「ねぇ、最近一緒にいた人は誰ですか？」
『貴様に答える義理はない。』
「あんなのより、僕の方が男らしくてかっこいいですよ。」
『…』
「僕は亜莉亜さんのためなら死んでもいい。」
『…じゃあ、死ねよ。』
「ほぇ！？」
亜莉亜はニヤリと笑うと、足を止めた。
「じ、冗談ですよね？」
『私は本気だ。何も知らずノコノコとついてきやがって…。私はここに公務で来たんだぞ？つまり、どういうことか分かるな。」
「まさか…ほ、虚が！？」
亜莉亜は頷いた。
『さ、私のために死ね。』
グォォオオ！！
虚の叫び声が聞こえ、佐々木の顔が一気に青ざめた。
「ぼぼぼぼ、僕、戦ったことなんてああ、あ、ありませんよ！？」
『どうした？前言撤回するか？』
そう言って追い詰めてやれば、震えて鼻水や涙を垂らしながら何度も頷くから…ついに私はキレた。
『てめぇなぁ！！口先だけでは綺麗事並べといて、実際自分の身が危険にさらされたら前言撤回だと？ふざけんじゃねぇ！！』
「ひいっ…」
『私はな、てめぇみたいな口先だけの野郎が、世界でいッちばん嫌いなんだよ！！」
「はい、すみませっ…」
『だいたいなぁ、てめぇの方が拓斗より男らしくてかっこいいだと！？てめぇみたいなカスより、拓斗の方が100倍、いや1000倍、男らしくて有能で優しくてかっ…かっ…か…ッ――』
亜莉亜の顔が恥ずかしさで真っ赤になった。
…拓斗の方が1000倍、男らしくて有能で優しくて――かっこいい！？
わ、私は何を言ってるんだ！！
『とっ、とにかく、私はお前が大嫌いだ！二度と私の前に姿を見せるなッッ！！』
亜莉亜はそう言うと、コンマ数秒で虚を片付け、そそくさとその場を離れていった。


亜莉亜が心配で追いかけてきた拓斗が、木の陰で大きくガッツポーズをとったのは言うまでもない。