墨染桜編
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銀城が定期的に、夜1人で外出することに月島は気付いていた。
それも、必ず月島が眠っている事を確認してから家を出る。
それは彼がある事 をしているからであり、それ故に彼は尋常でない力と人外の寿命を持つ。
彼の記憶を覗いたから知っているのだが、月島はいつからか、記憶を覗くのと、本人の口から真実を聞く事や、事実を見る事では何かが違うように感じていた。
その事実になんら変わりはないが、自分の心の中で何かが疼くのだ。
この目で見たい、この耳で銀城の口から聞きたい、と。
その思いは心に穴をあける。
知りさえすれば良いと思っていた筈なのに、知れば知る程孤独に追いやられる。
信頼され話される姿への憧れであり、そうなれる日が来るのかという不安。
そしてその思いに拍車をかけるのは、月島自身を刀で斬った相手の過去に挟むという能力を開花させ、挟む相手の過去を見ることができると知った時の銀城の、青褪めた顔だった。
何しろ初めて斬った相手は銀城であり、彼の過去の全てをその時に知った。
それに気づいた銀白は顔色を変えた。
それ程までに知られたくなかったのだ、自分はまだ信頼されていないと直感した月島は、それ以降銀城の過去について一切口にする事をやめた。
銀城の方でも今まで通り振舞ってくれた。
互いに己の能力により迫害された過去があるからこそだった。
だがそれはまるで仮初の日常だ。
月島の心に不安は募るばかりであった。
とある夜更け、銀城がこっそりと家から出たのを確認して、月島も外に出た。
薄暗い森の中、微かな月明かりを頼りに影を追って進む。
たが途中、梟の物音に驚いた間に姿を見失ってしまった。
仕方がない戻ろうか、と思った時だった。
微かな月明かりが遮られ、足元に影が落ちた。
背筋が凍る様な殺気を感じ、振り返る。
その視線の先に現れたのは、虚だった。
巨大なそれに、慌ててポケットから栞を取り出す。
力を込めるとそれは刀に姿を変えた。
虚は咆哮を上げる。
銀城は月島に教えた。
月島は霊圧が高く、その為にずっと虚に狙われてきたのだと。
虚にとっては垂涎ものなのだと。
喰われないためには、強くなるしかないと。
1人で虚と戦うのは初めてだった。
それでも戦う他ない。
手汗が滲む。
刀を滑らせないよう、握り直し、虚が振り下ろした手を飛び避ける。
地面が抉れるその力に目を見開く。
完現術を手に入れて以来、鍛錬の時は必ず後ろに銀城がいた。
危なくなれば助けてくれた。
手を出すなと言いながらも、子供扱いしてくれる彼の援護がどれほど嬉しかったか。
自分の命を護る為に誰かが刀を抜いてくれる事は言いようもない喜びだった。
だが、今は銀城は居ない。
振り仰げば鋭い牙をカチカチと鳴らして涎を垂らす白い顔。
走馬燈の様に銀城の顔が脳裏に蘇る。
彼はきっと、自分の甘さを見抜いていた。
だから真実を教えてくれなかったのだ。
どれ程彼に追いつきたいと、肩を並べたいと思ったところで、やはり自分は所詮子供に過ぎなかったのだ。
こうして後をつけて彼の秘密をこの目で見たからと言って何になると言うのだろう。
全ては自己満足に過ぎないのだ。
(生きて銀城の元へ帰りたい。
帰ったらもう、こんな甘えた気持ちは捨てて、本気で鍛錬する。
本気で強くなる。
信用してもらえる大人になるように!!
だから助けてーー!!!)
それも、必ず月島が眠っている事を確認してから家を出る。
それは彼が
彼の記憶を覗いたから知っているのだが、月島はいつからか、記憶を覗くのと、本人の口から真実を聞く事や、事実を見る事では何かが違うように感じていた。
その事実になんら変わりはないが、自分の心の中で何かが疼くのだ。
この目で見たい、この耳で銀城の口から聞きたい、と。
その思いは心に穴をあける。
知りさえすれば良いと思っていた筈なのに、知れば知る程孤独に追いやられる。
信頼され話される姿への憧れであり、そうなれる日が来るのかという不安。
そしてその思いに拍車をかけるのは、月島自身を刀で斬った相手の過去に挟むという能力を開花させ、挟む相手の過去を見ることができると知った時の銀城の、青褪めた顔だった。
何しろ初めて斬った相手は銀城であり、彼の過去の全てをその時に知った。
それに気づいた銀白は顔色を変えた。
それ程までに知られたくなかったのだ、自分はまだ信頼されていないと直感した月島は、それ以降銀城の過去について一切口にする事をやめた。
銀城の方でも今まで通り振舞ってくれた。
互いに己の能力により迫害された過去があるからこそだった。
だがそれはまるで仮初の日常だ。
月島の心に不安は募るばかりであった。
とある夜更け、銀城がこっそりと家から出たのを確認して、月島も外に出た。
薄暗い森の中、微かな月明かりを頼りに影を追って進む。
たが途中、梟の物音に驚いた間に姿を見失ってしまった。
仕方がない戻ろうか、と思った時だった。
微かな月明かりが遮られ、足元に影が落ちた。
背筋が凍る様な殺気を感じ、振り返る。
その視線の先に現れたのは、虚だった。
巨大なそれに、慌ててポケットから栞を取り出す。
力を込めるとそれは刀に姿を変えた。
虚は咆哮を上げる。
銀城は月島に教えた。
月島は霊圧が高く、その為にずっと虚に狙われてきたのだと。
虚にとっては垂涎ものなのだと。
喰われないためには、強くなるしかないと。
1人で虚と戦うのは初めてだった。
それでも戦う他ない。
手汗が滲む。
刀を滑らせないよう、握り直し、虚が振り下ろした手を飛び避ける。
地面が抉れるその力に目を見開く。
完現術を手に入れて以来、鍛錬の時は必ず後ろに銀城がいた。
危なくなれば助けてくれた。
手を出すなと言いながらも、子供扱いしてくれる彼の援護がどれほど嬉しかったか。
自分の命を護る為に誰かが刀を抜いてくれる事は言いようもない喜びだった。
だが、今は銀城は居ない。
振り仰げば鋭い牙をカチカチと鳴らして涎を垂らす白い顔。
走馬燈の様に銀城の顔が脳裏に蘇る。
彼はきっと、自分の甘さを見抜いていた。
だから真実を教えてくれなかったのだ。
どれ程彼に追いつきたいと、肩を並べたいと思ったところで、やはり自分は所詮子供に過ぎなかったのだ。
こうして後をつけて彼の秘密をこの目で見たからと言って何になると言うのだろう。
全ては自己満足に過ぎないのだ。
(生きて銀城の元へ帰りたい。
帰ったらもう、こんな甘えた気持ちは捨てて、本気で鍛錬する。
本気で強くなる。
信用してもらえる大人になるように!!
だから助けてーー!!!)