二週間目
4月17日 10日目
[町]君は酷く疲れている。安全な寝床を見つけぐっすり眠れれば、少しはましになるはずだ。《探索2以上で発見【魂+2、不要な異形を1つ捨てることができる】、探索1以下で失敗【魂-1】》
#黄昏町の怪物
https://shindanmaker.com/541547
泣いたらとても疲れた。どこかで横になりたい。
どれだけ覚悟を持とうとしても、これだけ疲労していれば全て無意味だ。
さあ、寝床を探しに行こう。
ひらけた場所に真新しい小屋があった。入って見ると中には柱が2本。薪と藁が山になるほど積まれている以外は何も無い。ここを寝床に改造して休むことに決めた。
人間が入ってきた時見つかりにくいよう、ドアがある壁の隅の薪と藁を積み直し空間を作った。
そこにも藁を敷き詰めて横になる。
藁は案外暖かく、寝心地が良かった。
眠りについてそう時間もたたないうちに、悲鳴と騒乱で目が覚めた。
薪の間から小屋の中心を覗き見れば、二本の柱に縛り付けられている怪物たちが。それはついさっき見たばかりの、廃屋の中で炭化していた塊と関連付く。
諦めたように笑う、怪物のお兄さんと目が合った。いやな予感がした。
煙の匂いがした。
薪と藁が詰まった木の小屋はあっという間に火が回る。
あわてて壁の一部を刃物のような爪で無我夢中で引っ掻いた。自分がギリギリ通れる隙間を作って、まる焦げになる前にはなんとか脱か出できた。
炎が吹き出す小屋から、ススまみれの少女が出て来たのを目撃した村人たちに保護されそうになり、逃げ回る羽目になった。
結局騒ぎを聞きつけた自警団に捕まり、火刑小屋に忍び込んだことで雷を落とされた。
疲労と怒られた恐怖で泣きながら、もっとうまく休憩場所を見つけられるようになろうと心に誓った。
『探索0のため、安全な寝床を見つけられない。魂−1。』
魂12/力2/探索0 死亡回数1回
『爪(力+2)』
『10日目の追加』
「火刑小屋からなんかでてきたぞ!」「怪物か!?」「いや小さいぞ!」「子供…?」「黒い怪物じゃね?」「煤で汚れてるだけだろ」
燃え盛る小屋から脱出した自分を、村人たちが離れた場所から勝手に品定めしてくる。
ああ、いらいらする。次はそうやって自分以外のみんなで決めた「役割」として振る舞えと強要するのだろう。
あの子は「大人しい」から、あの子は「かしこい」から、あの子は「かわいそう」だからー!
無言で人の群れに近づく。異形の爪を出してばけものだと名乗れば、蜘蛛の子を散らすように逃げていくに違いない。
「自分はー「やっぱり子供じゃないか!」「なんであの小屋に?」「煤まみれで…かわいそうに。火傷はしてない?」
名乗らせてももらえず一方的に子供扱いする、その人の群れにぞっとした。
人間に人間扱いされることは、自分にとって「だから人間として振る舞え」と脅迫されることに近しい。
踵を返して逃げ出す。燃え盛る小屋の脇を通り抜けて、狭い道へ入っていく。
自分はばけものなのだ。にんげんとして捕まってー保護されてなど、なるものか。
「しつこい、です。」
知らない煤まみれの子供など、すぐに追いかけてくるのをやめるかと思ったが、案外人間たちはしつこかった。
数と地の利を生かして、どんなに大人が通れない隙間をくぐっても、すぐに回り込んでくる。
途中から動きの速いお兄さんたちも加わって、だいぶ逃げるのが難しくなってきた。
木製の壁の亀裂を、異形の爪を突き刺して大きくして通る。
自分が這ってようやく通れる大きさの穴。その向こうからまた、「回り込め!」と、声が聞こえる。
自分はあえて穴の横に座り込んで、休憩する気であった。回り込んできたらまたこの穴をくぐって逃げればいいー
頭の斜め上で、バギィッと木が破られる音が響いた。壁を見ると、どう見てもナタのような刃物が生えていた。
「ぎゃー!先輩、壁壊してどうするんスか!」
「あとで直しにくる。それより、子どもを挟みうちにして捕まえるぞ」
ナタが引っ込んで、また音がする。今度は一気に木の壁にヒビが入り、それを誰かが蹴破った。
自分はその足の横で伏せて小さくなる。
とっさの判断だったが、ちょうど壁を蹴破った犯人の死角に入れたようだ。
ナタを持った人の後ろ姿が遠ざかってー
「せんぱーい、待ってくださいよー」
壁の向こうからした声に、ナタの人が振り向く。
「グズグズするな!相手は素早い…」
そう、振り向いてしまった。そうしたらバッチリ相手の視界に入る。というか、目が合った。
「…」
ナタの人の気迫に、顔が引きつる。慌てて逃げようとしたが、時すでに遅かった。
文字通り首根っこをおさえられて、捕まったのだった。
一応渾身の力で暴れたが、硬い体はビクともしなかった。
この後の事情聴取で、休憩するつもりで火刑小屋に忍び込んだと正直に話してしまい、カミナリを落とされたのは当然の話なので割愛。
この世界の人間に目をつけられると大変なことになるのを学んだのだった。
[町]君は酷く疲れている。安全な寝床を見つけぐっすり眠れれば、少しはましになるはずだ。《探索2以上で発見【魂+2、不要な異形を1つ捨てることができる】、探索1以下で失敗【魂-1】》
#黄昏町の怪物
https://shindanmaker.com/541547
泣いたらとても疲れた。どこかで横になりたい。
どれだけ覚悟を持とうとしても、これだけ疲労していれば全て無意味だ。
さあ、寝床を探しに行こう。
ひらけた場所に真新しい小屋があった。入って見ると中には柱が2本。薪と藁が山になるほど積まれている以外は何も無い。ここを寝床に改造して休むことに決めた。
人間が入ってきた時見つかりにくいよう、ドアがある壁の隅の薪と藁を積み直し空間を作った。
そこにも藁を敷き詰めて横になる。
藁は案外暖かく、寝心地が良かった。
眠りについてそう時間もたたないうちに、悲鳴と騒乱で目が覚めた。
薪の間から小屋の中心を覗き見れば、二本の柱に縛り付けられている怪物たちが。それはついさっき見たばかりの、廃屋の中で炭化していた塊と関連付く。
諦めたように笑う、怪物のお兄さんと目が合った。いやな予感がした。
煙の匂いがした。
薪と藁が詰まった木の小屋はあっという間に火が回る。
あわてて壁の一部を刃物のような爪で無我夢中で引っ掻いた。自分がギリギリ通れる隙間を作って、まる焦げになる前にはなんとか脱か出できた。
炎が吹き出す小屋から、ススまみれの少女が出て来たのを目撃した村人たちに保護されそうになり、逃げ回る羽目になった。
結局騒ぎを聞きつけた自警団に捕まり、火刑小屋に忍び込んだことで雷を落とされた。
疲労と怒られた恐怖で泣きながら、もっとうまく休憩場所を見つけられるようになろうと心に誓った。
『探索0のため、安全な寝床を見つけられない。魂−1。』
魂12/力2/探索0 死亡回数1回
『爪(力+2)』
『10日目の追加』
「火刑小屋からなんかでてきたぞ!」「怪物か!?」「いや小さいぞ!」「子供…?」「黒い怪物じゃね?」「煤で汚れてるだけだろ」
燃え盛る小屋から脱出した自分を、村人たちが離れた場所から勝手に品定めしてくる。
ああ、いらいらする。次はそうやって自分以外のみんなで決めた「役割」として振る舞えと強要するのだろう。
あの子は「大人しい」から、あの子は「かしこい」から、あの子は「かわいそう」だからー!
無言で人の群れに近づく。異形の爪を出してばけものだと名乗れば、蜘蛛の子を散らすように逃げていくに違いない。
「自分はー「やっぱり子供じゃないか!」「なんであの小屋に?」「煤まみれで…かわいそうに。火傷はしてない?」
名乗らせてももらえず一方的に子供扱いする、その人の群れにぞっとした。
人間に人間扱いされることは、自分にとって「だから人間として振る舞え」と脅迫されることに近しい。
踵を返して逃げ出す。燃え盛る小屋の脇を通り抜けて、狭い道へ入っていく。
自分はばけものなのだ。にんげんとして捕まってー保護されてなど、なるものか。
「しつこい、です。」
知らない煤まみれの子供など、すぐに追いかけてくるのをやめるかと思ったが、案外人間たちはしつこかった。
数と地の利を生かして、どんなに大人が通れない隙間をくぐっても、すぐに回り込んでくる。
途中から動きの速いお兄さんたちも加わって、だいぶ逃げるのが難しくなってきた。
木製の壁の亀裂を、異形の爪を突き刺して大きくして通る。
自分が這ってようやく通れる大きさの穴。その向こうからまた、「回り込め!」と、声が聞こえる。
自分はあえて穴の横に座り込んで、休憩する気であった。回り込んできたらまたこの穴をくぐって逃げればいいー
頭の斜め上で、バギィッと木が破られる音が響いた。壁を見ると、どう見てもナタのような刃物が生えていた。
「ぎゃー!先輩、壁壊してどうするんスか!」
「あとで直しにくる。それより、子どもを挟みうちにして捕まえるぞ」
ナタが引っ込んで、また音がする。今度は一気に木の壁にヒビが入り、それを誰かが蹴破った。
自分はその足の横で伏せて小さくなる。
とっさの判断だったが、ちょうど壁を蹴破った犯人の死角に入れたようだ。
ナタを持った人の後ろ姿が遠ざかってー
「せんぱーい、待ってくださいよー」
壁の向こうからした声に、ナタの人が振り向く。
「グズグズするな!相手は素早い…」
そう、振り向いてしまった。そうしたらバッチリ相手の視界に入る。というか、目が合った。
「…」
ナタの人の気迫に、顔が引きつる。慌てて逃げようとしたが、時すでに遅かった。
文字通り首根っこをおさえられて、捕まったのだった。
一応渾身の力で暴れたが、硬い体はビクともしなかった。
この後の事情聴取で、休憩するつもりで火刑小屋に忍び込んだと正直に話してしまい、カミナリを落とされたのは当然の話なので割愛。
この世界の人間に目をつけられると大変なことになるのを学んだのだった。
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