新副隊長編
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「さあ食べよう、温まってしまう」
楊枝で蕨餅を食べた京楽に咲は笑った。
「あ、京楽、きな粉ついてる」
「え、どこ?」
口の周りを触ってみるが、該当しないのか咲はくつくつと笑い続ける。
流石にと思ったのか、隣に回り込んで口を拭う為に男の肩に片手をついた。
学院時代から女の噂は尽きない京楽であるが、反応できないほど動揺していた。
彼女に触れられる機会は、それこそ若い頃鍛錬中には良くあったが、いつの間にか無くなって久しい。
だが相手は全くその時間を無視し、自然に触れ、呼吸のかかるほど傍に寄る。
折れそうな弱さと、それを微かに食い止める使命との間の、危うげな彼女の存在はあまりに庇護欲をそそる。
「ここだよ」
酒のせいかしっとりと汗ばんだ手が頬に添えられた。
よく見るために近付く顔。
伏し目がちの瞳、睫毛が長く見える。
赤らんだ頬、潤んだ瞳はじっと京楽の唇を見ている。
ごくりと、唾をのみこんだ。
咲の細い指がさわりと唇を撫で、京楽の背筋はぞくりとした。
「とれた」
ゆっくりと月が雲から現れ、光が目の前で綻ぶように笑う頬を照らし出す。
痩せた、と思った。
それでも自分の前で見せる笑顔に、目眩を覚える。
愛しい女の腰を無意識に引き寄せる。
バランスを崩し倒れ込む体をいとも容易く抱き寄せ、頤を指先で掬い上げ、そして、口付けた。
柔らかく分厚いその濡れた唇、酒の芳醇な香りに、咲は震える。
その震えさえも愛しく、後頭部にするりと手を差し込んだ。
咲の薄い唇は柔らかく小さく震えていて、中毒性がある。
触れ合った随所から甘い痺れが広がる。
咲もそれ程若いはずはないのに、不思議とその唇はあまりに瑞々しく感じた。
今まで触れた誰よりも弾力があり、柔らかく、色香がある。
上唇と下唇を交互に啄む。
戸惑うように僅かに身動ぐその動きの全てが男を煽る。
呼吸さえも全て飲み込んでしまいたいほど、愛おしいと、そう思った。
楊枝で蕨餅を食べた京楽に咲は笑った。
「あ、京楽、きな粉ついてる」
「え、どこ?」
口の周りを触ってみるが、該当しないのか咲はくつくつと笑い続ける。
流石にと思ったのか、隣に回り込んで口を拭う為に男の肩に片手をついた。
学院時代から女の噂は尽きない京楽であるが、反応できないほど動揺していた。
彼女に触れられる機会は、それこそ若い頃鍛錬中には良くあったが、いつの間にか無くなって久しい。
だが相手は全くその時間を無視し、自然に触れ、呼吸のかかるほど傍に寄る。
折れそうな弱さと、それを微かに食い止める使命との間の、危うげな彼女の存在はあまりに庇護欲をそそる。
「ここだよ」
酒のせいかしっとりと汗ばんだ手が頬に添えられた。
よく見るために近付く顔。
伏し目がちの瞳、睫毛が長く見える。
赤らんだ頬、潤んだ瞳はじっと京楽の唇を見ている。
ごくりと、唾をのみこんだ。
咲の細い指がさわりと唇を撫で、京楽の背筋はぞくりとした。
「とれた」
ゆっくりと月が雲から現れ、光が目の前で綻ぶように笑う頬を照らし出す。
痩せた、と思った。
それでも自分の前で見せる笑顔に、目眩を覚える。
愛しい女の腰を無意識に引き寄せる。
バランスを崩し倒れ込む体をいとも容易く抱き寄せ、頤を指先で掬い上げ、そして、口付けた。
柔らかく分厚いその濡れた唇、酒の芳醇な香りに、咲は震える。
その震えさえも愛しく、後頭部にするりと手を差し込んだ。
咲の薄い唇は柔らかく小さく震えていて、中毒性がある。
触れ合った随所から甘い痺れが広がる。
咲もそれ程若いはずはないのに、不思議とその唇はあまりに瑞々しく感じた。
今まで触れた誰よりも弾力があり、柔らかく、色香がある。
上唇と下唇を交互に啄む。
戸惑うように僅かに身動ぐその動きの全てが男を煽る。
呼吸さえも全て飲み込んでしまいたいほど、愛おしいと、そう思った。