新副隊長編
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霞大路家からの帰り道のこと、咲はつけられていると気付いた時点で、次の策への移行のタイミングを見計らっていた。
「おい」
掛けられた声に咲は振り返る。
既に日は落ち、辺りに人気はない。
「はい」
「笠を脱げ」
顔の中央に切り傷のある男が微かな殺気を滲ませそう言い放つ。
男に戦闘の意思があることは明らかだ。
「貫井殿?
いかがなさいましたか」
その後ろに白衣姿の天貝が駆けてきた。
「お前こそどうした」
「急ぎで頼みたい薬品のリストを渡し忘れまして。
これを。
入荷次第頼みたいと言っていたものだ」
天貝はそう言って紙を渡し、咲はそれを懐へ仕舞う。
「用はそれだけだろう」
「ですが……どうされましたか。
何やら不穏なご様子」
「下働きに読み書きを教える世話好きと聞いたが私には無用だ。
去れ」
「ですが」
「では黙っていろ。
お前、早く笠を脱げ」
鋭い視線に、咲は笠の縁に手を掛けた。
彼が貫井であると言うならば、如月が気をつけるようにと忠告していた男だ。
腰の刀に手を掛けるのを見て、笠を脱ごうが脱がまいが、彼が抜刀する気で居ることを悟る。
視界を遮ることないよう、躊躇いもなく笠を脱ぐ。
薄暗い中で、貫井の瞳が憎悪から殺気を帯びた。
それは、差し違えてでも咲を殺そうとする覚悟を滲ませている。
思わず一歩下がる咲の半歩前に如月が出る。
本来咲を守る行動など取るべきではない。
無意識であった。
「なんだ天貝、貴様如き軟弱が何をするつもりだ」
「貫井殿こそ、うちの取引先の女性に何故抜刀されるのです」
「お前は知らないだろう、下がれ。
おい女、お前、赤色従首輪はどうした」
「……何のことでしょうか」
「腐った罪人が!
月雫 様への悪業、忘れたとは言わせん!!」
次の瞬間、貫井の刀が目を見開いた咲に踊りかかる。
咲の動揺を知った如月が彼女を突き飛ばして庇う。
その動きに眉を顰め、そして何か気づいたように貫井は刀を構え直す。
潜入捜査はここまでだと、咲と如月は視線を合わせた。
「成る程。
貴様等、騙したな」
辺りに10名を超える武器を持った男が現れた。
咲は十二番隊からいざという時の為にと渡されていた巻物を取り出す。
空間移動の術により如月を先に逃がそうと思ったのだ。
だがその手を如月が抑えた。
「ここで奴等を捉える」
「ですが」
如月の場合、霊骸に入ったままでは本来の力で戦う事はできない。
今回使用している霊骸はその霊力までをも隠す力が有るだけに、そこに一度入れば斬魄刀も鬼道も当然使用不可能だ。
それを使うには、彼が霊骸から出る必要がある。
だが霊骸技術が未だ研究途中であり、極秘の研究。
霊骸から出るには局にある特殊な機器を用いて行う事になっている。
ー魂魄に無理に霊骸を被せるのだ、その結合の基点は当然 鎖結 と 魄睡 。
無理に結合を解けばどれ程の影響が魂魄に出るか、愚かな君達でも想像できるだろう?ー
涅のニヒルな笑みを思い出す。
技術流出を防ぐ為にそう脅しているだけなのか、実際にそうなるのかは分からないが、危険なことは確かだ。
だが彼は躊躇うことなく、その結合を解く為、 鎖結 と 魄睡 に手を当て、そして霊骸を剥ぎ取った。
「うぐっ……」
その苦しげな呻き声と、脂汗からやはり何かしらの影響があった事は想像に容易い。
脱ぎ捨てられた霊骸は力なく地面に倒れ、その代わり体格の良い如月が荒い呼吸を繰り返しながらも凛々しく立っていた。
ここまで来れば引き下がることは出来ない。
「寄越せ」
それでも強気に笑ってみせる如月に、咲は背負っていた籠に隠し持っていた彼の斬魄刀を取り出し投げる。
同時に連絡用にと待たされていた通信機の緊急ボタンを押す。
発信機を兼ねており、誰が何処から救援要請をしたかはすぐに技術開発局及びその受信機を持つ一心に伝わるだろう。
自分も刀を抜くとカゴを背中に今一度括り付ける。
ここには最後の証拠が含まれているのだ。
失う事は許されない。
「いくぞ」
その強い背中に、咲はただ、はいと答えた。
「おい」
掛けられた声に咲は振り返る。
既に日は落ち、辺りに人気はない。
「はい」
「笠を脱げ」
顔の中央に切り傷のある男が微かな殺気を滲ませそう言い放つ。
男に戦闘の意思があることは明らかだ。
「貫井殿?
いかがなさいましたか」
その後ろに白衣姿の天貝が駆けてきた。
「お前こそどうした」
「急ぎで頼みたい薬品のリストを渡し忘れまして。
これを。
入荷次第頼みたいと言っていたものだ」
天貝はそう言って紙を渡し、咲はそれを懐へ仕舞う。
「用はそれだけだろう」
「ですが……どうされましたか。
何やら不穏なご様子」
「下働きに読み書きを教える世話好きと聞いたが私には無用だ。
去れ」
「ですが」
「では黙っていろ。
お前、早く笠を脱げ」
鋭い視線に、咲は笠の縁に手を掛けた。
彼が貫井であると言うならば、如月が気をつけるようにと忠告していた男だ。
腰の刀に手を掛けるのを見て、笠を脱ごうが脱がまいが、彼が抜刀する気で居ることを悟る。
視界を遮ることないよう、躊躇いもなく笠を脱ぐ。
薄暗い中で、貫井の瞳が憎悪から殺気を帯びた。
それは、差し違えてでも咲を殺そうとする覚悟を滲ませている。
思わず一歩下がる咲の半歩前に如月が出る。
本来咲を守る行動など取るべきではない。
無意識であった。
「なんだ天貝、貴様如き軟弱が何をするつもりだ」
「貫井殿こそ、うちの取引先の女性に何故抜刀されるのです」
「お前は知らないだろう、下がれ。
おい女、お前、赤色従首輪はどうした」
「……何のことでしょうか」
「腐った罪人が!
次の瞬間、貫井の刀が目を見開いた咲に踊りかかる。
咲の動揺を知った如月が彼女を突き飛ばして庇う。
その動きに眉を顰め、そして何か気づいたように貫井は刀を構え直す。
潜入捜査はここまでだと、咲と如月は視線を合わせた。
「成る程。
貴様等、騙したな」
辺りに10名を超える武器を持った男が現れた。
咲は十二番隊からいざという時の為にと渡されていた巻物を取り出す。
空間移動の術により如月を先に逃がそうと思ったのだ。
だがその手を如月が抑えた。
「ここで奴等を捉える」
「ですが」
如月の場合、霊骸に入ったままでは本来の力で戦う事はできない。
今回使用している霊骸はその霊力までをも隠す力が有るだけに、そこに一度入れば斬魄刀も鬼道も当然使用不可能だ。
それを使うには、彼が霊骸から出る必要がある。
だが霊骸技術が未だ研究途中であり、極秘の研究。
霊骸から出るには局にある特殊な機器を用いて行う事になっている。
ー魂魄に無理に霊骸を被せるのだ、その結合の基点は当然
無理に結合を解けばどれ程の影響が魂魄に出るか、愚かな君達でも想像できるだろう?ー
涅のニヒルな笑みを思い出す。
技術流出を防ぐ為にそう脅しているだけなのか、実際にそうなるのかは分からないが、危険なことは確かだ。
だが彼は躊躇うことなく、その結合を解く為、
「うぐっ……」
その苦しげな呻き声と、脂汗からやはり何かしらの影響があった事は想像に容易い。
脱ぎ捨てられた霊骸は力なく地面に倒れ、その代わり体格の良い如月が荒い呼吸を繰り返しながらも凛々しく立っていた。
ここまで来れば引き下がることは出来ない。
「寄越せ」
それでも強気に笑ってみせる如月に、咲は背負っていた籠に隠し持っていた彼の斬魄刀を取り出し投げる。
同時に連絡用にと待たされていた通信機の緊急ボタンを押す。
発信機を兼ねており、誰が何処から救援要請をしたかはすぐに技術開発局及びその受信機を持つ一心に伝わるだろう。
自分も刀を抜くとカゴを背中に今一度括り付ける。
ここには最後の証拠が含まれているのだ。
失う事は許されない。
「いくぞ」
その強い背中に、咲はただ、はいと答えた。