新副隊長編
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
目を開けるとそこは、見覚えのある林だった。
そこを通る事は避けてきたのに、記憶にこびり付いて離れない、場所。
ふと呻き声に振り返る。
「副隊長!!!」
蒼純が両手で顔を覆い、身体を折っていた。
恐怖に全身が粟立つ。
震えが抑えられない。
恐る恐る、蒼純の身体に手を伸ばした。
「副、隊長ッ……」
苦しみに震える肩に、怯え震える手を伸ばす。
(だめだ、私が……助ける。)
腹の底まで息を吸い込む。
覚悟の末に治る震え。
彼を正面に回り込み、両肩を強く掴んだ。
「お気を確かにッ!!」
自分にも言い聞かせる言葉だった。
だが咲の手を尋常でないほど強く、上司は払った。
白目が黒く、そして瞳が金色に変色した瞳が一瞬咲を捕え、そして苦しげに細められた。
「うぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
この世の物とは思えない咆哮に、間違いなく最悪の事態になったと咲は歯を噛み締める。
彼の優しく暖かく澄んでいた霊圧は、どうしてこれほどまでに禍々しい、虚のそれになってしまったのか。
「ーー咲」
声は彼のままだ、苦しげな表情さえ。
だが彼の存在の根本が覆されてしまった。
美しかった顔を覆い始めた角の生えた白い仮面。
残された片目が、咲を捕らえて離さない。
蒼純の刀と咲の刀が、咲の首元で甲高い音を立てて激しくぶつかった。
鍔迫合いに限界を感じた咲は、強い衝撃と共に吹き飛ばされ、蒼純が雄叫びをあげる。
彼の左肩が引き裂かれ、白骨化した腕が生えた。
「副、隊長……」
「お前は強き故に多くの命を諫め、哀しみの業を背負う。
もしお前が弱ければ、いくら私が望もうと、こうして私を諌める役は頼めなかった。
私の醜い姿も見せずに、すんだのに!!!」
矛盾した思いの根源には、咲と過ごした多くの時と、それ故の信頼と、愛着がある。
降り下ろされる腕を寸前で躱す。
「お気を確かに!
副隊長っ!!!」
悲痛な声に蒼純は目を開けた。
仮面の面積は広がり、左目を残すだけとなった。
額から生える2本の折れ曲がった角は酷く攻撃的で、恐ろしい。
白目と黒目が反転した両眼は、最早人とは思えないが、咲にとってはかけがえのない上司の瞳であった。
彼は咆哮をあげて、咲を殴り飛ばした。
叩きつけた木に蒼純の腕が咲を縫いとめる。
至近距離の咆哮に、空気が揺れる。
聴覚がやられそうになる。
「ふく、た……」
そして刀のような細く鋭い爪となった腕が咲の腹部を躊躇いなく貫いた。
咲は血を吐き、その赤が彼の白い腕に流れた。
そしてその手はまた躊躇いなく抜かれ、血飛沫が舞う。
虚な咲の目に、苦しげに歪んだ蒼純の顔が映る。
「なぜだ……なぜ私を殺してくれなかった……
こうしてお前を傷つける前に、罪人と、虚となる前に!!!」
再び振り上げられた手が腹を貫く。
不気味な夜の林に、咲が血を吐く音、そして蒼純の咆哮が響いた。
そこを通る事は避けてきたのに、記憶にこびり付いて離れない、場所。
ふと呻き声に振り返る。
「副隊長!!!」
蒼純が両手で顔を覆い、身体を折っていた。
恐怖に全身が粟立つ。
震えが抑えられない。
恐る恐る、蒼純の身体に手を伸ばした。
「副、隊長ッ……」
苦しみに震える肩に、怯え震える手を伸ばす。
(だめだ、私が……助ける。)
腹の底まで息を吸い込む。
覚悟の末に治る震え。
彼を正面に回り込み、両肩を強く掴んだ。
「お気を確かにッ!!」
自分にも言い聞かせる言葉だった。
だが咲の手を尋常でないほど強く、上司は払った。
白目が黒く、そして瞳が金色に変色した瞳が一瞬咲を捕え、そして苦しげに細められた。
「うぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
この世の物とは思えない咆哮に、間違いなく最悪の事態になったと咲は歯を噛み締める。
彼の優しく暖かく澄んでいた霊圧は、どうしてこれほどまでに禍々しい、虚のそれになってしまったのか。
「ーー咲」
声は彼のままだ、苦しげな表情さえ。
だが彼の存在の根本が覆されてしまった。
美しかった顔を覆い始めた角の生えた白い仮面。
残された片目が、咲を捕らえて離さない。
蒼純の刀と咲の刀が、咲の首元で甲高い音を立てて激しくぶつかった。
鍔迫合いに限界を感じた咲は、強い衝撃と共に吹き飛ばされ、蒼純が雄叫びをあげる。
彼の左肩が引き裂かれ、白骨化した腕が生えた。
「副、隊長……」
「お前は強き故に多くの命を諫め、哀しみの業を背負う。
もしお前が弱ければ、いくら私が望もうと、こうして私を諌める役は頼めなかった。
私の醜い姿も見せずに、すんだのに!!!」
矛盾した思いの根源には、咲と過ごした多くの時と、それ故の信頼と、愛着がある。
降り下ろされる腕を寸前で躱す。
「お気を確かに!
副隊長っ!!!」
悲痛な声に蒼純は目を開けた。
仮面の面積は広がり、左目を残すだけとなった。
額から生える2本の折れ曲がった角は酷く攻撃的で、恐ろしい。
白目と黒目が反転した両眼は、最早人とは思えないが、咲にとってはかけがえのない上司の瞳であった。
彼は咆哮をあげて、咲を殴り飛ばした。
叩きつけた木に蒼純の腕が咲を縫いとめる。
至近距離の咆哮に、空気が揺れる。
聴覚がやられそうになる。
「ふく、た……」
そして刀のような細く鋭い爪となった腕が咲の腹部を躊躇いなく貫いた。
咲は血を吐き、その赤が彼の白い腕に流れた。
そしてその手はまた躊躇いなく抜かれ、血飛沫が舞う。
虚な咲の目に、苦しげに歪んだ蒼純の顔が映る。
「なぜだ……なぜ私を殺してくれなかった……
こうしてお前を傷つける前に、罪人と、虚となる前に!!!」
再び振り上げられた手が腹を貫く。
不気味な夜の林に、咲が血を吐く音、そして蒼純の咆哮が響いた。