新副隊長編
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「失礼致します」
隊首室の中には銀嶺と一心、そして見慣れぬ男がいた。
振り返った男にぼんやりと見覚えはあるような気がしたが、どこで会ったかまでは思い出せない。
「結界を」
銀嶺の言葉に一心が手早く結界を張る。
それは中に居る者の気配も音も外からは悟られない様な、厳重な物であった。
これから告げられるであろう内容がただ事では無いと咲は背筋を伸ばす。
「総隊長から内密に命令があった。
五番隊如月五席、卯ノ花の両名にである」
如月という名前に微かに覚えがあったが、やはりはっきりはしない。
「よろしく頼む」
咲にそう言葉をかけるところを見ると彼が如月なのだろう。
大男というわけではないが体格がよく、腕がたちそうだ。
「こちらこそお願い致します」
暗くなった気持ちを表に出さないように気を付けながら頭を下げる。
昔、二番隊の潜入任務の補助を何度かしたことがある。
大抵一緒に組んだ者に疑われながらの任務となり、一人の任務より気を遣う。
当時とは異なり咲の罪状を知る者の数も減った今であれば状況は改善されるかもしれないが、気は重いのは仕方ないことだろう。
「今回の任務は霞大路家への潜入任務だ」
その言葉に咲は一瞬遅れて目を大きく見開いた。
脳裏に、豪華な屋敷の血の海が甦る。
蒼純の妻、月雫 の美しい金髪が、陶器ように白い肌が血で汚れ、生気の抜けた瞳が全てを映さなくなったその時を、まざまざと思い出す。
「霞大路家では古より宝剣鋳造を行っている。
だが最近二番隊から、妖しげな刀を製造しているのではないかという報告が上がってきた。」
淡々と説明する銀嶺に、咲は思わず口を開く。
「霞大路家は……月雫 様の御生家です」
「だからなんだ」
(そうだ、私が何を言うまでもない)
ぴしゃりと言い放ち冷たく咲を見下ろす瞳に、彼の覚悟を理解する。
彼は、朽木家と霞大路家に間に横たわる“響河が月雫を殺した”という途方もない確執の上で、事の解明に乗り出す事を決めたのだ。
(いや、もしかしたらご結婚のずっと前から……気づいておられたのかもしれない)
子供同士が幼馴染であり、勘の良い銀嶺のことだ。
察しないはずがない。
隊長として、また貴族としての誇り高き彼でありながらここまで調査を行わずに来たのは、唯一無二の息子の為ではあるまいか。
また今それに乗り出すというのは、今は亡き愛息への思いを断ち切るための行為のひとつではあるまいか。
朽木家27代当主となって、また隊長となって、幾百年。
だが彼もまた1人の人に過ぎない。
(隊長……)
彼の心の内を思うと、咲は必ずやこの任務成功させなければと思うのだった。
隊首室の中には銀嶺と一心、そして見慣れぬ男がいた。
振り返った男にぼんやりと見覚えはあるような気がしたが、どこで会ったかまでは思い出せない。
「結界を」
銀嶺の言葉に一心が手早く結界を張る。
それは中に居る者の気配も音も外からは悟られない様な、厳重な物であった。
これから告げられるであろう内容がただ事では無いと咲は背筋を伸ばす。
「総隊長から内密に命令があった。
五番隊如月五席、卯ノ花の両名にである」
如月という名前に微かに覚えがあったが、やはりはっきりはしない。
「よろしく頼む」
咲にそう言葉をかけるところを見ると彼が如月なのだろう。
大男というわけではないが体格がよく、腕がたちそうだ。
「こちらこそお願い致します」
暗くなった気持ちを表に出さないように気を付けながら頭を下げる。
昔、二番隊の潜入任務の補助を何度かしたことがある。
大抵一緒に組んだ者に疑われながらの任務となり、一人の任務より気を遣う。
当時とは異なり咲の罪状を知る者の数も減った今であれば状況は改善されるかもしれないが、気は重いのは仕方ないことだろう。
「今回の任務は霞大路家への潜入任務だ」
その言葉に咲は一瞬遅れて目を大きく見開いた。
脳裏に、豪華な屋敷の血の海が甦る。
蒼純の妻、
「霞大路家では古より宝剣鋳造を行っている。
だが最近二番隊から、妖しげな刀を製造しているのではないかという報告が上がってきた。」
淡々と説明する銀嶺に、咲は思わず口を開く。
「霞大路家は……
「だからなんだ」
(そうだ、私が何を言うまでもない)
ぴしゃりと言い放ち冷たく咲を見下ろす瞳に、彼の覚悟を理解する。
彼は、朽木家と霞大路家に間に横たわる“響河が月雫を殺した”という途方もない確執の上で、事の解明に乗り出す事を決めたのだ。
(いや、もしかしたらご結婚のずっと前から……気づいておられたのかもしれない)
子供同士が幼馴染であり、勘の良い銀嶺のことだ。
察しないはずがない。
隊長として、また貴族としての誇り高き彼でありながらここまで調査を行わずに来たのは、唯一無二の息子の為ではあるまいか。
また今それに乗り出すというのは、今は亡き愛息への思いを断ち切るための行為のひとつではあるまいか。
朽木家27代当主となって、また隊長となって、幾百年。
だが彼もまた1人の人に過ぎない。
(隊長……)
彼の心の内を思うと、咲は必ずやこの任務成功させなければと思うのだった。