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一週間目

4月14日 7日目
[ハンドアウト]気が付くと、君は古びた銭湯の脱衣所にいる。大型の扇風機は、一度スイッチを切ると、もう動く事はなかった。《開始地点[町]http://shindanmaker.com/541547》
#黄昏町の怪物
https://shindanmaker.com/541552


interlude
自分の髪は長い。ボーボーに伸びた赤茶けた髪が腰にまで届く。
別に長い髪にこだわりがかるわけではない。むしろここまで伸びた髪の手入れは面倒で仕方がない。
ではなぜこんなにも髪が伸びているのかというと、願いが叶うまで髪を切らない願掛けをしているから。

その願いは、『ばけものになること』もしくは『知らない世界にとばされること』。
普通に生きていればどちらも達成不可能な願掛けをする事を逆手に取り、願わなくてよくなった時、つまり、「あの世界で人間として生きていってもいい」と思えた時に髪を切ろうと思って伸ばし始めたのだ。

…ついにあの世界で髪を切れる瞬間は訪れず、いつの間にやら腰に届くほど伸びていたが。

そんな髪を、自分は今切っている。
…鋭く伸びた、己の異形の爪で。
自警団が言っていた、死ぬごとに異形が増えて怪物化していく一環なのだろう。今の自分は、腕に少し力を入れれば、手の爪の下からさらに薄くてするどい爪がニョッキと顔を出すようになっていた。
爪の鋭さは刃物に匹敵し、こうしてカッターで髪をすくように動かせば、簡単に切れてしまう。

器用に人差し指だけ爪を出したりしまったりしながら、鏡を見て髪の毛の長さを調節する。
目が覚めたのは古い温泉の脱衣所で、かなりくもってひび割れてはいるけど鏡があった。

「んー、流石に爪では細かく長さ調節できないなー。」
それでもまあまあ納得のいく出来にはなった。

切った髪をゴミ箱に捨てて、温泉を後にする。
さあ、冒険しよう。ばけものになれた自分は、きっとどこまででもいける。
そう思いながら歩き出す。黄昏色の光に晒されて、髪の毛がさらに赤く見える。
その顔には自然と笑みが浮かんでいた。
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ointerlude out


[町]「ぴーらやらよーいよい」道端で沢蟹が踊っている。「聞こえる?祭囃子の音」《所持異形3つ以上で[縁日(http://shindanmaker.com/553567)]に行ける/死亡で消えるアイテム消失》
#黄昏町の怪物
https://shindanmaker.com/541547

そうか、まだ足りないのか。
道端で踊っていたサワガニが言った。「君はまだいけないね。‘もっとたくさん抱えないと’」
どこにでもいける気分になって、早々にこれである。
きっと異形が、ばけものであることが足りないのだ。
そのためにももっとたくさん殺してたくさん死んでたくさん異形を抱えてもっともっと化け物にーー

「ないわ。」

死ぬことは辛いし、戦うのは怖いし。
何より自分は強くなりたいわけでも殺したいわけでもない。
ただ、自分が人間では無くなればそれで良いんだ。

異形の爪を出して見つめる。初めてもらったにんげんではない証。
白い爪は黄昏色の光をキラキラと黄色く反射して、宝物のように輝いて見えた。

「自分のペースでいけばいいのですよね。」

ここには行かなくてはならない学校もなければ、帰らなくてはならないお家もない。
ただ気ままに、なりたいばけものの形を探していけばいいのだ。そう、考えいた。

『所持異形2つ以下のため、縁日へは行けない。』
魂13/力2/探索0 死亡回数1回
『爪(力+2)』
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