拓「あぁ、あのおばあちゃんに聞いたんだ。でも、俺たちだって一種のお化けじゃない？それに…万一お化けが悪いことしても、亜莉亜は俺が――って、寝ちゃったか。」
拓斗の肩に頭をのせてすやすやと眠る亜莉亜。
拓斗は優しげな笑みを浮かべ、亜莉亜の頭をそっと撫でた。
拓「病み上がりの状態であんなに飲んだんだもんね。疲れるはずだよ…。」
恋「おーい、拓斗。一緒に飲もうぜ…って、神影隊長だよな、それ。」
拓斗の正面に座りながら、目を丸くする恋次。
拓「他の誰に見えるの？」
クスクスと笑いながら拓斗は答えた。
恋「いや、まあ…何て言うか、いつもと比べて、さっぱり威圧感が無いっていうか…こんなこと聞かれたらぶっ殺されそうだけど、正直"子ども"みてえだなって。」
拓「ははっ…そりゃ、君らにはそう見えるだろうね。だけどこれが、亜莉亜の素なんだよ。…最も、こんな無防備になるのは俺の前だけにしてほしいけど。」
恋「相変わらず神影隊長にベタぼれなんだな。」
恋次の言葉に、拓斗は肩をすくめた。

その後も、イヅルや修平を加えた四人で、拓斗たちは談笑していた。
他の死神たちは、すでに部屋に帰り眠っている。
一部例外はその辺りで寝ているが。
恋「しっかし、まぁ、鬼より怖い神影隊長がお化け嫌いだったとはなぁ…！」
修「意外に可愛いとこあるんだな！」
イ「何か、泣く子も黙る零番隊隊長…なんて名前に泣けますね。」
恋「お、上手いこと言うじゃねーか！！」
修「その調子で短歌でも詠んだらどうだ？…って、神影隊長！？」
パッと目を開いた亜莉亜に、修平が驚く。
恋「まさか、今の話全部聞かれてたとか…」
イ「ど、どうしよう…」
拓「亜莉亜、ごめん。起こしちゃったね…って、何やってるの？」
立ち上がり、ゆっくりと歩きだす亜莉亜の姿に、流石の拓斗も驚きを隠せない。
亜莉亜の視線の先には、中庭が見渡せる廊下へと繋がっている障子が。