新副隊長編
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「やぁ、志波副隊長」
かけられた声に頭を下げる。
「こんにちは。
体調よろしいんですか、浮竹隊長」
「ああ、最近調子がよくてね。
俺にかい?」
雨乾堂へ書類を持っていく道すがら、丁度庵の主と会った。
「印鑑はいるかい?」
「はい」
「じゃあ悪いが雨乾堂まで頼もうか」
2人並んで歩くのは初めてだ。
穏やかに微笑む人は、自分の部下の同期。
片や隊長、片や罪人である。
自分の前の上司である京楽にしてもそうだ。
大きな溝がありながらも3人はいつまでも親密で、硬い結束で結ばれているように思われる。
志波家が没落した時、貴族として付き合いのあった家のほとんどは挨拶にさえ応えなくなった。
若い日には人の冷たさに凍えた頃もあったが、今は新たな関係も作り、没落した志波家の癖にと中傷されたとしても傷つくことはない。
浮竹や京楽は当時からの付き合いで、特に京楽には家の事で何かと気を回して貰ったこともある。
そんな己と咲のことはどこか重ねがちで、そして3人の姿を見る度、人とは身分や出自ではなく、その本質を見極めて関係を作りたいものだと一心は思っていた。
「そっちこそ異動してどうだい、調子は」
「はい、何とかやってます」
「いきなり蒼純副隊長の一件もあった上での昇進で大変だったろう」
僅かに声を潜めそう低い声で言われ、一心は頭を掻いた。
その通りだ。
異動後引き継ぎ途中で起きた謎の多い事件。
そして空席となった副隊長への就任と、目の回るような日々だ。
事件の真相は憑依型の虚により操られた結果、という曖昧な結論となった。
どこか違和感が拭いきれないが、その正体を見つけることはできない。
どこか有耶無耶に隠されてしまった気がさえする。
「蒼純副隊長は任されていたものも多かったからなぁ」
顎を撫でながらそう言う姿に、彼がなにを問いたいのかようやく気づく。
そしてそれに安心する自分がいた。
罪人として影で扱われる彼女を思う人がいるのだ、と。
「卯ノ花となら、ちゃんとうまくやってますよ。
別に彼女を任されているなんて思っちゃいません。
彼女の能力は高いですから。
……ただ、ちょっと調子は悪そうで心配ですけど」
一心の言葉に、浮竹はどこか安心したように微笑んだ。
彼もまた、彼女を思う一心に安堵したのだ。
だが一心が、一瞬何か言うのを迷う様子を見せたのを浮竹は見逃さなかった。
とりあえず室内に入ってからと、簾を潜る。
話が長くなりそうだと思い、座布団を出し、茶などいれる。
すんません、と眉尻を下げる一心に勧め、自分も腰掛けて玉露を啜る。
一呼吸置いてから、穏やかに微笑み、言ってごらんと視線で促す。
だがやはり一心は迷っている様だ。
用心なことに辺りの気配を探ってから、彼はようやく口を開いた。
「浮竹隊長は……あいつの同期、ですよね」
その言葉の裏を読めぬ浮竹では無いし、自分の知らないかもしれない咲の何かを知る為には答えるべき問いだと理解していた。
「そうだ。
同期のは俺と京楽と咲以外はもう居ないから、かけがえの無い仲間さ」
恋人ではないと暗に示しながら、そう答える。
一心はじっと浮竹を見てから、困り顔で頭を掻いた。
「浮竹隊長だから、言いますけど」
そう前置きをして、彼は暗い表情で問いかけた。
「蒼純副隊長の最後の言葉をご存知ですか?」
かけられた声に頭を下げる。
「こんにちは。
体調よろしいんですか、浮竹隊長」
「ああ、最近調子がよくてね。
俺にかい?」
雨乾堂へ書類を持っていく道すがら、丁度庵の主と会った。
「印鑑はいるかい?」
「はい」
「じゃあ悪いが雨乾堂まで頼もうか」
2人並んで歩くのは初めてだ。
穏やかに微笑む人は、自分の部下の同期。
片や隊長、片や罪人である。
自分の前の上司である京楽にしてもそうだ。
大きな溝がありながらも3人はいつまでも親密で、硬い結束で結ばれているように思われる。
志波家が没落した時、貴族として付き合いのあった家のほとんどは挨拶にさえ応えなくなった。
若い日には人の冷たさに凍えた頃もあったが、今は新たな関係も作り、没落した志波家の癖にと中傷されたとしても傷つくことはない。
浮竹や京楽は当時からの付き合いで、特に京楽には家の事で何かと気を回して貰ったこともある。
そんな己と咲のことはどこか重ねがちで、そして3人の姿を見る度、人とは身分や出自ではなく、その本質を見極めて関係を作りたいものだと一心は思っていた。
「そっちこそ異動してどうだい、調子は」
「はい、何とかやってます」
「いきなり蒼純副隊長の一件もあった上での昇進で大変だったろう」
僅かに声を潜めそう低い声で言われ、一心は頭を掻いた。
その通りだ。
異動後引き継ぎ途中で起きた謎の多い事件。
そして空席となった副隊長への就任と、目の回るような日々だ。
事件の真相は憑依型の虚により操られた結果、という曖昧な結論となった。
どこか違和感が拭いきれないが、その正体を見つけることはできない。
どこか有耶無耶に隠されてしまった気がさえする。
「蒼純副隊長は任されていたものも多かったからなぁ」
顎を撫でながらそう言う姿に、彼がなにを問いたいのかようやく気づく。
そしてそれに安心する自分がいた。
罪人として影で扱われる彼女を思う人がいるのだ、と。
「卯ノ花となら、ちゃんとうまくやってますよ。
別に彼女を任されているなんて思っちゃいません。
彼女の能力は高いですから。
……ただ、ちょっと調子は悪そうで心配ですけど」
一心の言葉に、浮竹はどこか安心したように微笑んだ。
彼もまた、彼女を思う一心に安堵したのだ。
だが一心が、一瞬何か言うのを迷う様子を見せたのを浮竹は見逃さなかった。
とりあえず室内に入ってからと、簾を潜る。
話が長くなりそうだと思い、座布団を出し、茶などいれる。
すんません、と眉尻を下げる一心に勧め、自分も腰掛けて玉露を啜る。
一呼吸置いてから、穏やかに微笑み、言ってごらんと視線で促す。
だがやはり一心は迷っている様だ。
用心なことに辺りの気配を探ってから、彼はようやく口を開いた。
「浮竹隊長は……あいつの同期、ですよね」
その言葉の裏を読めぬ浮竹では無いし、自分の知らないかもしれない咲の何かを知る為には答えるべき問いだと理解していた。
「そうだ。
同期のは俺と京楽と咲以外はもう居ないから、かけがえの無い仲間さ」
恋人ではないと暗に示しながら、そう答える。
一心はじっと浮竹を見てから、困り顔で頭を掻いた。
「浮竹隊長だから、言いますけど」
そう前置きをして、彼は暗い表情で問いかけた。
「蒼純副隊長の最後の言葉をご存知ですか?」
