セピア色のメモリー
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名前を呼ばれて、亜莉亜は顔を上げる。
風兎は、相変わらず、綺麗とは言えない荒れた黒髪を風に揺らしている。
『何ですか』
風「構えろ。今から試合をする」
亜莉亜は驚く。
風兎の指導を受けるようになって数日は経つ。
その間に行った主な修業は、素振りや、がむしゃらな打ち合いだけ。
やっと、一歩進んだということだろうか?
風「亜莉亜、今日までの修業で学んだことは何だ?言ってみろ」
学んだこと──
亜莉亜は思考を巡らす。
『感情を見せないこと、でしょうか』
風「そうだ。ただ俺を倒すことだけを考えて、あとは無心でいろ」
亜莉亜は視線はをのままに、軽くうなずいた。
風「よし、じゃあ──始め」
風兎の声と同時に、亜莉亜は強く地面を蹴って斬魄刀を振り下ろす。
真剣だから危ない?そんなことは知らない。
ただ、風兎を倒す。勝つ。そのためだけ。
決して表情は動かさない。
風兎は亜莉亜の動きを見極めながら、冷静に猛攻を抑える。
風「おお、随分と上達してんじゃねーか」
風兎は頬を緩ませる。
『それは、あなたに、鍛えられたから、でしょうね!』
答えながらも亜莉亜の表情は変わらない。
風「随分な進歩だ。今までは顔に出すぎだったんだよ、まさに、餓鬼の戦いだった。」
子供だと馬鹿にされたようで、亜莉亜は少しだけ顔を曇らせる。
それを風兎は見逃さない。
風「だいたい予想はついてるんだぜ?初めて会ったとき、あんたの戦い方は、ただの自信満々な子供のちゃんばらだった。どーせそれで、何かやらかしたんだろ?だから、逃げてきた」
肉食の獣が獲物を定めるような目つきに、亜莉亜は一瞬動きが鈍る。
風「おいおい、感情出てんぞー?」
『くっ……!』
一瞬のその隙に、風兎は亜莉亜を弾き飛ばす。
亜莉亜は何とか身をひるがえし、再び攻めの姿勢を取り戻す。
『……ふざけないで』
小さなその呟きを察したのか、風兎は嘲笑う。
風「その通りってか?なぁ、どうなんだよ、結局は、そこに居るのが辛くて、逃げ出してきたんだろ?弱虫め」
『違う、そうじゃない──』
勢いを増す風兎の刀に、亜莉亜はたじろぐ。
風「誰か死んだのか?あんたのせいで」
亜莉亜の中で、あの日の記憶がちらつく。
生暖かい血が、つたって、服を濡らしていく──
冷たくなっていく体温なんて、もう嫌だ。
私のせいだ。何もかも私のせい。
もう誰も、あんなことになってほしくない。
じゃあ、どうすればいい?
護りたい人を護るためには、どうしたらいい?
強くならなきゃいけない。
せっかく、王属特務の隊長という肩書をつけられて。
それでも弱いなら、それこそただの弱虫だ。
強く、強くならなきゃいけない。
護れる力がなくちゃいけない。
誰にも劣らぬ力を持った、死神に──
風「あぁ可哀想だなー、お子ちゃまのせいで、傷つくヤツがいるなんて」
亜莉亜の中で、何かが音を立てて弾け散った。
『 ふざけるな 』
稲光のように亜莉亜は斬魄刀を振るう。
ただ無心で刀を振り回し、確実に風兎を追い詰める。
『誰も護れないと、気づいたからこそ、もう二度と』
頭の中をよぎる、友達の笑顔。
『あんな真似はしないの……!』
風兎は、相変わらず、綺麗とは言えない荒れた黒髪を風に揺らしている。
『何ですか』
風「構えろ。今から試合をする」
亜莉亜は驚く。
風兎の指導を受けるようになって数日は経つ。
その間に行った主な修業は、素振りや、がむしゃらな打ち合いだけ。
やっと、一歩進んだということだろうか?
風「亜莉亜、今日までの修業で学んだことは何だ?言ってみろ」
学んだこと──
亜莉亜は思考を巡らす。
『感情を見せないこと、でしょうか』
風「そうだ。ただ俺を倒すことだけを考えて、あとは無心でいろ」
亜莉亜は視線はをのままに、軽くうなずいた。
風「よし、じゃあ──始め」
風兎の声と同時に、亜莉亜は強く地面を蹴って斬魄刀を振り下ろす。
真剣だから危ない?そんなことは知らない。
ただ、風兎を倒す。勝つ。そのためだけ。
決して表情は動かさない。
風兎は亜莉亜の動きを見極めながら、冷静に猛攻を抑える。
風「おお、随分と上達してんじゃねーか」
風兎は頬を緩ませる。
『それは、あなたに、鍛えられたから、でしょうね!』
答えながらも亜莉亜の表情は変わらない。
風「随分な進歩だ。今までは顔に出すぎだったんだよ、まさに、餓鬼の戦いだった。」
子供だと馬鹿にされたようで、亜莉亜は少しだけ顔を曇らせる。
それを風兎は見逃さない。
風「だいたい予想はついてるんだぜ?初めて会ったとき、あんたの戦い方は、ただの自信満々な子供のちゃんばらだった。どーせそれで、何かやらかしたんだろ?だから、逃げてきた」
肉食の獣が獲物を定めるような目つきに、亜莉亜は一瞬動きが鈍る。
風「おいおい、感情出てんぞー?」
『くっ……!』
一瞬のその隙に、風兎は亜莉亜を弾き飛ばす。
亜莉亜は何とか身をひるがえし、再び攻めの姿勢を取り戻す。
『……ふざけないで』
小さなその呟きを察したのか、風兎は嘲笑う。
風「その通りってか?なぁ、どうなんだよ、結局は、そこに居るのが辛くて、逃げ出してきたんだろ?弱虫め」
『違う、そうじゃない──』
勢いを増す風兎の刀に、亜莉亜はたじろぐ。
風「誰か死んだのか?あんたのせいで」
亜莉亜の中で、あの日の記憶がちらつく。
生暖かい血が、つたって、服を濡らしていく──
冷たくなっていく体温なんて、もう嫌だ。
私のせいだ。何もかも私のせい。
もう誰も、あんなことになってほしくない。
じゃあ、どうすればいい?
護りたい人を護るためには、どうしたらいい?
強くならなきゃいけない。
せっかく、王属特務の隊長という肩書をつけられて。
それでも弱いなら、それこそただの弱虫だ。
強く、強くならなきゃいけない。
護れる力がなくちゃいけない。
誰にも劣らぬ力を持った、死神に──
風「あぁ可哀想だなー、お子ちゃまのせいで、傷つくヤツがいるなんて」
亜莉亜の中で、何かが音を立てて弾け散った。
『 ふざけるな 』
稲光のように亜莉亜は斬魄刀を振るう。
ただ無心で刀を振り回し、確実に風兎を追い詰める。
『誰も護れないと、気づいたからこそ、もう二度と』
頭の中をよぎる、友達の笑顔。
『あんな真似はしないの……!』