山「わしが書いた本じゃ。暇じゃろうから、とくと読むがよい」
『ふーん』
元柳斎は颯爽と病室を出ていってしまった。
『結局は読んでほしいだけなんじゃ？』
そう言いつつ、亜莉亜は渡された本に目をやった。
『山本総隊長直伝、爺マッチョの秘訣』
…
……
『興味ないわ！』
バサッ
数秒間だけフリーズしたのち、亜莉亜は本を床へと投げ出した。
…ったく。
爺マッチョって何だ？
爺マッチョって！
「神影？何やってんだ？」
亜莉亜が一人で騒いでいると、病室の入り口から、妙に落ち着いた少年の声が聞こえた。
『日番谷に松本！』
よくよく考えてみたら、私は何を一人で騒いでいたのだろう。
くそ、見られていたとは。
不覚だった。
どよーんと落ち込む亜莉亜。
冬「あ、いや、俺は…俺らは何も見てないから、気にするな。」
乱「そ、そうですよぉ！私たちは何も、ね？」
亜莉亜のあまりの落ち込みように、焦る冬獅郎。
『気を使わなくていい…』
二人に励まされ、余計に落ち込む亜莉亜。
『そういえば、どうしてここに？』
冬「俺たちは、お前の見舞いに」
乱「日番谷隊長が、どうしても神影隊長に会いたいっていうものですから…」
冬「な！？」
乱「またまたぁ…隊長も、素直になれば、い・い・の・に！」
ハートマークを飛ばしながら、冬獅郎の額を軽くつつく乱菊。
冬「松本、テメェ…！」
『…ふふッ』
亜莉亜がクスリと笑ったことにより、驚く冬獅郎と乱菊。
『いや、お前らはやっぱ名コンビだと思って。』
冬「勝手にコンビにしてくれるな。」
乱「えぇ～、コンビで良いじゃないですかぁ！有名になれますよきっと！」
乱菊はそう言ってぐずるが、冬獅郎は相手にする気がないようで、知らないふりをする。