『大丈夫か？』
虚に傷つけられ、倒れている一人の隊員に声をかける。
隊「き、危険ですから下がって…」
背中を向けていたため、隊員は亜莉亜に気付いていないようだ。
笑みを浮かべた亜莉亜が振り返る。
『誰に言ってんだ？』
隊「まさか、神影隊長！？」
『何だか失礼な気もするが、まぁいい。下がっていろ。』
隊「は、はい。良かった…」
ウォォォ…
虚が叫び声をあげる。
『こういう日に限って下駄。邪魔だな。』
カンッ、コンッ…
亜莉亜は下駄を脱ぎ捨てる。
『人の多いところで戦うのは苦手だが、仕方が無い。──消せ、闇鬼！』
亜莉亜の霊圧が一気に上昇し、辺り一面の地面を黒い霧が包む。
『……』
その場で瞳を閉じ、闇鬼の霧をコントロールし、虚だけに当てようと集中する亜莉亜だが。
ヒュッ
『！』
カキィィン…
流石に大虚、油断はできない。
４体の虚が交互に亜莉亜を襲う。
避けることこそは容易いが、なかなか攻撃に移せない。
虚と魂魄の位置を正確に把握できなければ、周辺の人々を巻き込んでしまいかねない。
そう、菫とあの子供たちもだ。
『直に切る方が早いか。』
苦い顔をする亜莉亜。
その次の瞬間、２つの霊圧が現れた。
拓「亜莉亜お待たせ！魂魄保護、完了したよ。」
龍「好きなだけ霊圧こめてオッケーだぜ！」
亜莉亜は一瞬だけ、驚いた表情を見せるが、すぐに余裕を覗かせるいつもの表情になり、真っ直ぐに斬魄刀を構えた。
『闇鬼、いけ！！』
その言葉と同時に、黒い霧の濃度が一気に上がり、波のようになると、たちまち虚４体を消し去った。
拓「…お疲れ」
龍「さっすが隊長！素晴らし～…から、帰りにどっか寄って帰ろ！俺甘いのが食べたいなぁ」
『何でそうなるんだ。』
亜莉亜はため息をつく。