、すぐそこだから。
またね」
そう言って手を振ると、咲も手をふり返したーーまるで旧知のように。