朽木蒼純編
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咲は鋭く叫ぶとともに、蒼純と虚の間に割って入った。
闇雲に遮ったせいで、咲の背は蒼純を押し退ける際に彼の刀で浅く切れ、受け止めきれなかった虚の刀は咲の肩に深く切り込み、骨で止まったような状況だった。
「ッ咲・・・」
蒼純の掠れた声が耳元でする。
その驚きと憎しみと後悔、言葉にならぬ様々な思いが入り混じった声が、咲を強くする。
疑念が晴れ、まだ殺されない事実が、咲の傷の痛みを拭う。
誰よりも命を懸ける上司が呼ぶ名は、何よりも己を奮い立たせる。
何とか虚を突き飛ばし、重ねて蹴りを入れて距離を開け、振り返る。
あの蒼純が虚の不意打ちを受けるなど、ただ事ではないと思ったのだ。
原因として思い当たるとすれば、体調不良以外、咲が咄嗟に思いつくことはない。
「お怪我は!?
もしやお身体が」
「大丈夫だ。」
静かだが強い声が咲の言葉を遮る。
蒼純が泣きそうな顔をしたように見えたが、それは見間違いなのではと思うほど、一瞬で消えた。
「大丈夫だよ。
今は敵だけを見据えなさい。」
いつも通り、穏やかでしなやかな上司の姿に咲は何としてでも応えようと大きくうなずく。
一心が蒼純の後ろに瞬歩で現れ、血の匂いに目を見開くが、それを口に出せるほど現状に余裕はない。
蒼純は鋭い視線を辺りに巡らせ、そして命じた。
「一心、咲、此奴を捕縛せよ。」
二人が同じ標的に向かって飛び出す。
咲が懐から球状に丸められた縄の塊を取り出す。
いざと言う時にと技術開発局から与えられている拘束具だ。
「これで捕えます。」
一歩後ろを走ってくる部下に、一心は頷き、刀を構える。
「おう!」
一心はそのまま刀を両手で握り大きく振りかぶった。
目の前の虚の姿には、ぼんやりと部下の面影がある。
物静かな男だったと記憶している。
多くを語ることなく、出すぎることもなく、協調性があった。
他の隊の隊士とも親しく、よく人の輪の中にいたと記憶している。
(そうだ、確か五番隊の連中とも親しかった。)
穏やかで協調性が高い気風のある五番隊の連中と親しいのだ。
彼自身もその気質の持ち主だったに違いない。
その彼がなぜこんな姿になり果てたのか。
剡月 が虚の持つ刀と激しくぶつかり合う。
鍛錬での手ごたえとまるで違うことに、一心は表情を険しくした。
「てめぇ、何のために虚に成り下がった?」
「成り下がった、と、おっしゃい、ましたか・・・?」
虚がぎこちなく答えた。
その声はどこか、一心を嘲笑っているかのように聞こえる。
「これほどの力を得た僕を目の前にして!!!」
強い脚力で一心に切りかかる。
その刀は重く、きりきりと刀が音を立てた。
「何ふざけた事を言ってんだ!!
いったい何がてめぇを虚になんか」
「選ばれたんですよ。」
静かに虚が言った。
自信に満ちたその声に一心は目を細める。
「僕は選ばれ、そして、こうして生き残った。
それだけでもとてつもなく大きな価値がある。」
「・・・どうやら話し合いは無駄なようだな。」
一心は力強く相手を突き放すと改めて刀を強く握った。
闇雲に遮ったせいで、咲の背は蒼純を押し退ける際に彼の刀で浅く切れ、受け止めきれなかった虚の刀は咲の肩に深く切り込み、骨で止まったような状況だった。
「ッ咲・・・」
蒼純の掠れた声が耳元でする。
その驚きと憎しみと後悔、言葉にならぬ様々な思いが入り混じった声が、咲を強くする。
疑念が晴れ、まだ殺されない事実が、咲の傷の痛みを拭う。
誰よりも命を懸ける上司が呼ぶ名は、何よりも己を奮い立たせる。
何とか虚を突き飛ばし、重ねて蹴りを入れて距離を開け、振り返る。
あの蒼純が虚の不意打ちを受けるなど、ただ事ではないと思ったのだ。
原因として思い当たるとすれば、体調不良以外、咲が咄嗟に思いつくことはない。
「お怪我は!?
もしやお身体が」
「大丈夫だ。」
静かだが強い声が咲の言葉を遮る。
蒼純が泣きそうな顔をしたように見えたが、それは見間違いなのではと思うほど、一瞬で消えた。
「大丈夫だよ。
今は敵だけを見据えなさい。」
いつも通り、穏やかでしなやかな上司の姿に咲は何としてでも応えようと大きくうなずく。
一心が蒼純の後ろに瞬歩で現れ、血の匂いに目を見開くが、それを口に出せるほど現状に余裕はない。
蒼純は鋭い視線を辺りに巡らせ、そして命じた。
「一心、咲、此奴を捕縛せよ。」
二人が同じ標的に向かって飛び出す。
咲が懐から球状に丸められた縄の塊を取り出す。
いざと言う時にと技術開発局から与えられている拘束具だ。
「これで捕えます。」
一歩後ろを走ってくる部下に、一心は頷き、刀を構える。
「おう!」
一心はそのまま刀を両手で握り大きく振りかぶった。
目の前の虚の姿には、ぼんやりと部下の面影がある。
物静かな男だったと記憶している。
多くを語ることなく、出すぎることもなく、協調性があった。
他の隊の隊士とも親しく、よく人の輪の中にいたと記憶している。
(そうだ、確か五番隊の連中とも親しかった。)
穏やかで協調性が高い気風のある五番隊の連中と親しいのだ。
彼自身もその気質の持ち主だったに違いない。
その彼がなぜこんな姿になり果てたのか。
鍛錬での手ごたえとまるで違うことに、一心は表情を険しくした。
「てめぇ、何のために虚に成り下がった?」
「成り下がった、と、おっしゃい、ましたか・・・?」
虚がぎこちなく答えた。
その声はどこか、一心を嘲笑っているかのように聞こえる。
「これほどの力を得た僕を目の前にして!!!」
強い脚力で一心に切りかかる。
その刀は重く、きりきりと刀が音を立てた。
「何ふざけた事を言ってんだ!!
いったい何がてめぇを虚になんか」
「選ばれたんですよ。」
静かに虚が言った。
自信に満ちたその声に一心は目を細める。
「僕は選ばれ、そして、こうして生き残った。
それだけでもとてつもなく大きな価値がある。」
「・・・どうやら話し合いは無駄なようだな。」
一心は力強く相手を突き放すと改めて刀を強く握った。