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二週間目

4月16日 9日目
[町]据えた臭いが立ち込める廃屋。怪物が燃やされた跡だ。その中に、君は光る何かを見つけた。《火耐性所持のとき【アイテム:不思議なビー玉(町診断時に魂+1回復/死亡時に消失)】を入手》
#黄昏町の怪物
https://shindanmaker.com/541547

ぶすぶすと黒い煙をあげ、火の気がまだ残る廃屋を見つけた。熱くないギリギリまで近づいて体を温める。
廃屋の中心にあるのは、どう見ても縛られて燃やされた怪物だ。

「こんなところで何をしているんだ?」
後ろから声がする。少し聞き覚えのある声だ。
「まだ怪物化はしてないんだな。」
よしよし、と馴れ馴れしく頭を撫でてくるのは、数日前に他人を迷子扱いしてきた自警団の人だ。
「君は自分はバケモノだーなんて言ったが、バケモノになればこんな風に燃やされる。」
お兄さんが、いまだ炎が残る、炭になった怪物を指差す。
「その覚悟はあるかい?」
笑って問うお兄さんに
「人間として生きるくらいなら、燃やされた方がマシです」
即座に本音を返した。

お兄さんは口元だけ笑みを深くして、
「そっか、じゃあー」
両手で少女の腰を掴んで、ひょいっ、と軽々しく持ち上げて
「死ぬか。」
大きく振りかぶった。

自分はビクっと体を震わせ、無意識にお兄さんの腕に抱きついた。
いまだ火が燻る廃屋の中に投げ込まれては火傷では済まない。

「冗談だよ。」
自分を掴んでいた手は空中で離されることはなく。ゆっくりと地面に降ろされた。
腰が抜けて座り込んだ自分を、自警団の人は怖い顔で見下ろしてくる。

「バケモノは殺す。それが俺たちの仕事だ。バケモノとして殺される覚悟もないなら、自分はバケモノだなんて世迷いごとを吐くな。」

「…っ」
それでも、自分が人間になれる気はしなくて。人間のふりをして元の世界で暮らしていた辛さと、直接的な死の恐怖に挟まれて涙が溢れてきた。

しゃくりあげる少女を見て、お兄さんが何を勘違いしたのか背中を撫でて慰めてくる。
「なんでバケモノになりたいなんて思ったんだ?」
優しい口調の問い。でも、それには答えられない。理由なんて無い。
いじめられただとか虐待されだだとか裏切られただとか。そう言った‘バケモノになりたくなる外的な理由’なんてもらえなかった。
首を横に振って応え、それでもなお泣き続ける自分をお兄さんは出撃命令が下るまで慰めていた。


泣いて泣いて、廃屋から黒い煙が上がらなくなる頃泣き止んだ。
泣きはらした顔を上げる。
覚悟が、要るのだ。
自分は、自分が人間ではなくなればそれで良かった。
けど、それでは足りない。ばけものとして殺す覚悟も殺される覚悟も無ければ、どんなばけものになりたいか具体的に考えてもなかった。

泣くだけじゃ周りも自分も変わらないことは前の世界で身にしみてる。
行動を起こそう。行きつきたい場所が見えなくても、歩き出さなきゃ始まらない。
その結果が目の前の燃え跡みたいになっても、この世界ではやり直せるのだからー

『火耐性未所持のため、ビー玉入手出来ず』
魂13/力2/探索0 死亡回数1回
『爪(力+2)』
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