『お、おい、待て。ここは…』
ここは四番隊。騒ぎすぎると大変な目に…
そう心配する亜莉亜を他所に、やちるは楽しそうに剣八を見ている。
その時だった。
スーッ
更木が入ってきて以来、閉ざされていた病室のドアが、ゆっくりと開いた。
『…』
亜莉亜はドアの向こうで微笑んでいる人物を見て、身を強ばらせた。
いや、その人が来たからには安心だぞ。
安心なんだが、その黒い笑みが怖い。
剣「おらおらぁ！！」
拓「そんなんで俺に勝てるわけ？」
剣八と拓斗は一切気づいていないようだ。
亜莉亜は、目の前にいる拓斗の死覇装を少しだけ引っ張った。
拓「亜莉亜？」
『卯ノ花だ。』
拓「！」
拓斗が、剣八との争いを急に止めた。
剣「何だ？急に怖じ気づきやがっ…」
卯「更木隊長。ここは四番隊ですよ？怪我人や病人がたくさんいるのです。ここで騒ぐのは止めていただけませんか？」
ついに卯ノ花が剣八に声をかけた。
剣「うる…」
卯「それから、そのような汚ならしい格好で四番隊をうろつくのもご遠慮ください。いくら鍛練の後だからとはいえ、四番隊では清潔な格好でなければ困ります。」
剣「な…」
卯「あと、亜莉亜さんとの試合は認めません。彼女はまだ療養中です。私の許可なしには外出も、もちろん試合などもできません。」
剣「…」
卯「お引き取りください。」
今までで一番黒いんじゃないかというほど真っ黒な笑みを浮かべ、卯ノ花は言い切った。
や「剣ちゃん…」
剣「チッ、仕方ねぇ。やちる、帰るぞ。」
ドタドタと出ていく二人。
卯「四番隊ではお静かに！」
剣「…」
卯ノ花の圧のおかげで、その後剣八が四番隊で騒ぐことはなかったとか、あったとか…。
とにかく、卯ノ花の前では絶対に騒がなくなった。