二週間目
4月15日 8日目
[町]大きな角を重そうに、男が座り込んでいる。「角が欲しいならやるがね、君が自分から刺さってくれよ?」《君が角に刺さるなら死亡【魂-1/異形『角(力+2)』を入手】、力1以上であれば男を戮せる【魂+1】》
#黄昏町の怪物
https://shindanmaker.com/541547
「ひいっ!ごめんなさいここで休んでいただけなんです!」
ばけものを見つけたかのような、情けない悲鳴が響く。
「お願いだから大人たちを呼ばないでください、すぐここからいなくなるんで!」
大きなツノを持つお兄さん‘が’立ち上がろうとして、ツノが重いのだろうか、バランスを崩して頭からアスファルトに落ちた。
「大丈夫ですか?お兄さん」
頭と膝が地面に付いて、腰だけ上がっている、ある意味芸術的な体制をしているお兄さんに話しかける。
「お、おれは村人を襲ったりしたことないんで…!」
「自分は村人じゃないです。ばけものですよ。」
途端、お兄さんの体から力が抜けた。
「んだよ、お仲間かよビビらせやがって…。随分異形を隠すのが上手いんだな。」
それがばけものに見えない、という意味を持つことに気づかなかった。なんだか照れるような誇らしいような気持ちになり、お兄さんに笑顔で返した。
並んで座って、色々な話をした。ツノが欲しいかと言われて、欲しかったけど死ななくてはならないと知って断った。
「ここには元の世界から来たいろんな怪物がいて、そのほとんどが出口を探して彷徨ってる。力が欲しい奴もいれば、問答無用で襲いかかってくるやつもいる。」
「お兄さんは?出口を探して歩かないのですか?」
お兄さんは少し困ったように笑って
「ツノがさ、重いんだよ。それに、座り込んでいれば、たまにツノが欲しいやつが魂をくれるからな。」
「魂…を、くれる?」
魂とは譲渡可能なものであったのか。もしかしてお兄さんの方が、そういう能力を持つ悪魔的なー
「おっとそこから説明が必要か」
魂とは、死と引き換えに減っていくリソースであり、他の怪物を殺したり、まともな休息をとったりすれば回復していくものらしい。
「そうだな。ここまで情報をやったんだし、お礼にお嬢さんの魂をくれよ。」
にやり。と笑って、お兄さんが自分の両肩を掴んでくる。そのままツノをこちらにー
ぞわり、と。死の恐怖が悪寒として体を駆け巡る。
ほぼ無意識に出ていた異形の爪を、お兄さんの顔に当てる。
「なら自分も、ばけものとして戦いましょう。」
それでも手が震える。怖い。どうして。さっきまで話していた人を殺すのが怖い?戦うのが怖い?痛いのが?死ぬのが?何が怖いのだ自分はばけものなんだー
「…」
ふと気がつく。震えているのは自分だけでなくお兄さんもだと。
「…ごめん。」
お兄さんの手が離れる。
「いくら残りの魂少なくても、おれには無理だわ。…ごめんな、怖い思いさせたな。」
つまるところ、自分たちは両方とも、臆病な甘ちゃんだったようで。
「また、ツノが欲しくなったら来いよ。」
「ええ、その時はまた。」
約束のようで約束じゃない、そんな言葉を交わして別れたのだった。
『角に刺さらないし、男も殺さない』
魂13/力2/探索0 死亡回数1回
『爪(力+2)』
[町]大きな角を重そうに、男が座り込んでいる。「角が欲しいならやるがね、君が自分から刺さってくれよ?」《君が角に刺さるなら死亡【魂-1/異形『角(力+2)』を入手】、力1以上であれば男を戮せる【魂+1】》
#黄昏町の怪物
https://shindanmaker.com/541547
「ひいっ!ごめんなさいここで休んでいただけなんです!」
ばけものを見つけたかのような、情けない悲鳴が響く。
「お願いだから大人たちを呼ばないでください、すぐここからいなくなるんで!」
大きなツノを持つお兄さん‘が’立ち上がろうとして、ツノが重いのだろうか、バランスを崩して頭からアスファルトに落ちた。
「大丈夫ですか?お兄さん」
頭と膝が地面に付いて、腰だけ上がっている、ある意味芸術的な体制をしているお兄さんに話しかける。
「お、おれは村人を襲ったりしたことないんで…!」
「自分は村人じゃないです。ばけものですよ。」
途端、お兄さんの体から力が抜けた。
「んだよ、お仲間かよビビらせやがって…。随分異形を隠すのが上手いんだな。」
それがばけものに見えない、という意味を持つことに気づかなかった。なんだか照れるような誇らしいような気持ちになり、お兄さんに笑顔で返した。
並んで座って、色々な話をした。ツノが欲しいかと言われて、欲しかったけど死ななくてはならないと知って断った。
「ここには元の世界から来たいろんな怪物がいて、そのほとんどが出口を探して彷徨ってる。力が欲しい奴もいれば、問答無用で襲いかかってくるやつもいる。」
「お兄さんは?出口を探して歩かないのですか?」
お兄さんは少し困ったように笑って
「ツノがさ、重いんだよ。それに、座り込んでいれば、たまにツノが欲しいやつが魂をくれるからな。」
「魂…を、くれる?」
魂とは譲渡可能なものであったのか。もしかしてお兄さんの方が、そういう能力を持つ悪魔的なー
「おっとそこから説明が必要か」
魂とは、死と引き換えに減っていくリソースであり、他の怪物を殺したり、まともな休息をとったりすれば回復していくものらしい。
「そうだな。ここまで情報をやったんだし、お礼にお嬢さんの魂をくれよ。」
にやり。と笑って、お兄さんが自分の両肩を掴んでくる。そのままツノをこちらにー
ぞわり、と。死の恐怖が悪寒として体を駆け巡る。
ほぼ無意識に出ていた異形の爪を、お兄さんの顔に当てる。
「なら自分も、ばけものとして戦いましょう。」
それでも手が震える。怖い。どうして。さっきまで話していた人を殺すのが怖い?戦うのが怖い?痛いのが?死ぬのが?何が怖いのだ自分はばけものなんだー
「…」
ふと気がつく。震えているのは自分だけでなくお兄さんもだと。
「…ごめん。」
お兄さんの手が離れる。
「いくら残りの魂少なくても、おれには無理だわ。…ごめんな、怖い思いさせたな。」
つまるところ、自分たちは両方とも、臆病な甘ちゃんだったようで。
「また、ツノが欲しくなったら来いよ。」
「ええ、その時はまた。」
約束のようで約束じゃない、そんな言葉を交わして別れたのだった。
『角に刺さらないし、男も殺さない』
魂13/力2/探索0 死亡回数1回
『爪(力+2)』