朽木蒼純編
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「副、隊長ッ・・・」
斬魂刀を腰に戻すと、苦しみに震える肩に、怯え震える手を伸ばす。
(だめだ、私が・・・助ける。)
腹の底まで息を吸い込む。
覚悟の末に治る震え。
彼を正面に回り込み、両肩を強く掴んだ。
「お気を確かにッ!!」
自分にも言い聞かせる言葉だった。
だが咲の手を尋常でないほど強く、上司は払った。
かつて絶望を味わったのと同じ色に変色した瞳が一瞬咲を捕え、そして苦しげに細められた。
「うぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
この世の物とは思えない咆哮に、間違いなく最悪の事態になったと咲は歯を噛み締める。
「なんだってんだ、副隊長までッ!!!」
一心が舌打ちをする。
「おい卯ノ花」
「違う!」
咲は大きな声で遮った。
「違います。
副隊長は、虚になろうだなんて、なさらない。
・・・恐らく、さっきの攻撃です。」
「そんなんどうやって信じろっていうんだ?!」
焦ったような叫びに、咲は硬く拳を握りしめる。
「私は信じる。
副隊長のその御心を、私は信じる。」
咲は握り締めた拳を解いた。
今の自分に出来ることなど、1つしかないのだ。
「でもーーすべき事は変わらない。」
静かな声と抜刀に、一心は目を見開く。
「てめぇ、本気か!?」
「副隊長を、虚になんて・・・罪人になんて、させない。」
虚はその孔を埋めるため、罪を重ねる。
記憶にある限り、親しい人を次々と襲うだろう。
そこにある温かな記憶を斬り裂き、優しさを踏み壊し、全てを惨劇と化す。
それはようやく平穏を取り戻した朽木家の壊滅を意味する。
だが、その中央に居た蒼純を殺す事もまた、大きな傷痕を残すに違いない。
(分かっていても、出来ることなんて・・・それ一つきりだ。)
美しかった顔を覆い始めた角の生えた白い仮面。
残された片目が、咲を捕らえて離さない。
「咲・・・」
死神と虚の狭間で、歯を噛みしめなが蒼純は声を絞り出す。
「私をーー」