零番隊の恋愛事情
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零番隊副隊長・我妻拓斗の場合
「全部丁重にお断りして。」
俺は大量のお見合い写真を使用人に突き返した。
「しかし、中身を拝見させていただいたところ、たいへん容姿端麗な方も多く…」
「お断りして。興味ないから。」
「そう言われましても…一度は目をお通しいただかなければ…」
「断って、って言ってるのが分からないかな?」
「…失礼いたしました。」
しぶしぶ部屋を出ていく使用人。
それを見届けた拓斗は盛大にため息をついた。
上流貴族当主という立派な身分がありながらも、零番隊副隊長の肩書きに劣らない十分な実力を持ち、その上容姿は良く性格も文句なし。
そんな拓斗にお見合い話を持ち込む貴族は多く…拓斗は正直迷惑している。
写真やプロフィールを送りつけられるだけなら、まだ簡単に断れる。
だが、お見合いを志願する女性の中には、図々しいほど積極的な人もいて――今日もほら、我妻邸に乗り込んできた。
「お初にお目にかかります。西京家の長女、みちると申します。」
「我妻家当主の我妻拓斗です。」
簡単に挨拶をして顔をあげると、何となく目があった。
にこりと微笑まれるが、何も感じない。
「あの…せっかくですから、二人きりでお話したいのです。お庭に出ませんか?我妻家の庭はたいへん立派だと耳に入れましたので…」
「分かりました。」
内心、こんな遅い時間に?と思いつつも俺たちは外へ出た。
「まぁ、素晴らしいお庭ですのね。」
「えぇ、まぁ。」
「…」
「…」
「私のこと、お嫌いですか?」
「いえ、別に。」
えぇ、まぁ。
こっちが本心だけどね。
一応は客人だから、失礼なことはできないし。
…っていうか、そうやって意識的に上目遣いされるのが俺は大嫌いなんだよ?
早く帰ってくれないかなぁ…。
そんなことを思っていると、よく知った後ろ姿を見つけた。
木に隠されていてはっきりとは見えないけれど…確信はあった。
「ちょっとごめんね。」
そう――誰だっけ?…に言うと、少し驚かれた。
「亜莉亜ー?亜莉亜でしょ?」
木の陰に呼び掛ける。
『拓斗!?お前、お見合い中だろ…?』
亜莉亜はパッと振り返ると、こっちに歩いてきた。
「まぁ…ね。それより、どうかしたの?こんな時間に。」
『…いや、大したことはないんだ。そっちを優先してくれ。』
目を伏せる亜莉亜。
隊首羽織を脱いだ亜莉亜は、ただの繊細な一人の女性でしかなくて。
そういう反応をするときは、何か悩み事があるとき。
「話、聞くよ。中で待ってて。」
『良いのか?』
俺は、にっこりと笑いながら頷いた。
『分かった。じゃあ、待ってるから。』
そう言って屋敷の中に入っていく亜莉亜を、俺はぼーっと見ていた。
「…先程の方はどなたで。」
ちょっときつめの声で聞かれ、俺はやっとその存在を思い出した。
「あぁ、今のは神影亜莉亜っていって、俺のとこの隊長です。」
「というと…零番隊の隊長様でございましたか。随分と仲が宜しいのですね。」
「えぇ。幼馴染みでもありますから。」
「…そう、ですか。拓斗様はああいったお方がお好きなのですね。」
静かに言われ、俺は驚いた。
「このお見合いはご破綻で構いません。ただ…次は拓斗様の好みの女になってきますゆえ。」
そう言って、西京家のお嬢様はさっさと帰っていった。
「お好き…ねぇ。」
そういう好みの問題じゃない気がするんだけどなぁ。
俺が大好きなのは亜莉亜以外の誰でもなくて、亜莉亜の持つものなら、たとえそれが苦しみでも、俺は大歓迎なんだ。
「全部丁重にお断りして。」
俺は大量のお見合い写真を使用人に突き返した。
「しかし、中身を拝見させていただいたところ、たいへん容姿端麗な方も多く…」
「お断りして。興味ないから。」
「そう言われましても…一度は目をお通しいただかなければ…」
「断って、って言ってるのが分からないかな?」
「…失礼いたしました。」
しぶしぶ部屋を出ていく使用人。
それを見届けた拓斗は盛大にため息をついた。
上流貴族当主という立派な身分がありながらも、零番隊副隊長の肩書きに劣らない十分な実力を持ち、その上容姿は良く性格も文句なし。
そんな拓斗にお見合い話を持ち込む貴族は多く…拓斗は正直迷惑している。
写真やプロフィールを送りつけられるだけなら、まだ簡単に断れる。
だが、お見合いを志願する女性の中には、図々しいほど積極的な人もいて――今日もほら、我妻邸に乗り込んできた。
「お初にお目にかかります。西京家の長女、みちると申します。」
「我妻家当主の我妻拓斗です。」
簡単に挨拶をして顔をあげると、何となく目があった。
にこりと微笑まれるが、何も感じない。
「あの…せっかくですから、二人きりでお話したいのです。お庭に出ませんか?我妻家の庭はたいへん立派だと耳に入れましたので…」
「分かりました。」
内心、こんな遅い時間に?と思いつつも俺たちは外へ出た。
「まぁ、素晴らしいお庭ですのね。」
「えぇ、まぁ。」
「…」
「…」
「私のこと、お嫌いですか?」
「いえ、別に。」
えぇ、まぁ。
こっちが本心だけどね。
一応は客人だから、失礼なことはできないし。
…っていうか、そうやって意識的に上目遣いされるのが俺は大嫌いなんだよ?
早く帰ってくれないかなぁ…。
そんなことを思っていると、よく知った後ろ姿を見つけた。
木に隠されていてはっきりとは見えないけれど…確信はあった。
「ちょっとごめんね。」
そう――誰だっけ?…に言うと、少し驚かれた。
「亜莉亜ー?亜莉亜でしょ?」
木の陰に呼び掛ける。
『拓斗!?お前、お見合い中だろ…?』
亜莉亜はパッと振り返ると、こっちに歩いてきた。
「まぁ…ね。それより、どうかしたの?こんな時間に。」
『…いや、大したことはないんだ。そっちを優先してくれ。』
目を伏せる亜莉亜。
隊首羽織を脱いだ亜莉亜は、ただの繊細な一人の女性でしかなくて。
そういう反応をするときは、何か悩み事があるとき。
「話、聞くよ。中で待ってて。」
『良いのか?』
俺は、にっこりと笑いながら頷いた。
『分かった。じゃあ、待ってるから。』
そう言って屋敷の中に入っていく亜莉亜を、俺はぼーっと見ていた。
「…先程の方はどなたで。」
ちょっときつめの声で聞かれ、俺はやっとその存在を思い出した。
「あぁ、今のは神影亜莉亜っていって、俺のとこの隊長です。」
「というと…零番隊の隊長様でございましたか。随分と仲が宜しいのですね。」
「えぇ。幼馴染みでもありますから。」
「…そう、ですか。拓斗様はああいったお方がお好きなのですね。」
静かに言われ、俺は驚いた。
「このお見合いはご破綻で構いません。ただ…次は拓斗様の好みの女になってきますゆえ。」
そう言って、西京家のお嬢様はさっさと帰っていった。
「お好き…ねぇ。」
そういう好みの問題じゃない気がするんだけどなぁ。
俺が大好きなのは亜莉亜以外の誰でもなくて、亜莉亜の持つものなら、たとえそれが苦しみでも、俺は大歓迎なんだ。