セピア色のメモリー
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風兎は亜莉亜と話した後、亜莉亜を尸魂界に返すための地点に来ていた。
尸魂界と虚圏は通常、簡単に行き来できるものではない。
だから、無理矢理に行けば、高い霊圧消費を強いられてしまう。
しかし、この地点なら少しの負担で行き来できる。
そこには、広い砂漠の中で、不思議な文字の書かれた岩盤が散らばっている。
はたから見れば、たいして特徴のない地だろうし、ほとんどの死神はその存在を知らない地。
長く虚圏に滞在している風兎だからこそ見つけられたものである。
風「よし、変わりねぇな」
これならば安全に亜莉亜を送ることができるだろう。
そう確認し、ふっと息をつくと、その地に背をむける。
ふと、強い風が肌を撫でる。
たいして珍しいことではないはずなのに、何故か違和感を感じた。
これは何の香りだろう?ろくに花も咲かないこの地で。
風「……!」
指先が痺れるような感覚にはっとする。
風「畜生が」
袖で口元を多い、飛ぶように走る。
瞬歩を使えばたった十数秒の距離の筈なのに、まるで何十分もかかっているかのようだ。
焦る気持ちを何とか抑え、風兎は亜莉亜の元へと戻った。
風「!?」
目を疑う光景。
数人の黒装束が、ぐったりとした亜莉亜を囲んでいる。
その一人の手元に、きらりと何かが光った。
その瞬間、風兎は刀を抜いていた。
刹那、赤──
鮮血を滴らせる黒装束をよそに、風兎は亜莉亜を奪い、彼らと距離をとる。
風「俺の弟子に何の真似だ」
黒装束は頭巾のようなもので、顔を覆っていた。
そのため表情こそ見えないが、かなりうろたえているように伺えた。
風「こんな薬まで用意するってこたァ、殺す気だったんだろ?」
「我々は、ただ、命令で──!」
黒装束の一人が答える。
風兎の殺気に、怯えているのだろうか。必死な声で。
風「ほう、じゃあ、誰の命令だ」
「……」
答えないのか、答えられないのか。
とにかく誰かが後ろにいるってことか。
風「じゃあお前らの主に伝えとけ。ただで済むと思うなよってな。目障りだ、とっとと行けよ」
そう風兎が言えば、蜘蛛の子を散らすように彼らは消えた。
あの香りは、奴らが撒いた薬の匂いだったのだろう。
すぐに気付けて良かった。
風「……何お前も、あっさり吸ってんだよ」
風兎は大きくため息をついた。
なかなか立派な顔をするようになったと思っていたが、まだまだだな。
その素直さが、いつか大きな仇になるかもしれない。
風「決して一人になるんじゃねーぞ」
すやすやと眠る亜莉亜に、風兎はため息をつくしかなかった。
尸魂界と虚圏は通常、簡単に行き来できるものではない。
だから、無理矢理に行けば、高い霊圧消費を強いられてしまう。
しかし、この地点なら少しの負担で行き来できる。
そこには、広い砂漠の中で、不思議な文字の書かれた岩盤が散らばっている。
はたから見れば、たいして特徴のない地だろうし、ほとんどの死神はその存在を知らない地。
長く虚圏に滞在している風兎だからこそ見つけられたものである。
風「よし、変わりねぇな」
これならば安全に亜莉亜を送ることができるだろう。
そう確認し、ふっと息をつくと、その地に背をむける。
ふと、強い風が肌を撫でる。
たいして珍しいことではないはずなのに、何故か違和感を感じた。
これは何の香りだろう?ろくに花も咲かないこの地で。
風「……!」
指先が痺れるような感覚にはっとする。
風「畜生が」
袖で口元を多い、飛ぶように走る。
瞬歩を使えばたった十数秒の距離の筈なのに、まるで何十分もかかっているかのようだ。
焦る気持ちを何とか抑え、風兎は亜莉亜の元へと戻った。
風「!?」
目を疑う光景。
数人の黒装束が、ぐったりとした亜莉亜を囲んでいる。
その一人の手元に、きらりと何かが光った。
その瞬間、風兎は刀を抜いていた。
刹那、赤──
鮮血を滴らせる黒装束をよそに、風兎は亜莉亜を奪い、彼らと距離をとる。
風「俺の弟子に何の真似だ」
黒装束は頭巾のようなもので、顔を覆っていた。
そのため表情こそ見えないが、かなりうろたえているように伺えた。
風「こんな薬まで用意するってこたァ、殺す気だったんだろ?」
「我々は、ただ、命令で──!」
黒装束の一人が答える。
風兎の殺気に、怯えているのだろうか。必死な声で。
風「ほう、じゃあ、誰の命令だ」
「……」
答えないのか、答えられないのか。
とにかく誰かが後ろにいるってことか。
風「じゃあお前らの主に伝えとけ。ただで済むと思うなよってな。目障りだ、とっとと行けよ」
そう風兎が言えば、蜘蛛の子を散らすように彼らは消えた。
あの香りは、奴らが撒いた薬の匂いだったのだろう。
すぐに気付けて良かった。
風「……何お前も、あっさり吸ってんだよ」
風兎は大きくため息をついた。
なかなか立派な顔をするようになったと思っていたが、まだまだだな。
その素直さが、いつか大きな仇になるかもしれない。
風「決して一人になるんじゃねーぞ」
すやすやと眠る亜莉亜に、風兎はため息をつくしかなかった。