龍「ちょっ、思い出せないのは三席の記憶力が悪いだけだろ！？俺のせいじゃねぇっ！！何でもかんでも俺にあたるなっ！」
逆ギレした龍が、杏樹の手を振り払う。
杏「はぁ！？何口ごたえしてるのよ！この馬鹿四席！一枚も書類できない馬鹿四席っ！」
龍「一枚くらい出来ますしぃー！今までにトータルで１０枚はしてますしぃー！」
杏「それが少ないって言ってるのよ！」
二人は、殴り合いになりそうなくらいの勢いで言い合いをしている。
終わる気配はさらさらない。もしこの争いを放置しておいたとしたら、１、２年は続くかもしれないと亜莉亜は思った。
…はぁ。
止めるしかないか。
龍「うるせえよこのチビ！！」
杏「なんですって！？このナルシスト！」
『やめろ、二人とも。子供に見えるぞ。』
龍杏「「あぁ！？／はぁ！？」」
『…』
龍杏「「ぁ…」」
やってしまった感が辺りに漂う。
杏「もも申し訳ありませんでした！！」
龍「お、お助けを…」
杏と龍の二人は、冷や汗をかきながら必死に弁解する。
杏「バカな龍に気をとられていて…」
龍「バカな三席がうるさかったから…」
亜莉亜は二人を見ると、再び大きなため息をついた。
『…もういい。いいから、帰って仲良く書類やってくれ。』
亜莉亜の言葉に、二人はしょんぼりと肩を落としながら、零番隊に帰っていった。
『結局は似た者同士だな。』
拓「確かにね。」
残された二人は、温かい笑みを浮かべた。
なんだかんだで、仲良しな零番隊だ。
拓「それで、さっきの続きなんだけどね。」
拓斗は、一枚の書類を亜莉亜に見せた。
拓「魅月ちゃんたちので壊しちゃった建物の修理代についてなんだけど…」
亜莉亜は拓斗から書類を受け取ると、パッと目を通した。
すると、すぐにその整った顔が歪んだ。
『おかしい』
拓「でしょ？」