朽木蒼純編
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「煌け 深霞月 。」
静かな解号と共に蒼純の刀が形を変える。
先がまるで三日月のような形の槍は白く輝き、その柄の彫刻も美しい。
咲も彼の解放した斬魂刀は、数えるほどしか見たことがなかった。
理由はいくつかある。
蒼純の直属の部下となって以降、彼の手を煩わせるまでもなく、虚を咲が倒してきたため。
蒼純は鬼道衆からスカウトが来るほど鬼道が堪能で、刀を抜くまでもないため。
体調があまり良くないが、彼の刀は始解ですら莫大な霊力を使うため。
そして義弟と同じく彼の斬魂刀はーー。
(仲間を傷つける。)
辺りに深い霞が立ち込め、狛村と咲は己の刀を構えた。
身体から霊圧が抜けていくのを感じる。
気を確かに保たねば、魂まで抜かれそうだ。
斬魂刀の領域内にいる者の霊圧を、問答無用で霞に変えるのが、深霞月 の第一の能力である。
その持ち主である蒼純でさえその被害に遭う。
その斬魂刀を解放してまで戦うというのだ。
(副隊長・・・)
咲は唇を噛む。
「お前がそのつもりならば!」
響河がにやりと笑う。
「囁け 村正!」
だが霞は消えないし、誰一人変わった事はない。
一瞬どきりとした狛村も、斬魂刀を操られたわけではないようだ。
「残念だが私はお前の化けた男を殺すために心を閉ざして戦う術を身に付けている。
そして・・・」
蒼純は深霞月 を構えた。
「お前は所詮まやかしだ。
鍛錬を積まねば扱うことのできない、心の強さまでをも必要とする難易度の高い斬魂刀は、扱いきれないことだろう。」
虚は慌てて村正を構える。
そして剣戟を繰り出した。
咲の記憶にある通り軽やかなのに重く鋭く激しい。
だが蒼純はそれを軽々避け、いなす。
虚が次第に焦り始める。
「そしてお前が化けた者は、遥か彼方昔に三席だった。
私は当時から、その男の上司である。」
呼吸一つ乱さぬ蒼純に響河は苦々しげに唇を噛んだかと思うと、次の瞬間、虚本来の姿へと戻った。
黒い体に背中腹から10本近い触手を生やすおぞましい姿だ。
「過去ヤ記憶二縛ラレル、オ前達等愚カナ生物!
新タニオ前ノ記憶ヲ読ミ取ッテヤル!!!」
その触手が蒼純に向けて伸び、四方八方から襲い掛かろうとした。
まさに四面楚歌。
一介の死神であれば、逃げ場は無かっただろう。
「殲月 。」
静かな言葉の直後、あたりに立ち込めていた霞が糸のように細い月の形となって降り注ぐ。
咲は狗村の横に瞬歩で駆けつけ、縛道三十九円閘扇を複数周囲に張り巡らせ、全方位からの攻撃を遮断した。
「・・・かたじけない。」
力重視の狛村は、蒼純とは逆に滅多に鬼道は使わない。
詠唱破棄で複数の鬼道を発するには慣れが必要であり、今の彼には不可能だ。
「いえ。」
短く答える。
蒼純の殲月 の破壊力は高く、咲が維持するために集中しているはずの円閘扇さえ、甲高い音を立てながら傷をつける。
全てを殺す程の力をもちながらその技は、静かに眩しく、月を、そしてその刀の持ち主を思い出させる。
(美しい・・・)
脂汗をかきながらも、咲はそう、心の底から思った。
静かな解号と共に蒼純の刀が形を変える。
先がまるで三日月のような形の槍は白く輝き、その柄の彫刻も美しい。
咲も彼の解放した斬魂刀は、数えるほどしか見たことがなかった。
理由はいくつかある。
蒼純の直属の部下となって以降、彼の手を煩わせるまでもなく、虚を咲が倒してきたため。
蒼純は鬼道衆からスカウトが来るほど鬼道が堪能で、刀を抜くまでもないため。
体調があまり良くないが、彼の刀は始解ですら莫大な霊力を使うため。
そして義弟と同じく彼の斬魂刀はーー。
(仲間を傷つける。)
辺りに深い霞が立ち込め、狛村と咲は己の刀を構えた。
身体から霊圧が抜けていくのを感じる。
気を確かに保たねば、魂まで抜かれそうだ。
斬魂刀の領域内にいる者の霊圧を、問答無用で霞に変えるのが、
その持ち主である蒼純でさえその被害に遭う。
その斬魂刀を解放してまで戦うというのだ。
(副隊長・・・)
咲は唇を噛む。
「お前がそのつもりならば!」
響河がにやりと笑う。
「囁け 村正!」
だが霞は消えないし、誰一人変わった事はない。
一瞬どきりとした狛村も、斬魂刀を操られたわけではないようだ。
「残念だが私はお前の化けた男を殺すために心を閉ざして戦う術を身に付けている。
そして・・・」
蒼純は
「お前は所詮まやかしだ。
鍛錬を積まねば扱うことのできない、心の強さまでをも必要とする難易度の高い斬魂刀は、扱いきれないことだろう。」
虚は慌てて村正を構える。
そして剣戟を繰り出した。
咲の記憶にある通り軽やかなのに重く鋭く激しい。
だが蒼純はそれを軽々避け、いなす。
虚が次第に焦り始める。
「そしてお前が化けた者は、遥か彼方昔に三席だった。
私は当時から、その男の上司である。」
呼吸一つ乱さぬ蒼純に響河は苦々しげに唇を噛んだかと思うと、次の瞬間、虚本来の姿へと戻った。
黒い体に背中腹から10本近い触手を生やすおぞましい姿だ。
「過去ヤ記憶二縛ラレル、オ前達等愚カナ生物!
新タニオ前ノ記憶ヲ読ミ取ッテヤル!!!」
その触手が蒼純に向けて伸び、四方八方から襲い掛かろうとした。
まさに四面楚歌。
一介の死神であれば、逃げ場は無かっただろう。
「
静かな言葉の直後、あたりに立ち込めていた霞が糸のように細い月の形となって降り注ぐ。
咲は狗村の横に瞬歩で駆けつけ、縛道三十九円閘扇を複数周囲に張り巡らせ、全方位からの攻撃を遮断した。
「・・・かたじけない。」
力重視の狛村は、蒼純とは逆に滅多に鬼道は使わない。
詠唱破棄で複数の鬼道を発するには慣れが必要であり、今の彼には不可能だ。
「いえ。」
短く答える。
蒼純の
全てを殺す程の力をもちながらその技は、静かに眩しく、月を、そしてその刀の持ち主を思い出させる。
(美しい・・・)
脂汗をかきながらも、咲はそう、心の底から思った。