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一週間目


4月11日 4日目
[町]身の丈ほどの岩がずるずると君に近付いてくる。「寂しいんだ…一晩でいい、一緒にいておくれよ…」《岩の願いを聞くなら君は安全な寝床を得る【魂+2】》
#黄昏町の怪物
https://shindanmaker.com/541547

取り替えっこしようよ。君が自分で、自分が君。
君は寂しくないように、友を作れるヒトの身体を。
自分はヒトでなくてもいい、穏やかに過ごせる岩の身体を。
ほら、いい考えでしょう?

ここは自分一人が横になれるくらいの小さな洞穴の中。その前に大男の身の丈ほどの岩があり、入り口を外から見えにくくしていた。
岩と一晩共にいる約束をした自分は言った。取り替えっこしようよ、と。
にんげんとして人間とかかわらなくていいその身体は、自分にとってとても良いものに見えた。
古い注連縄がまかれた岩は、ふ「それはできないよ」とすぐに答えた。

「できたとしても、やりたくない。ぼくがぼくでは無くなるのは、ぼくを祀ってくれた人たちへの裏切りだ。」
そう強く否定した後、ゆっくりと語り始めた。

「ぼくは元々広い平原にぽつんと存在してたんだ。近くにあった集落の人間たちは、ぼくのことを神様が運んできた岩だと言って、大切にしてくれた。」

「でも、その集落はなくなった。ぼくは守るべきものを守れなかった。」
「だから、こんな地獄に来たんだと思う。」

自分は静かに聞いていた。

「そりゃあ普段はさみしいけど、ぼくはぼくの形を作ってくれた人間が大好きだ。」
「だから、こうやってぼくの声を聞けて、そばにいてくれるひとを守りたい。」

「君に成り代わったら、それができないじゃないか。」

そう締めくくった声は、しっかりとした自信に満ちていた。
それでも、自分はあることに引っかかっていた。

「自分は、にんげんじゃないよ。」
「人間だよ。ここより人魔の境界が曖昧だった時代から存在している、このぼくが言うんだから間違いないよ。」
さてそれはどっちの意味だったのか。

「もうお休み。この町に夜闇は無いけど、ぼくが夕陽を遮ってあげるから。安全な暗い寝床でゆっくり眠るといい。」
ズルズルと岩が動き、洞窟の入り口を塞ぐ。差し込んでいた黄昏色の光が無くなった。
まるで元の世界の夜のように、静かで暗い場所。すぐに眠りに落ちた。

『願いを聞いて安全な寝床を得る。魂+2』
魂14/力0/探索0
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