セピア色のメモリー
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夜が明ける。
拓斗は、いつものようにぼんやりと宙を見つめていた。
しかし、今日は、いつもとは違う。
右手をそっと胸に当てる。
心臓が暴れているのか、少し苦しい。
緊張から自分を落ち着かせるようにゆっくりと立ち上がる。
力強く光る朝日が、背中を押すようだ。
拓斗は、母親である秋江の元へと向かった。
秋江は、窓に向かって花を生けているようだった。
拓斗は拳をきゅっと握り、唇をかすかに震わせる。
拓「母様、少し、いいですか。」
ほんの小さな声なのに、静かなこの部屋には十分すぎる。
秋「あぁ、拓斗ね。何か用事かしら?」
秋江は背を向けたまま答える。
相変わらず優雅な仕草で花を弄り続けている。
拓「入っても、宜しいですか。」
秋「どうぞ。」
畳が擦れる音。
拓斗は、部屋の隅に座った。
沈黙──
拓「母様に、お話があります。」
落ち着け、落ち着いて話せば、きっと、分かってくれる。
文月の話を思い出す。
大丈夫。
拓斗は肩から力を抜いた。
拓「母様に、亜莉亜のことを認めて頂きたく、思います。」
秋江はぴたりと動きを止めている。
拓斗は背筋が冷たくなるのを感じていた。
自分の母親だから。
どんな人かは承知している。
蛇に見すくめられたかのように体が凍る。
けれど、ここで引き下がるわけにはいかない。
拓「母様、亜莉亜は──」
秋「どうしてかしら、拓斗。」
冷たい声。
また、沈黙が重い。
緊張。でも、言わなきゃ。
拓「母様、亜莉亜は確かに、流魂街出身で、母様を納得させられるような身分ではありません。ですが、いつか、必ず、母様が納得できるほどの死神になります。だから──!」
秋「お黙りなさい、拓斗。」
身体を刺すような冷たい声に、拓斗は身を強ばらせた。
秋「下がりなさい。」
有無を言わさぬ声に、拓斗は引き下がることができずに、肩を落として退室した。
拓斗は何も気づかない。
その数日後、恐ろしい言葉を聞くことになるなんて。
拓斗は、いつものようにぼんやりと宙を見つめていた。
しかし、今日は、いつもとは違う。
右手をそっと胸に当てる。
心臓が暴れているのか、少し苦しい。
緊張から自分を落ち着かせるようにゆっくりと立ち上がる。
力強く光る朝日が、背中を押すようだ。
拓斗は、母親である秋江の元へと向かった。
秋江は、窓に向かって花を生けているようだった。
拓斗は拳をきゅっと握り、唇をかすかに震わせる。
拓「母様、少し、いいですか。」
ほんの小さな声なのに、静かなこの部屋には十分すぎる。
秋「あぁ、拓斗ね。何か用事かしら?」
秋江は背を向けたまま答える。
相変わらず優雅な仕草で花を弄り続けている。
拓「入っても、宜しいですか。」
秋「どうぞ。」
畳が擦れる音。
拓斗は、部屋の隅に座った。
沈黙──
拓「母様に、お話があります。」
落ち着け、落ち着いて話せば、きっと、分かってくれる。
文月の話を思い出す。
大丈夫。
拓斗は肩から力を抜いた。
拓「母様に、亜莉亜のことを認めて頂きたく、思います。」
秋江はぴたりと動きを止めている。
拓斗は背筋が冷たくなるのを感じていた。
自分の母親だから。
どんな人かは承知している。
蛇に見すくめられたかのように体が凍る。
けれど、ここで引き下がるわけにはいかない。
拓「母様、亜莉亜は──」
秋「どうしてかしら、拓斗。」
冷たい声。
また、沈黙が重い。
緊張。でも、言わなきゃ。
拓「母様、亜莉亜は確かに、流魂街出身で、母様を納得させられるような身分ではありません。ですが、いつか、必ず、母様が納得できるほどの死神になります。だから──!」
秋「お黙りなさい、拓斗。」
身体を刺すような冷たい声に、拓斗は身を強ばらせた。
秋「下がりなさい。」
有無を言わさぬ声に、拓斗は引き下がることができずに、肩を落として退室した。
拓斗は何も気づかない。
その数日後、恐ろしい言葉を聞くことになるなんて。