新副隊長編
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「お言葉ですが今異動させられれば、彼女と銀嶺隊長の間に到底埋めがたい亀裂できることになります。
彼女は己の罪を、貴方の御子息方を奪った己を一生責め続けることでしょう」
静かな言葉に銀嶺はふと、思い出した。
息子はよく出来た子で、昔から滅多に怒鳴ったことなどなかった。
その彼を怒鳴った、最後の時はいつだったか。
ーお前が心を乱し、罪悪感を感じ、悲しみ怒る素振りを、あ奴が見たらどう思う。
忠誠心の深い奴じゃ、己を責めよう。
自分の力が至らぬせいで、副隊長であり、朽木家の次期当主であるお前の威厳を奪い、悲しみの底に突き落としたと思いこむだろう。
響河を諫めきれなかった、そして殺せなかった己を責め、更に苦しむであろう!
150年もの間じゃ!!ー
「そうで、あったな……」
銀嶺は瞼に浮かぶ息子に微笑みかける。
ー……お前は毅然とした態度を貫け。
それこそが私達に課された責であり刑と思え。
公に刑に処されなかったからこそ、己が理解し、己を責めねばならない。
朽木家の罪は消えぬ。
当主としての務めを、これから果たしてゆくのだ。
何をすべきか、違うことは許されんー
(そうだ、そう言ったのは私だ)
銀嶺は深く頷き、それから立ち上がり浮竹に背を向けた。
蒼純はかけがえのない存在であった。
幼い頃はその優しさと体の弱さから幾度となく頭を悩ませたものだが、いつしか副隊長を任せるまでに成長した。
親の贔屓目ではなく、彼は立派な死神であり、そしてきっと誰もが信頼する当主となり得ただろう。
喪った今となってはただただ惜しまれるが、遺された自分は老体に鞭打ってでも果たさねばならぬ責務がある。
愛息の、代わりに。
「すまない、気の迷いだ。
全て忘れてくれないか」
「銀嶺隊長」
浮竹はその背中に声をかける。
「咲について少し勘違いをされているようですね。
彼女は確かに蒼純副隊長の部下でした。
副隊長を心の底から尊敬し、敬愛していた。
ですが、副隊長の向こうにいつも、銀嶺隊長の姿も見ていたと思います。
朽木響河を封印した時だって、貴方が彼女を守ってくださったではないですか」
銀嶺はその時彼女にかけた己の首にある銀白風花紗に無意識に触れた。
「いつも最後には、隊長が守ってくださる。
不動の信頼を彼女は寄せているに違いありません」
「……本当に、立派になったな、十四郎君」
銀嶺は浮竹が昔まだ少年だった頃から知っている。
いつか大きな器になるだろうと思っていたが、まさか己が諭される日が来るとは思いもしなかった。
だがいざ訪れるとそれはどこか晴れやかで、心は穏やかだ。
「ありがとうございます」
噛み締めるような声を背中に受け、小さく微笑む。
(その上助けてくださった 、か。
彼女への思い、滲み出るを止める術持たず、だな)
その思いをまた背負い、ようやく部下を迎えに足を踏み出した。
彼女は己の罪を、貴方の御子息方を奪った己を一生責め続けることでしょう」
静かな言葉に銀嶺はふと、思い出した。
息子はよく出来た子で、昔から滅多に怒鳴ったことなどなかった。
その彼を怒鳴った、最後の時はいつだったか。
ーお前が心を乱し、罪悪感を感じ、悲しみ怒る素振りを、あ奴が見たらどう思う。
忠誠心の深い奴じゃ、己を責めよう。
自分の力が至らぬせいで、副隊長であり、朽木家の次期当主であるお前の威厳を奪い、悲しみの底に突き落としたと思いこむだろう。
響河を諫めきれなかった、そして殺せなかった己を責め、更に苦しむであろう!
150年もの間じゃ!!ー
「そうで、あったな……」
銀嶺は瞼に浮かぶ息子に微笑みかける。
ー……お前は毅然とした態度を貫け。
それこそが私達に課された責であり刑と思え。
公に刑に処されなかったからこそ、己が理解し、己を責めねばならない。
朽木家の罪は消えぬ。
当主としての務めを、これから果たしてゆくのだ。
何をすべきか、違うことは許されんー
(そうだ、そう言ったのは私だ)
銀嶺は深く頷き、それから立ち上がり浮竹に背を向けた。
蒼純はかけがえのない存在であった。
幼い頃はその優しさと体の弱さから幾度となく頭を悩ませたものだが、いつしか副隊長を任せるまでに成長した。
親の贔屓目ではなく、彼は立派な死神であり、そしてきっと誰もが信頼する当主となり得ただろう。
喪った今となってはただただ惜しまれるが、遺された自分は老体に鞭打ってでも果たさねばならぬ責務がある。
愛息の、代わりに。
「すまない、気の迷いだ。
全て忘れてくれないか」
「銀嶺隊長」
浮竹はその背中に声をかける。
「咲について少し勘違いをされているようですね。
彼女は確かに蒼純副隊長の部下でした。
副隊長を心の底から尊敬し、敬愛していた。
ですが、副隊長の向こうにいつも、銀嶺隊長の姿も見ていたと思います。
朽木響河を封印した時だって、貴方が彼女を守ってくださったではないですか」
銀嶺はその時彼女にかけた己の首にある銀白風花紗に無意識に触れた。
「いつも最後には、隊長が守ってくださる。
不動の信頼を彼女は寄せているに違いありません」
「……本当に、立派になったな、十四郎君」
銀嶺は浮竹が昔まだ少年だった頃から知っている。
いつか大きな器になるだろうと思っていたが、まさか己が諭される日が来るとは思いもしなかった。
だがいざ訪れるとそれはどこか晴れやかで、心は穏やかだ。
「ありがとうございます」
噛み締めるような声を背中に受け、小さく微笑む。
(その上
彼女への思い、滲み出るを止める術持たず、だな)
その思いをまた背負い、ようやく部下を迎えに足を踏み出した。