セピア色のメモリー
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拓「……ッ!」
振り下ろされた刃は、拓斗が横たわっていた畳に容赦なく突き刺さった。
拓斗は力を振り絞って何とか体を起こす。
拓「やめて、母様……!」
必死に訴えかける。
しかし、秋江は全く耳を傾けようとしない。
拓斗は顔をひきつらせた。
この人は本気だ。
本気で俺を殺すだろう。
どうして。
嫌だ。まだ死ぬわけには──
拓斗は無意識に、身を護るための方法を探す。
その間にも、畳に深く刺さった短刀を引き抜いた秋江は、拓斗めがけて振りかざす。
拓「あ……」
拓斗の目に、床の間に飾られた刀が映る。
狂ったように短刀を振り回す秋江から逃れ、刀へと震える手をのばす。
秋「この家の名を汚す者はいらない!!」
拓「うっ」
短刀の切っ先が拓斗の背中を鋭く撫でた。
じわりと背中が熱くなる。
身体から力が抜けていく。
それでも、拓斗は飾られた刀だけを見ていた。
指先が、やっと、刀に触れた。
刀を支えていた台が倒れ、刀の主導権は拓斗に渡る。
拓斗は刀を握りしめ、大きく振り回した。
風を切る音。
それに怯んだのか、秋江が小さい悲鳴とともに後ずさる。
拓「母様、それをッ、捨てて……」
苦しさに上がる息を抑え、警告する。
どうか、諦めて、この惨劇をやめてくれるように。
どうか、どうか──頼むから。
秋「この母に、逆らうというのですか!?」
秋江は短刀を両手で強く握りしめ、鬼のような形相で拓斗に対峙する。
拓「ねえ、母様……!」
縋るような声は、もう、届かない。
秋江は奇声をあげながら、拓斗へと刃を向け、踏み込んだ。
拓「母様……!」
勢いづく秋江の影に、拓斗は刀の柄を握りしめた。
剣先が激しく震えている。
拓斗はこの現実を否定するかのように、首をふる。
拓「嫌だ……やめてよ……」
まるで時間の流れまでがおかしくなってしまったのか。
拓斗の目には、迫りくる秋江の刃が、ゆっくりと映っている。
嘘のように静まり返った意識の中に、自分がぽつりと立たされている。
──もう、死ぬのかな。
そう悟ったとき、小さな火花が弾けた。
拓「──」
身を護るために、反射的に刀を振った。
真一文字に光がよぎり、鈍い感触とともに、拓斗は現実へと引き戻された。
頭の中が真っ白になり、刀が手から滑り落ちる。
刀についた鮮血が、畳にぽつりと染みを作っていく。
全身から力が抜け、拓斗は膝から崩れ落ちた。
それでも目を離すことはできなかった。
首を裂かれ赤いものを吹き出している、
昔、母親であったものを。
振り下ろされた刃は、拓斗が横たわっていた畳に容赦なく突き刺さった。
拓斗は力を振り絞って何とか体を起こす。
拓「やめて、母様……!」
必死に訴えかける。
しかし、秋江は全く耳を傾けようとしない。
拓斗は顔をひきつらせた。
この人は本気だ。
本気で俺を殺すだろう。
どうして。
嫌だ。まだ死ぬわけには──
拓斗は無意識に、身を護るための方法を探す。
その間にも、畳に深く刺さった短刀を引き抜いた秋江は、拓斗めがけて振りかざす。
拓「あ……」
拓斗の目に、床の間に飾られた刀が映る。
狂ったように短刀を振り回す秋江から逃れ、刀へと震える手をのばす。
秋「この家の名を汚す者はいらない!!」
拓「うっ」
短刀の切っ先が拓斗の背中を鋭く撫でた。
じわりと背中が熱くなる。
身体から力が抜けていく。
それでも、拓斗は飾られた刀だけを見ていた。
指先が、やっと、刀に触れた。
刀を支えていた台が倒れ、刀の主導権は拓斗に渡る。
拓斗は刀を握りしめ、大きく振り回した。
風を切る音。
それに怯んだのか、秋江が小さい悲鳴とともに後ずさる。
拓「母様、それをッ、捨てて……」
苦しさに上がる息を抑え、警告する。
どうか、諦めて、この惨劇をやめてくれるように。
どうか、どうか──頼むから。
秋「この母に、逆らうというのですか!?」
秋江は短刀を両手で強く握りしめ、鬼のような形相で拓斗に対峙する。
拓「ねえ、母様……!」
縋るような声は、もう、届かない。
秋江は奇声をあげながら、拓斗へと刃を向け、踏み込んだ。
拓「母様……!」
勢いづく秋江の影に、拓斗は刀の柄を握りしめた。
剣先が激しく震えている。
拓斗はこの現実を否定するかのように、首をふる。
拓「嫌だ……やめてよ……」
まるで時間の流れまでがおかしくなってしまったのか。
拓斗の目には、迫りくる秋江の刃が、ゆっくりと映っている。
嘘のように静まり返った意識の中に、自分がぽつりと立たされている。
──もう、死ぬのかな。
そう悟ったとき、小さな火花が弾けた。
拓「──」
身を護るために、反射的に刀を振った。
真一文字に光がよぎり、鈍い感触とともに、拓斗は現実へと引き戻された。
頭の中が真っ白になり、刀が手から滑り落ちる。
刀についた鮮血が、畳にぽつりと染みを作っていく。
全身から力が抜け、拓斗は膝から崩れ落ちた。
それでも目を離すことはできなかった。
首を裂かれ赤いものを吹き出している、
昔、母親であったものを。