朽木蒼純編
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虚の気配にまっ先に刀を抜いて躍りかかったのは咲だった。
予定通りだ。
まず小柄な咲が斬り込み、様子を伺い、狛村が戦い、蒼純が助太刀する。
実力の順から言っても、最も一般的な策である。
虚の影が異様に動いたかと思うと、人の姿となった。
相対した咲は戸惑い、距離を取ろうとするが、虚は畳み掛けるように咲に襲いかかる。
遂には鍔迫り合いを強いられた。
動きが鈍っている自覚がある程に、目の前の人の姿は咲の心に打撃を与えている。
その戸惑いは後ろに控える二人にも伝わってきた。
狛村はその小さな背中の正面に立つ虚の姿がよく見えなかった。
どこか見覚えはあるが、それが誰か、直ぐには思い当たらなかったのだ。
だが、後ろに立つ蒼純が息を飲んだのがわかる。
「何故お前がッ!!!」
絞り出すような蒼純の叫びに、咲が対する姿が何者か気づき、目を見開く。
「響河・・・だと?」
自分が以前見た虚は五席の姿をしていたはずだ。
それがなぜ、大罪人の姿をしているのか。
「卯ノ花よ、久しぶりだな。」
目の前の部下に呼びかけるその声も霊圧は、昔感じたままだ。
「封印されているはずでは?!」
「そうだ。
封印されているはずだ。
その上あんな姿をしているはずがない。」
苦々しげな蒼純の言葉に、最後に見た響河の姿を思い出す。
頬は痩け、泥と血に汚れた、血走った目をした、復讐者。
だが今咲の前に立つ姿はと言えば、狛村がまだ彼をよく目にしたころの、力の漲る麗しい朽木の婿であり、六番隊三席の朽木響河であった。
「やはり狛村三席の勘は正しいようだ。
この虚は死神の身体を乗っ取るわけではない。
大罪人の身体は今、封印されているのだから。」
狛村は己の耳を疑った。
上司のこれほどまでに冷たい声を聞いたことはないし、想像もできない。
背後から発される殺気に思わず振り返る。
そこには普段の様子からは誰も想像できないであろう、表情を浮かべた上司がいた。
(だめだ、私では響河殿 との鍔迫り合いは不利だ。)
目の前の響河が勝気な笑みを浮かべる。
「どうした、卯ノ花!
その程度か!?
ならば行くぞ!!」
(あの頃のままだ、そんなことが・・・)
響河の操る村正も、その俊敏な動きも、記憶のままだ。
(だめだ、私は逃げることに集中し過ぎて・・・)
「攻撃が疎かになる!
敵はお前が自分より弱いと追撃を激しくするぞ!」
響河はそう言って、言葉の通り、より激しい剣戟を繰り出す。
(響河殿っ!!!)
心を占めるのは、目の前の彼を救えなかった懺悔か。
彼を殺せなかった無念か。
それともーー
「俺に殺されるのは本望だろう!」
斬魂刀村正の切っ先が喉へ向かう。
咲は動けなかった。
見開いた目はその切っ先を捉えているのに、咲の素早さであればそれを弾くか避けるかできるはずであるのに、身体が、動かない。
目の前の懐かしい響河から目が逸らせない。
(死ぬッ!!!)
紫銀が煌めき、急に身体を突き飛ばされた。
(あっ・・・)
現れた黒い背中、はためく銀白風花紗を見ながら、地面に転がる。
身体が急に自由になった気がする。
ただ強い手が、咲を突き飛ばしただけなのに。
ただ1人の背中が、間に立っただけなのに。
(副隊長・・・)
その背中を見て、彼が斬り結ぶ剣を見て初めて咲は、己が対峙していた相手が何者 であるかを思い出した。
(そうだあれは、響河殿ではない。
・・・虚 だ。)
予定通りだ。
まず小柄な咲が斬り込み、様子を伺い、狛村が戦い、蒼純が助太刀する。
実力の順から言っても、最も一般的な策である。
虚の影が異様に動いたかと思うと、人の姿となった。
相対した咲は戸惑い、距離を取ろうとするが、虚は畳み掛けるように咲に襲いかかる。
遂には鍔迫り合いを強いられた。
動きが鈍っている自覚がある程に、目の前の人の姿は咲の心に打撃を与えている。
その戸惑いは後ろに控える二人にも伝わってきた。
狛村はその小さな背中の正面に立つ虚の姿がよく見えなかった。
どこか見覚えはあるが、それが誰か、直ぐには思い当たらなかったのだ。
だが、後ろに立つ蒼純が息を飲んだのがわかる。
「何故お前がッ!!!」
絞り出すような蒼純の叫びに、咲が対する姿が何者か気づき、目を見開く。
「響河・・・だと?」
自分が以前見た虚は五席の姿をしていたはずだ。
それがなぜ、大罪人の姿をしているのか。
「卯ノ花よ、久しぶりだな。」
目の前の部下に呼びかけるその声も霊圧は、昔感じたままだ。
「封印されているはずでは?!」
「そうだ。
封印されているはずだ。
その上あんな姿をしているはずがない。」
苦々しげな蒼純の言葉に、最後に見た響河の姿を思い出す。
頬は痩け、泥と血に汚れた、血走った目をした、復讐者。
だが今咲の前に立つ姿はと言えば、狛村がまだ彼をよく目にしたころの、力の漲る麗しい朽木の婿であり、六番隊三席の朽木響河であった。
「やはり狛村三席の勘は正しいようだ。
この虚は死神の身体を乗っ取るわけではない。
大罪人の身体は今、封印されているのだから。」
狛村は己の耳を疑った。
上司のこれほどまでに冷たい声を聞いたことはないし、想像もできない。
背後から発される殺気に思わず振り返る。
そこには普段の様子からは誰も想像できないであろう、表情を浮かべた上司がいた。
(だめだ、私では
目の前の響河が勝気な笑みを浮かべる。
「どうした、卯ノ花!
その程度か!?
ならば行くぞ!!」
(あの頃のままだ、そんなことが・・・)
響河の操る村正も、その俊敏な動きも、記憶のままだ。
(だめだ、私は逃げることに集中し過ぎて・・・)
「攻撃が疎かになる!
敵はお前が自分より弱いと追撃を激しくするぞ!」
響河はそう言って、言葉の通り、より激しい剣戟を繰り出す。
(響河殿っ!!!)
心を占めるのは、目の前の彼を救えなかった懺悔か。
彼を殺せなかった無念か。
それともーー
「俺に殺されるのは本望だろう!」
斬魂刀村正の切っ先が喉へ向かう。
咲は動けなかった。
見開いた目はその切っ先を捉えているのに、咲の素早さであればそれを弾くか避けるかできるはずであるのに、身体が、動かない。
目の前の懐かしい響河から目が逸らせない。
(死ぬッ!!!)
紫銀が煌めき、急に身体を突き飛ばされた。
(あっ・・・)
現れた黒い背中、はためく銀白風花紗を見ながら、地面に転がる。
身体が急に自由になった気がする。
ただ強い手が、咲を突き飛ばしただけなのに。
ただ1人の背中が、間に立っただけなのに。
(副隊長・・・)
その背中を見て、彼が斬り結ぶ剣を見て初めて咲は、己が対峙していた相手が
(そうだあれは、響河殿ではない。
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