『私に勝とうだなんざ千年早ぇんだよ、更木剣八！』
不敵な笑みを浮かべる亜莉亜。
しかし、そのわずかな異変に拓斗は気づいた。
拓「あのー…亜莉亜？」
『あ？何だ、拓斗。』
振り向いた亜莉亜の顔を見て、拓斗は確信した。
拓「…やっぱりね。」
一護「何がだよ？」
拓斗の呟きを聞き付けた一護が、亜莉亜の顔を覗きこんだ。
『…？』
一護「いつもと変わらねぇよ。なぁ？」
『そりゃそうだ。私は零番隊隊長だぞ？そんじょそこらの死神には全ての面において負けねぇんだよ。全て、な！』
一護「ほら。」
拓「何が"ほら。"だよ！！君には分からないの？どう見たって亜莉亜酔ってるじゃん！」
『ぬっ！？私が酒ごときに負けるというのか！』
反論する亜莉亜の虚ろな目を、一護の目がしっかりと捉えた。
一護「悪い。やっぱ酔ってるわ。これは。」
拓「でしょ！？…ね、亜莉亜。もうお酒は十分飲んだでしょ？ちょっと部屋で休んできたら？」
『…分かった。』
思ったよりも素直に頷いた亜莉亜に、拓斗はホッとしたような表情を見せた。
拓「部屋まで送ろうか？」
『…いや、いい。』
一人で行ける。
そう言って拓斗の申し出を断る亜莉亜。
その光景を見た男性死神の目がキラリと輝いた。
修「じゃ、俺が送ります！」
恋「いやいや、ここは俺に！」
イ「なら僕が…」
弓「適役は僕しかいない…そう思いませんか？」
京「僕が行くよ～♪」
一護/拓「「全員却下だッ！！」」
一護と拓斗が同時に叫んだ。
亜莉亜護送に名乗りをあげた男性死神からはブーイングが響くが、二人は一切聞こうとしない。
拓「それよりも…」
一護「ん？」
拓「君も一緒だからね。」
一護「は？何が！？」
拓「亜莉亜に近付くの禁止ってこと。」
拓斗は一護の耳元でそう言うと、ニヤリと笑った。