朽木蒼純編
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「おっす、ちゃんと寝ているか?」
呑気に微笑む友に咲は笑顔を浮かべた。
「そっちこそ、体調大丈夫?」
「俺はいつも通り元気だぞ?」
「信用できないな。」
思わずくすくすと笑う。
魂魄消失案件が終結して早1カ月。
咲の傷も癒えたため久しぶりに長期任務に赴いたが負傷し、念のため1日入院が告げられた。
上司である銀嶺と蒼純と、それから四番隊しか知らないであろうこのことを、友はどうして知っているのだろうか。
首をかしげてしまう。
だが彼が訪れてくれなければ、久しぶりに会うことさえ叶わなかっただろう。
そう思うとどこか嬉しい。
「でも、大丈夫なの?」
「ああ、今ようやく一区切りがついて休憩だ。」
彼は苦笑を浮かべる。
今は十三番隊はとにかく忙しいのだ。
多くの隊長が抜けた魂魄消失案件。
人事を担当する十三番隊は、隊長、副隊長の任命に追われている。
五番隊隊長に同隊藍染副隊長、十二番隊隊長に同隊涅マユリ三席がそれぞれ就任したのも10日ほど前のこと。
他は空席のままで、対応が急がれる。
だがなにせ卍解を取得している者自体がそれほど多くなく、隊長としての条件を満たすものが少ないのが現実だ。
二番隊隊長には引退している前四法院深夜隊長が就任するか否かで現在協議が進んでいるところであるが、夜一の罪により固辞していると噂で聞いた。
(罪を犯すせば、多くの者を混乱に陥れる・・・。)
遠い昔、己の上司が犯した罪とは種類は異なるものの、やはり力のある者が罪を犯すと混乱は避けられないものだ。
当の本人たちの姿が見えず、真実を知る者が誰一人としていない以上、浦原の罪について、究明することはできない。
それでもやはり、彼らが罪を犯したとは、咲は信じられないし、信じたくなかった。
「隊長になった俺がこういうことを言うのは良くないが・・・こういうことは慣れんな。」
ベットの縁に腰かけて、視線を落とした浮竹がぽつりと言った。
強い背中を見せる彼もまた、咲と同じ思いを内に抱えているのかもしれない。
それでもなお、隊長として彼は前に進まねばならない。
時は待ってはくれないし、守らねばならない人が、節理がある。
多くの隊長、副隊長を失った今、残された隊長や上位席官らが残された隊士を何とか率いていかねばならないのだ。
その荷は、重い。
「お前まで無理するんじゃないぞ。」
ぽすりと頭に乗せられた手に、顔を上げる。
心配そうに眉を上げる友は、昔から変わらず優しい、と思う。
多くの仲間を同志の裏切りによって失った今、友の入院と聞いて心配しないはずがないのだ。
強い強い隊長ではあるが、彼はまた一人の人であり、咲の欠けがえのない友である。
「分かってる。
命の大切さは、よく知っているつもりだよ。」
「よし。」
ようやくいつもの明るい笑顔を見せ、浮竹は咲から離れた。
「・・・浮竹も。」
だから咲も小さな声で呼びかけた。
「なんだ?」
「無理しないで。」
真っすぐと見上げる漆黒の瞳に、浮竹は苦笑を漏らす。
「分かっているよ。」
護挺に捧げると決めた命。
自分が捧げるべき時には迷わず差し出すつもりだが、その時までに無駄にするつもりはない。
京楽の言葉がふと思い出された。
ー何も考えずに3人一緒にいられた霊術院のころって、幸せだったよねぇ。ー
(ただ心のままに生きることが許されるならば・・・)
浮竹は頭を振って立ち上がった。
(あり得もしない仮定をするのはやめよう。)
目の前の友に精一杯の笑顔を向ける。
「ゆっくり休めよ。」
「ありがとう。」
返された笑顔を胸に、部屋を出る。
小さな幸せを享受することが、強い心を保つ秘訣なのだと、浮竹は思っていた。
呑気に微笑む友に咲は笑顔を浮かべた。
「そっちこそ、体調大丈夫?」
「俺はいつも通り元気だぞ?」
「信用できないな。」
思わずくすくすと笑う。
魂魄消失案件が終結して早1カ月。
咲の傷も癒えたため久しぶりに長期任務に赴いたが負傷し、念のため1日入院が告げられた。
上司である銀嶺と蒼純と、それから四番隊しか知らないであろうこのことを、友はどうして知っているのだろうか。
首をかしげてしまう。
だが彼が訪れてくれなければ、久しぶりに会うことさえ叶わなかっただろう。
そう思うとどこか嬉しい。
「でも、大丈夫なの?」
「ああ、今ようやく一区切りがついて休憩だ。」
彼は苦笑を浮かべる。
今は十三番隊はとにかく忙しいのだ。
多くの隊長が抜けた魂魄消失案件。
人事を担当する十三番隊は、隊長、副隊長の任命に追われている。
五番隊隊長に同隊藍染副隊長、十二番隊隊長に同隊涅マユリ三席がそれぞれ就任したのも10日ほど前のこと。
他は空席のままで、対応が急がれる。
だがなにせ卍解を取得している者自体がそれほど多くなく、隊長としての条件を満たすものが少ないのが現実だ。
二番隊隊長には引退している前四法院深夜隊長が就任するか否かで現在協議が進んでいるところであるが、夜一の罪により固辞していると噂で聞いた。
(罪を犯すせば、多くの者を混乱に陥れる・・・。)
遠い昔、己の上司が犯した罪とは種類は異なるものの、やはり力のある者が罪を犯すと混乱は避けられないものだ。
当の本人たちの姿が見えず、真実を知る者が誰一人としていない以上、浦原の罪について、究明することはできない。
それでもやはり、彼らが罪を犯したとは、咲は信じられないし、信じたくなかった。
「隊長になった俺がこういうことを言うのは良くないが・・・こういうことは慣れんな。」
ベットの縁に腰かけて、視線を落とした浮竹がぽつりと言った。
強い背中を見せる彼もまた、咲と同じ思いを内に抱えているのかもしれない。
それでもなお、隊長として彼は前に進まねばならない。
時は待ってはくれないし、守らねばならない人が、節理がある。
多くの隊長、副隊長を失った今、残された隊長や上位席官らが残された隊士を何とか率いていかねばならないのだ。
その荷は、重い。
「お前まで無理するんじゃないぞ。」
ぽすりと頭に乗せられた手に、顔を上げる。
心配そうに眉を上げる友は、昔から変わらず優しい、と思う。
多くの仲間を同志の裏切りによって失った今、友の入院と聞いて心配しないはずがないのだ。
強い強い隊長ではあるが、彼はまた一人の人であり、咲の欠けがえのない友である。
「分かってる。
命の大切さは、よく知っているつもりだよ。」
「よし。」
ようやくいつもの明るい笑顔を見せ、浮竹は咲から離れた。
「・・・浮竹も。」
だから咲も小さな声で呼びかけた。
「なんだ?」
「無理しないで。」
真っすぐと見上げる漆黒の瞳に、浮竹は苦笑を漏らす。
「分かっているよ。」
護挺に捧げると決めた命。
自分が捧げるべき時には迷わず差し出すつもりだが、その時までに無駄にするつもりはない。
京楽の言葉がふと思い出された。
ー何も考えずに3人一緒にいられた霊術院のころって、幸せだったよねぇ。ー
(ただ心のままに生きることが許されるならば・・・)
浮竹は頭を振って立ち上がった。
(あり得もしない仮定をするのはやめよう。)
目の前の友に精一杯の笑顔を向ける。
「ゆっくり休めよ。」
「ありがとう。」
返された笑顔を胸に、部屋を出る。
小さな幸せを享受することが、強い心を保つ秘訣なのだと、浮竹は思っていた。