新副隊長編
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四番隊の門は開いていた。
中に入ると声を掛けられた。
「おーい、無事だったか」
「副隊長」
そこには戦闘後であろう、簡単な治療を受けた一心がいた。
彼は立ち上がると奥へ声をかける。
「見てやってもらえますか!
見た目以上に重症だ。
幻覚による攻撃を受けた様だった」
「こちらへどうぞ!」
四番隊士に言われるがままに咲を治療室に運び込み、そして部屋を出る。
無意識に足が止まり、振り返る。
扉は目の前で固く閉ざされた。
「……心配か」
「籠は十二番隊の阿近三席にお渡ししました」
掛けられた声に振り返るが、答えはしない。
ー裏切り者になる前に私が切り捨てたまで。
何故取り付かれたかわかりますか?
身も心も弱いからだ!!!
部下を思う甘さ、情に流される弱さ。
誇りのために命を諦める・・・あまりに無責任だー
彼女は父を殺した夜、まるで白哉をけしかける様に畳み掛けた。
報告書も確認したが、彼女の言葉通り、虚に寄生された蒼純を咲が厳正に処理したと言う内容だけだった。
報告書なのだ、必要最低限の事実が記載されているだけの話。
だが、何かが白哉の中で引っかかっていた。
父銀嶺や一心に些細を聞くのも躊躇われ、ずっと死の真相への疑問に蓋をし、その分鍛錬に励んだ。
父を、超えるために。
そしてその仇ーー咲を超えるために。
そうすることが亡父の為であると、今まで信じてきた。
無言のまま一礼し、立ち去る白哉の背中に一心は声をかける。
「サンキューな」
去りゆく白哉は一心の想像以上に落ち着いていた。
一心なりに咲との確執には気づいていたし、両者が接触を避けているも、銀嶺が2人の接触を避けさせているのも明らかだった。
だから今回現地まで彼を同行させるのは辞めたのだ。
万が一敵の目前で2人が取り乱すことは命取りになる。
だが咲が逃げてきた場合の救援であれば、何とかなるのではと、霞大路家から技術開発局への道中にある十一番隊付近に待機させた。
2人は無事に会い、証拠の品も無事だった。
そして今白哉を見た限り、取り乱したりはしていない。
もし、彼を自分と同行させていたら、現地で姿の見えない如月の霊圧を自分が追い、貫井を彼に任せることも出来た。
斬魄刀を壊された貫井であれば白哉でも相手にできただろうし、自分の様に取り逃すことも無かったかもしれない。
だがそうすれば彼は、両親の死の真相を知ることになっただろう。
蒼純が虚に寄生されたというよりむしろ、虚化し咲に粛清されたこと。
母である月雫 も咲に殺されたーーそれも、白哉を産むと言う固い決断の末に。
その全てを知った時、彼が何を思い何をするのか、未来にどんな影響を及ぼすのか、一心には想像もつかなかった。
だが現実として、白哉の目に過去が露見することは無かった。
その代わり、今夜、彼と同じく目の前で父を失った青年がいた。
一番隊隊士のその青年は、総隊長に斬られた父ーー 獏爻刀 により操られ、総隊長に刀を向けた 如月秦戉 五席の息子だった。
父の罪を自ら訴えた結果、その父を粛清された一心でさえ、ずっと心に蟠り を残す。
父を信頼し尊敬していた状況で、信頼していた人に殺された青年達の心の内を思い、思わずため息を吐く。
(つっても、信じるしかねぇんだ)
その2人が、共に隊長羽織に身を包む日が来ることも、その先は全く違う道へとなることも、誰も想像がつかない事であった。
中に入ると声を掛けられた。
「おーい、無事だったか」
「副隊長」
そこには戦闘後であろう、簡単な治療を受けた一心がいた。
彼は立ち上がると奥へ声をかける。
「見てやってもらえますか!
見た目以上に重症だ。
幻覚による攻撃を受けた様だった」
「こちらへどうぞ!」
四番隊士に言われるがままに咲を治療室に運び込み、そして部屋を出る。
無意識に足が止まり、振り返る。
扉は目の前で固く閉ざされた。
「……心配か」
「籠は十二番隊の阿近三席にお渡ししました」
掛けられた声に振り返るが、答えはしない。
ー裏切り者になる前に私が切り捨てたまで。
何故取り付かれたかわかりますか?
身も心も弱いからだ!!!
部下を思う甘さ、情に流される弱さ。
誇りのために命を諦める・・・あまりに無責任だー
彼女は父を殺した夜、まるで白哉をけしかける様に畳み掛けた。
報告書も確認したが、彼女の言葉通り、虚に寄生された蒼純を咲が厳正に処理したと言う内容だけだった。
報告書なのだ、必要最低限の事実が記載されているだけの話。
だが、何かが白哉の中で引っかかっていた。
父銀嶺や一心に些細を聞くのも躊躇われ、ずっと死の真相への疑問に蓋をし、その分鍛錬に励んだ。
父を、超えるために。
そしてその仇ーー咲を超えるために。
そうすることが亡父の為であると、今まで信じてきた。
無言のまま一礼し、立ち去る白哉の背中に一心は声をかける。
「サンキューな」
去りゆく白哉は一心の想像以上に落ち着いていた。
一心なりに咲との確執には気づいていたし、両者が接触を避けているも、銀嶺が2人の接触を避けさせているのも明らかだった。
だから今回現地まで彼を同行させるのは辞めたのだ。
万が一敵の目前で2人が取り乱すことは命取りになる。
だが咲が逃げてきた場合の救援であれば、何とかなるのではと、霞大路家から技術開発局への道中にある十一番隊付近に待機させた。
2人は無事に会い、証拠の品も無事だった。
そして今白哉を見た限り、取り乱したりはしていない。
もし、彼を自分と同行させていたら、現地で姿の見えない如月の霊圧を自分が追い、貫井を彼に任せることも出来た。
斬魄刀を壊された貫井であれば白哉でも相手にできただろうし、自分の様に取り逃すことも無かったかもしれない。
だがそうすれば彼は、両親の死の真相を知ることになっただろう。
蒼純が虚に寄生されたというよりむしろ、虚化し咲に粛清されたこと。
母である
その全てを知った時、彼が何を思い何をするのか、未来にどんな影響を及ぼすのか、一心には想像もつかなかった。
だが現実として、白哉の目に過去が露見することは無かった。
その代わり、今夜、彼と同じく目の前で父を失った青年がいた。
一番隊隊士のその青年は、総隊長に斬られた父ーー
父の罪を自ら訴えた結果、その父を粛清された一心でさえ、ずっと心に
父を信頼し尊敬していた状況で、信頼していた人に殺された青年達の心の内を思い、思わずため息を吐く。
(つっても、信じるしかねぇんだ)
その2人が、共に隊長羽織に身を包む日が来ることも、その先は全く違う道へとなることも、誰も想像がつかない事であった。