そして、
拓「…///」
恥ずかしそうに目をそらす…ふりをしながら亜莉亜を横目で見ている拓斗。
『…？』
亜莉亜は訳が分からず、ただ回りの反応に首をかしげている。
拓「あの…亜莉亜……」
言いにくそうにしている拓斗。
『どうかしたか？』
拓「上着…着て。」
拓斗に言われて初めて、自分の格好に亜莉亜は気づいた。
『…あ。』
拓「…。」
『ま、いいか。』
拓「Σ良くないよ亜莉亜！良くないからね！！」
『今更隠したって仕方ないだろ？何も裸じゃあるまいし。』
拓「いやいやいや！早く隠してもらわないと…どこ見て良いか分かんないから！それに…」
『それに…？』
拓斗の言葉に注目が集まる。
拓「亜莉亜の水着姿を俺以外の男に見せたくない。」
拓斗がポツリと呟き、辺りの空気は一気に凍りついた。
杏「成る程…。」
魅「そういうわけね。」
華「♪」
江「何だかムカつきますわ。」
意味深な言葉を交わす女子組。
『な、なな…？』
一人、よく意味が分かっていない亜莉亜。
拓「と、に、か、く！」
パッと亜莉亜のパーカーを掴む拓斗。
拓「これ羽織ってちゃんとチャックして！」
そう言いながら、パーカーを亜莉亜に押し付ける。
『あ、あぁ。』
拓「よし☆」
亜莉亜がパーカーを着込むと、拓斗は満足げに頷いた。
龍「あ～あ。せっかく脱いでたのに…」
拓「五月蝿い。これで良いの！」
杏「でも、やっばり隊長ってスタイル抜群ですよね。羨ましいなぁ…」
龍「そりゃ、三席と隊長を比べれば…なぁ。」
杏「な、なんですって！？龍、あんただって副隊長よりチビじゃない！」
拓「えへん。」
江「誰か私の事呼びました？名乗りでなさい！」
拓「えれん、とは言ってないよ？聞き間違えちゃったかな？」
江「う、五月蝿いですわ！それに、子供扱いは失礼じゃなくて？」
華「ちょっと、お姉ちゃん…」
杏「チビ！」
龍「それは三席だって！」
魅「確かに三席は小さいわ。」
怜「…そうだな。」
杏「魅月ちゃんまで！？怜も！？」
そ「早く泳ぎに行こうよぅ…」
杏「私はチビじゃない！！」
『うるさぁぁぁあい！！！』

冬「懲りねえやつらだな。」
騒ぐ零番隊を尻目に、冬獅郎は目の前のかき氷をスプーンですくい、口のなかに落とした。
ほんのりと甘い冷たさは、一瞬で溶けてしまった。
夏も、この氷と同じだな。
楽しむ間もなく、あっという間に過ぎ去ってしまうから――。
まぁ、暑い夏も悪くない。
不覚にもそう思った。